【挑戦】眠れる森の美女で眠らせない吹奏楽団になりたい…?
皆さんこんにちは!
Iris Wind Orchestraの浅野です。
大盛況のまま幕を閉じた第一回演奏会。
今思い返してもそのアツさ、幸せを感じます。さて、そのメイン曲は『眠れる森の美女』。
メインということもあり、長く重たい曲ではありましたが、ご来場いただいたお客様からもかなり好評でした。
事実、アンケートでは高評価の上位に食い込むなど素晴らしい出来だったと思います。
さて、今回はそんな眠りの森の美女にかけていた想いをお話します。
眠れる森の美女の吹奏楽版って…?
そもそも、皆様は『眠れる森の美女』と聞いたら何を思い浮かべますか?
ディズニーの物語でしょうか?
もはやマレフィセント(ヴィランズ)が浮かんでしまうのでしょうか?
それとも、SEKAI NO OWARI??
いえいえ、ちがいますよね。
今回の演奏会でお届けしたのは、チャイコフスキーの3大バレエとしても名高い、クラシック不朽の名作『眠れる森の美女』。
ここで、多くの方は「もともとオーケストラの曲じゃないの?」という疑問を抱くかもしれません。私自身、フルート担当なので友人によく言われます。
でも、吹奏楽の編成でやることにはそれなりの意味があると思います。
吹奏楽は爆音大会だけではありません。
マーチはもちろんのこと、ジャズ、オーケストラ、現代曲、何でもできるのです。
それでは、オーケストラを吹奏楽で演奏するとどうなるのか?
繊細じゃなくなるわけではありません。
一言で言うならば、息で弦を表現します。
吹き切る音で歯切れを出したり、震えるような旋律を温かい息を全身に響かせながら歌い上げるのです。
だからこそ、私たちは一つの大きな野望があります。
『眠れる森の美女』で誰も眠らせたくない!
これについては、後ほどお話することにしましょう。
バレエ音楽なら踊れるよね?
先程、この『眠れる森の美女』はバレエ音楽だとご説明しました。
そこで、もしかすると、このような疑問を抱く方もいらっしゃるかもしれません。
「バレエ音楽の主体はあくまでもバレリーナではないの?」と。
これはオペラでも同じ質問が生まれそうですね。
…残念ながら、今回の演奏会はバレエが主体ではないため、吹奏楽による演奏のみでお届けします。
それでも、臨場感のある演奏で、場面をイメージしながらお聞きいただけるよう、精一杯練習してまいりました。
バレエということは、重要なのは『舞えるかどうか』。
我々の演奏で踊りたくならないといけません。
作品中には、妖精や小鳥など可愛らしいモチーフが出てきます。
表題だけでも、リラの精(物語の重要人物)、銀の精、カナリアなど…それらを表現する愛らしい旋律を打楽器や木管楽器も日々音を研究しています。
銀の精がガンメタルをまとわないように、カナリアがハシビロコウにならないように…あくまで作品を壊さず、楽しく可愛らしく。聞いている側も楽しくなるようなサウンドを目指しています。
心地よい音楽だと睡魔が…いえ、眠らせません。
そして、場面転換で生まれる美しい旋律。
チャイコフスキーも自ら作曲したこの曲の優雅さや美しさを高く評価しています。
私達も眠れる森の美女の美しい旋律を高らかに歌い上げられるよう、励んでまいりました。
人は、古くから体を動かすことや歌を歌うことで人生の喜びを感じてきました。
そうして培われたものが芸術だと思います。
我々の演奏で伝えたいのは、吹奏楽もまた「芸術」であることです。
吹奏楽の素晴らしさを作品からも我々の演奏や練習風景からも伝え、思わず「吹奏楽っていいね」と言ってしまう…
さて、我々の吹奏楽団のコンセプト、それは…
お客さんが誰も寝ない演奏会。
『誰も寝てはならぬ』といえば、バレエではなくオペラとして名高いジャコモ・プッチーニの『トゥーランドット』の名曲ですが…
寝てはいけない理由が原作とはだいぶ違います。
純粋に音楽を楽しんでほしい。
私達はそんな思いからこのコンセプトを掲げています。
しかし、そうは言っても難しいもの。
吹奏楽もクラシックも、気持ちの良いサウンドだとまぶたが重くなるのが常です。
私自身も小学校の頃は地元のオーケストラの眠りの魔法にかけられ、涎まみれになったこともあります。
それでも。
果たして、舞えるような音楽になっているのか、美女は目覚めることができるのか。
我々もこの曲の美しさを精一杯表現できるよう、我々も力を入れて練習を重ねてまいりました。
きっと、今回の演奏会でも、届いていたのではないかな…と感じています。
私自身、お客様のアンケートの全てに目を通しました。
フルートやピッコロを名指しで褒めてくださる声、各パートの美しさに感激した、という声もありました。
それはきっと、私達の努力が報われた一つの指標になっているのだと思います。
次回演奏会も全速力でかけぬけます!
Iris Wind Orchestraは、今後も走り続けます。
しかし、今回のメンバーで演奏することはきっともうありません。
それが企画吹奏楽団の理なのです。
だからこそ、次回また違ったメンバーで違った曲を演奏するときも、お客様に響く素晴らしい演奏を届けられるよう努力していきたいと思います。
また皆さんにお会いできる日を楽しみにしています。
それでは!