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140字小説

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削って削って、磨いて磨いて仕上げた140字小説です。
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#超ショートショート

140字小説【自由とは】

気づくと金魚鉢の中にいた。そこは少し息苦しくて、私はいつも口をパクパクしていた。そこでは…

こし・いたお
4か月前
4

140字小説【君は恩人】

初めて見た時は忍者かと思った。放課後、校庭の高鉄棒で蹴上がりした君は、サッと逆立し、グル…

こし・いたお
4か月前
2

140字の【犯人は僕】

僕は爆発物処理班の一員。高度な訓練を受け、幾度も爆破テロを未然に防いできた。でも、仕事の…

こし・いたお
4か月前
1

140字小説【檻の中の憂鬱】

日の出からしばらくして人間がやってきた。ここは人間が鶏舎と呼ぶ場所。昨夜は隣の檻に住む仲…

こし・いたお
4か月前
4

140字小説【追憶】

お皿に高く積み上げられたホットケーキ。狐色の焦げ目が食欲をそそる。「ごめん、シロップ買い…

こし・いたお
4か月前
4

140字小説【走り幅跳び】

私は若い頃、走り幅跳びの選手だった。渡し守に船賃を渡し川を渡ったが、向こう岸から戻ってこ…

こし・いたお
4か月前
6

140字小説【結婚はできません】

AIの発展により学校と仕事は消え、ベーシックインカムにより無収入でも生活できる西暦二千百年。ただ、環境破壊によって汚染された水を飲んで育った僕らは背が低い。最近、僕は百年前の歴史に夢中だ。アンドロイドの彼女も当時の価値観で動いている。でも僕は結婚条件の三高を一つも満たしていない。

140字小説【夜更けの紳士】

残業を乗り切り家路を急ぐ私。疲れた体に鞭を打って歩く。もう夜更けで人通りは少ない。そこか…

こし・いたお
8か月前
4

140字小説【将棋崩し】

嫌味な店長は将棋が得意。私たちパートのことを陰で駒と呼んでいる。悔しいから将棋で打ち負か…

こし・いたお
8か月前
2

140字小説【用途が違う】

「その鍋、私に売ってくれませんか?」愛用していた片手鍋の持ち手が壊れ、新しい鍋を買ってき…

こし・いたお
8か月前
6

140字小説【弾けない】

私は娘を養うために人型ロボットの製造工場で働いていた。人のように会話し、指示すれば単純作…

こし・いたお
8か月前
3

140字小説【サクラ散る】

婚活イベントにやってきた私。「私を含めて十人しかいない。少なすぎる…」そう思っていると誰…

こし・いたお
8か月前
9

140字小説【知恵の輪のように】

妻はパズルが大好き。僕は結婚記念日に最高難度の知恵の輪を妻に贈った。知恵の輪を捻ったりず…

こし・いたお
8か月前
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140字小説【私は持ってる】

私は遠ざかる青い星をいつまでも眺めていた。最終戦争後の荒廃した地球。コップ一杯の水を手に入れるのも命がけの環境で私は生まれ育った。くじ運がない…私はずっとそう思って生きてきた。火星にあるという居住区。生き残った数億人の中から無作為に選ばれたノアの方舟のチケット当選者になるまでは。