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あいにくあんたのためじゃない / 柚木麻子

ちょっと旅行記から脱線。

地元の図書館で立てかけて紹介されてたので読んでみたけど、面白かったー!
同じテーマなような、そうでもないような短編集なのだけど、特に印象に残ったのが、1本目のラーメン評論家と、2本目のベイクショップを開きたいフリーターの話。

特に、2本目の話。
前に、MEGUMIが、若い子たちが色々相談に来て、アドバイスもするんだけど、実際に行動するのは1割いるかいないか、みたいなことを何かの番組で話してて。
ほんと、そういうことなんだろうな、と。
出だしのあらすじをかいつまむと、母親のスナックの手伝いはせず、母の知り合いのおじさんのお店のランチをバイトで手伝っている女の子が、イギリス菓子のベイクショップを開く夢を語る、って言う。
で、常連になった女の人が、東京から派遣された、留学斡旋の支店の責任者で、その子にイギリスへの留学を勧めるんだけど、その子はちっとも行動せず、だらだらと浪費を続ける、という。
その中で、印象的だった一節は、その常連の女の人が、休日に紅茶を淹れて図書館の本を読んでいるのを知って

(略)ときめきをお金で買う必要がない人生こそ、最高に恵まれているのだ、と。ケチというのは、特権なのだ。
 それなのに、恵まれない人間には、恵まれている人間以上の節制が求められるのだ。

あいにくあんたのためじゃない

本当に元も子もないから、切なくもなるのだけど、最後、救いはあったのかなぁ。
そうなんだよ、図書館の紹介文では「生きる勇気が湧く」って書いてたけど、必ずしも、という。
ま、全部、面白い短編だった!

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