[短編物語] 雲と ヨーロッパ・スターリング
家にいずらくなり、手ぶらで外出した。無人のバスケットボールコートの上に、紫に近いピンクの雲の帯が広がっていた。一瞬、「あぁ、夕暮れ時なんだ」と思ったけれど、考えてみれば、そちらは東側の空である。頭上を見上げると、透明セルリアンブルー。昼間の空のよう。西側の空は、灰色と白の混じった薄い雲で覆われている。6月なので、ニューヨークで、太陽は8時過ぎまで沈まないはず。見回しても、太陽の姿は、見えない。
ピンクの雲の様子を、写真に撮りたいと思うのだけれど、携帯電話を持っていない。確か