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短編物語(フィクション)& 詩

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作った短編と詩を集めています
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#抽象画

[詩] スズメ

しっているとおもってたこと ただしいとしんじてたこと ちがってた ちがってるんだろう ちがってるカノウセイがあるぞ となって なんだなんにもしらない わからないじゃないかと ソクラテスが ただしかったんだろう しらないことをしらないのが ぷろぶれむといったらしい そのソクラテスでさえも プラトンが ソクラテスがいったと かいたのだけで ほんとのところ いったかどうかもわからない ほんじゃ ”じじつ”とは じぶんがみたことと あったことがあって しんらいできるひとが み

[詩] とおくまでいきすぎないこと

どこにもいっちゃだめ と いわれて どこにもいけない 子供がいる   けど 遠くまで、いってしまったら かえってこれないことも あんまり 遠くにいっちゃだめよ と すこし いってくれる人が いないと とおくまで およいでいってしまう おきは しおがはやくて かえりかたが わからないのに

[短編物語] 雲と ヨーロッパ・スターリング

家にいずらくなり、手ぶらで外出した。無人のバスケットボールコートの上に、紫に近いピンクの雲の帯が広がっていた。一瞬、「あぁ、夕暮れ時なんだ」と思ったけれど、考えてみれば、そちらは東側の空である。頭上を見上げると、透明セルリアンブルー。昼間の空のよう。西側の空は、灰色と白の混じった薄い雲で覆われている。6月なので、ニューヨークで、太陽は8時過ぎまで沈まないはず。見回しても、太陽の姿は、見えない。 ピンクの雲の様子を、写真に撮りたいと思うのだけれど、携帯電話を持っていない。確か

[詩] 20秒

静かに立って 20数えてると 心んなかで 「これ、やだー」って 子供が、10人ほど 束になって あばれはじめる 子供たちは なんでも良いから、 「なにかを、しないといけない」と 言うので 「なにがしたいの」というと とりあえず、だまって立つのは嫌で コンピューターがみたいという あと、コーヒーが飲みたいなどと 子供のくせにいう。 しばらく、立ってると あんのじょう 子供は、静かになり 静寂が でも、また、 押し寄せてきて 嫌だと言う そんな20秒

[詩] Come Back Baby

犬ころは、私の座席の下に うずくまっている ふせの姿勢で くつろいでいるのか かくれんぼのつもりか 白いけが見えるだけ 5分ほど前 まだ、電車が駅にいた時 犬ころは はしゃいだ様子で 車両に走りこんだできた ロックダウンの昨今 外出する人もほとんどいず すいた車内に ソーシャルディスタンスで 座る私たち Come back baby 甘い声が呼んでいる ホームをみると 肩に白い毛をたらした 車椅子の 女性が見える そして ドアは しまり 犬ころと 私たちは

[詩] 崖の上の二人

君と僕は、 どういうわけか、 切り立った崖の 上に立っている。 グランドキャニオンみたいなところだ。 二人とも、 絶対絶命みたいな場面 なのかもしれない。 君がどうしようかと 思っている まさにその時、 僕は、崖から 下に向かってとびおりる。 なんて、こと するんだ、 君は叫んだの かもしれない。 でも、 僕だって、 君が思うほど 無謀じゃない。 僕の背中には 羽根がついていて、 とび降りたあと、 どこかの時点で 風にのって 飛んでいったんだ。 本当は、君の背

[詩] 地下鉄の中で

濡れた髪の、お腹が大きな女性が、 カーキ色のワンピースを来て、 座っていた。多分、シャンプーして、 すぐ外出してきたんだろう。 父親らしき男性が、隣に座っていて、 お腹に、口髭の顔をくっつけるようにしていた。 お腹にキスしているのかと思ったら、 何事か 一生懸命、 話しかけているのであった。 とても、 真剣な顔つきで、 とても、 幸せそうでも、 あった。 それを見て、涙が すこし。 みんながずっと マスクをして、 距離をとっていた時期が、 づついて こんな些細な日常の

[詩] 晩御飯の前に、少し横になった

目が覚めると カーテンのすきまから 窓の外にあるはずの 夕焼けの光が さしていた 室内の静けさの さきには 夜に向かう 外の世界があり そのさきに もう一度 からっぽの この部屋が たたずんでいた