恋愛はヒロインに譲るわ。私は悪女になるから!|漫画『歴史に残る悪女になるぞ』
ある日、目覚めたら大好きな乙女ゲームの悪役令嬢に転生していた!
自分が乙女ゲームの悪役令嬢だと気がついた主人公アリシアは、世界一の悪女になるために剣術、学問、魔法、と努力を始める。
恋愛はヒロインに譲って。
と、思っていたが、ヒロインと結ばれるはずの王子デュークの動きがおかしい。
果たして、彼女は歴史に残る世界一の悪女になれるのだろうか?
なろう小説発の悪役令嬢物語
作画は保志あかり。
配信作品はライトノベルの挿絵のみ。
漫画作品はこの作品が初めてかもしれない。
原作は大木戸いずみ。
なろう小説で、活動している。
書籍化はこの作品が初めて。
出版社はKADOKAWA。
レーベルはB's-LOG COMICS。
コミックは既刊2巻。
小説は既刊3巻。
どちらも連載中。
なお、原作であるなろう小説もまだ未完。
悪女=自立した女性
悪役令嬢に転生。
ヒーローである王子はヒロインではなく、彼女に惹かれる。
筋書きだけなら、よくある流行りの悪役令嬢モノである。
この作品が、他の作品と何が違うかというと。
主人公であるアリシアが、チートな能力はあるものの、“歴史に残る悪女”を目指して魔法、剣術、学問、とありとあらゆるものに努力しているからだ。
彼女の思考に、自分が王子様に見初められるという願望は一切ない。
罪人が結界で閉じ込められている、環境が劣悪なロアナ村に自ら赴き、魔法は使えないが優秀な少年・ジルをそばに置く。そして、彼に教育の機会を与える。
同時に、ロアナ村自体の環境の改善にも取り組む。
しかし、これは慈善事業ではない。
何故なら、彼女は悪女だから。
また、アリシアは国王から聖女リズの監視役を任命され、耳触りの良い抽象的な正論を述べるだけで、具体案や実行力に欠けるリズを陰ながら聖女へと導く。
人々の前では怠惰な、他人を蔑む人間を演じながら。
“悪女”というキーワードで若干本筋が見えづらいが、彼女が目指しているのは自立したカッコいい女性なのだ。
誰かの権力を頼るのではなく、誰かの庇護を得るのではなく、自分の力で立ち上がる。
そんな彼女にストーリーのヒーローである王子・デュークも惹かれるわけなのだが。
アリシアの意識が恋愛に向いていないので、登場回数は少ない。
その代わり、この王子もかなりの曲者で少ない登場でばっちり印象には残るのだが。
恋愛面はコミック2巻、小説2冊、なんなら原作のなろう小説でもそこまで大きく進展はしていないのだが。
ちなみに、個人的にはロアナ村出身のジルが王子の最大の好敵手になるのではないか、と勝手に思っている。
一味違う悪役令嬢作品を読みたい方にはおすすめである。