「せっかく早稲田出たのになんで一般職なの?」という愚問に100回くらい答えてきた私の本音と実態。
私いりこは早稲田大学を卒業後、大手銀行に一般職で入社し約5年間勤務していました。そして何の気の迷いか、急激に働くことに対する意識が高まってしまったことにより銀行を退職し、現在はITベンチャー企業で社畜として働いています(2020年11月現在)。
転職した今もなお、いまだに投げかけられる、「せっかく早稲田出たのになんで一般職なの?」という質問。今回はこの質問に対する私の本音と実態についてお話したいと思います。
(あ、「一般職」が何かわからない方向けに簡潔に説明すると、人から指示されたことだけを淡々とこなすだけのカンタンなお仕事と思いきや、意外にそれなりのクオリティを求められる、なのに給料が低い正社員のことです。対義語は「総合職」です。「パン職」とも言うが、もはや死語。)
建前 a.k.a.模範解答
面接で答えるような模範解答です。
実際に銀行の採用面接の際に、「君、早稲田大学に通っているのに一般職を受けてるって正直舐めてるよね?滑り止めでしょ?」っていう圧迫面接を受けましたが、泣きそうになりながらも以下の通り答えてなんとか切り抜けました。(根に持つタイプなので、あの面接官の顔と名前、忘れるもんか)
「総合職で銀行の採用面接を受け、残念ながらご縁に恵まれなかったものの、どうしても銀行で働きたいと思い、再度一般職としてチャレンジしたいためです。そして入行後は総合職を目指して頑張りたいと思っております。」
我ながら素晴らしいですね。そして中身がまるで無いですね。でもだいたいこれでみんな黙ります。あと実は、銀行に関しては総合職では採用面接を受けていません。
4つの本音
①女性も社会に出なきゃダメですか‥?
本当の男女平等ってなんだろう
1985年に男女雇用機会均等法が制定されてから約35年。「女性の社会進出」というのは遅々として浸透しつつあります。
ただ、私は昔からこの「女性の社会進出」という言葉に違和感を感じてきました。もちろん男女差別はあってはならないことで、性別関係なくすべての人間に自由な選択肢が与えられるべきではありますが、なんだか世の中から「自立した女性像」を強要されているようで、自立していない自覚のある私はなんとも居心地が悪いような気持ちになってしまいます。
「社会進出したい女性だけ社会進出して頂ければ‥」って思いながら彼女たちを眺めています。
法律が変わっても男女の身体差は変わらない
人類の誕生から現代までの非常に長い歴史のほとんどの期間は、「女性は家の中で家庭を守る」「男性は家の外に出て狩猟したり戦に出たり労働して家族を養う」というものでした。
そのため人類が地球に誕生してから現代までの長い歴史の中で、女性の社会進出というのは短期間のうちに急激に起きた変革と言えます。
色々生活様式が異なる古代と現代社会を比較するのは見当違いかもしれませんが、我々人間の体の構造や本能的な部分で、男女の社会的な役割や性差みたいなものが未だに存在しているのではないでしょうか。
例えば、男性がいわゆるボンキュッボンな女性を魅力に感じるのは、大きいお尻=安産体型、大きい胸=豊かな母乳を想起させ、「良き母」を無意識に本能的に選別しているため、という話を聞いたことがあります。
もちろんすべての人に当てはまるわけではないですが、何万年の月日が経ったとはいえ、我々にはどうすることもできない身体的・本能的な男女差、社会の中でのそれぞれの役割があるのではないでしょうか。
男性と同じように働ける女性ってスゴイ
私は新卒の就活時代に営業職(総合職)の内定を複数の会社からもらっていました。ところが、その後の先輩社員との懇談会等で、「毎日残業」「客の接待」という現実を知らされ、「体力もバイタリティも積極性も無い私が、そういった業務や人間環境、労働環境の中で、男性社員と同じようにイキイキと働いて行けるだろうか‥?」とすっかり自信を無くしてしまいました。
結果、総合職のすべての内定を辞退し、一般職の採用試験を受けることとなりました。「一般職って、コピーとったり書類整理したり、飲み会でニコニコうなずいてたらいいんだよね‥?そんな程度の働き方の方が向いているのかもしれない‥」そう思った私はむしろ自分が女性であることに甘えていたのかもしれません。ただ、この後にも書きますが、一般職=甘ちょろい仕事で許されるという都合の良い思い込みは、見事に打ち砕かれたんですけどね。
②高学歴=バリキャリなのか?
学歴に男女差は無い?
男女間には著しい身体的な差がある一方で、学歴は男女差があまり出ないのでは?と思います。ある程度の学歴というのは、その人の努力や勉強量、地頭の良し悪し、その人の家庭環境(教育に対してどれほどのお金と労力を注ぎこめるか)等々、身体的な性差とはあまり関係ない要素に起因すると考えるためです。
なので、身体的特徴が影響するバリキャリを、男女差が無い高学歴とイコールで結び付けるのはすこし短絡的だと思うのです。勉強がができるからお仕事も頑張っちゃう、というのは100%結び付くものではないと思います。家庭環境の影響で高学歴=バリキャリになり得る?
とは言うものの、高学歴=バリキャリ、という論理には一理あると思っていて、そしてそれには幼少期の家庭環境が少なからず影響しているのではと思います。
両親がそれなりの職業に就いていて、ある程度の社会的地位があったり、経済的に豊かなで恵まれた環境で成育した子供の場合。彼らが両親と同じようなエリート街道を歩まんとした結果、高学歴であることを必然的に選択し、その結果両親のように、バリキャリの道を歩んでいた、というパターンは多いのではないでしょうか。政治家や医者や公認会計士の子供もまた同じような職業を選択するパターンをよく見ます。
一方、幼い頃経済的に困窮していた環境にあった人の場合は、その状況を打開したいという反骨精神でもって、一生懸命勉学に励んだ結果、高学歴となり、バリキャリになった、というパターンもあるでしょう。高学歴はプライドと主体性が高いからバリキャリになる?
当然個人差はありますが、人より上に立ちたいから勉学に励んだ、という人もいるのではないでしょうか。(この対局にあるのが「学歴コンプレックス」だと思っていて、学歴が低いからこそ卑屈になる、という人も多いと思います)
プライドが高い高学歴の人は、一般職という総合職の下に仕えるような地位を望まない傾向にあると考えます。
さらに、学歴は男女関係ないからこそ、幼いころから勉強で男の子と対等な立場にいたのであれば、男性と同じように社会に出て、そして社会人になっても、自分の頭で考えて主体的に行動するような立場、最近のディズニー映画で描かれがちな、男性に頼らない強くたくましく自立した女性であることを望むのではないでしょうか。
③実は私は高学歴なアホです。
学歴至上主義の負の恩恵
悲しいかな、私は自分のことを頭が良いと思ったことは、この人生で一度もありません。私は自己肯定感が異常に低いので、気にし過ぎかもしれないのですが。社会人になってもなお高学歴にプレッシャーに度々押しつぶされそうになる所以はそこにあるかもしれません。
学歴はタトゥーみたいなもので、一度手に入れてしまえさえすれば、良くも悪くも自分の人生をついて回ります。自分で言うのもなんですが「腐っても早稲田卒」です。なので私は、高学歴ではありますが、中身は空っぽなただのアホだと思っています。ちょっとここで幼少期~高校生を振り返る
長女として生まれてきた宿命でしょうか、親の期待を一心に受けていることをなんとなく察しながら育った私は、反抗期を迎えることもなく、毎日元気に通学して、部活をして、そして学生の本業である勉学に励む凡庸な学生でした。
良い成績をとったり、何かの表彰状を持って帰ってきて、親の喜ぶ顔を見るのが大好きでした。今思うと超他人軸で生きていました。
そして同時に幼い頃から親に口酸っぱく言われてきた、「良い大学に入れば人生安泰!」という呪縛にかかっていました。
高校生になり、ハッピーJKライフが始まると思いきや、よく考えずに美男美女集う都会の進学校に入学してしまった私は、友人も恋人もいない、部活はしんどい、深夜番組と携帯ゲームにハマる、勉強は全くしない、成績はいつも最下位、というザ・黒歴史な高校生活を送っていました。
そんな暗闇の中で私は、幼い頃からの学歴至上主義という呪縛も手伝い、「ぜったいに早稲田大学に合格してクラスメイトのリア充達を見返してやる‥!」という悲しき邪念だけを原動力に、とにかく寝る間を惜しんで勉強し、早稲田大学に合格しました。
大学入学後、燃え尽き症候群に
念願叶って早稲田大学に合格したものの、私はほとんどの人生を「良い大学に入れば人生安泰!」というスローガンのもとに生きてきたので、大学に合格することで早くも人生の目標を達成してしまったのです。
「良い大学に入れば人生安泰!」の呪縛から突然解き放たれると同時に路頭に迷った私は、自分で何も考えられず決められない状態が続き、最低限の単位はちゃんと取るものの、その他に何も得るものが無い薄っぺらい大学生活を送ってしまいました。
今思うと私の約20年間の人生は、人から言われたことはきちんとやれるけど、自分でイチから考えて行動に移すのが苦手な、典型的な仮面優等生な人生だったのです。
そして大学のような自由すぎる環境は、そんな私をより一層私を迷える子羊にしました。(特に早稲田大学は放任主義だったと思います。放牧され過ぎて山奥でひとり遭難してしまった子羊のように)
まあそういう点では、「自分の頭で自由に考えて言動に移して成り上がっていく総合職」ではなく、「とにかく人から指示されたことを文句なくこなす一般職」は適職だったのかもしれません。
④ゆとりオブゆとりの私の主張「そもそも働かなきゃダメなんですか?」
就活スタートダッシュに出遅れまくった私
私の就活を振り返ります。
貴重な大学4年間をぼんやりと過ごしていた私と違い、周りの同級生は留学したり、インターン活動をしたりと、将来何がしたいか、どういう仕事に就きたいか考え、着実に行動に移していました。
そういう彼らは、自己分析や業界研究を徹底的に行い、自分に適した職種や業種を絞り込み、スマートな就活をし、4月頃には徐々に内定を獲得していっていました。
一方、3年生の12月に就活が解禁になり、そこで初めて世の中にどんな会社があるのか調べ始めた私(笑)。なぜそんなにのんびりしていたのか。それは、働くことにどうしても興味を持てなかったためです。興味が無いから積極的な行動もできない。
社会人になった今となっては、「何をほざいてやがるこのガキャ!」「やりたいことが無ければせめて自分に適した仕事を探せ!」と思います。ぶん殴ってやりたいです。しかし、具体的に働くことが想像できないまま就活を始めた愚かな私は、とりあえずCMとかで聞いたことがある企業にエントリーしまくっては書類審査で落とされ、落ち込む→また大量にエントリーする→落ちる、というアホの無限ループに陥り、無駄な時間と労力を消耗していました。
そんな中でもありがたいことに複数の会社から内定を頂きましたが、いざ総合職として働くことを想像すると自信を失ってしまい、すべて辞退してしまいました。
やりたいことが無ければ、せめて「安定」を得ようと思った浅はかな私は、向こう40年は潰れなさそうで、そして日本人なら誰でも知っているような、そして何よりも保守的な両親が聞いたら喜びそうな企業の一般職の採用の選考に進むことにしました。またまた他人軸の登場です。。
いざ一般職の就活へ
一口に「一般職」と言っても、もちろん企業によって業務内容は異なりますが、当時の私は「まあだいたいどの会社も総合職のサポート的な業務をして、定時で帰れて、そして社内結婚をして寿退社するのだろう」というアホとゲスの極み的思考に留まっていました(まあ実際間違ってはいなかったのですが‥)。
そして当時、早く就活を終わらせて遊びたい一心だった私は「もうどこでも良いから早よ内定くれよ。」と思い、適当な志望理由でいくつかの企業の選考に進み、一番最初に内定を得た大手銀行に入社することを決めました。
やっと就活も終わったし、「一般職」ということを除いては会社名を言えばたいていの人が「すごいね」って褒めそやしてくれる。親や親戚も私が大学に受かった時のように喜んでくれる。大学合格以来、ずいぶん行方不明だった私の自己肯定感が、3年ぶりに帰郷した瞬間でした。
当時の自分をぶん殴りたいです(n回目)。
以上、私の本音から私の半生について長々と語ってしまったのですが、お読みいただいてお察しの通り、私は甘ちゃんでポンコツなので、勢い余って転職したベンチャー企業ではかなり苦労しています。挫折中です。。(2020年11月現在)
そんな挫折した理由について自分なりに分析してまとめた記事も投稿しております。ご興味ある方はぜひご覧いただけると嬉しいです。
一般職の実態
①銀行員の一般職ってどんな感じ?
想像よりハードだった業務
実際のところ、私の入社前の想像と違って業務内容はハードなものでした。お客様のお金を預かり運用し、動かすという精神的なプレッシャーに加え、国内外のあらゆる法令遵守、銀行独自のめちゃめちゃ細かいルール、1分1秒を争うような迅速かつ正確な業務遂行、ミスした奴は徹底的に吊るしあげられる険悪な空気、なんか派遣社員のくせにやたらと幅を利かせるBBAさん、いじめられて病んで休職する同僚、上司に私語を指摘されただけで休職する同僚、定年まで休職するんかってくらいにずっと休職している同僚、とにかくだるい女社会、、、など、毎日色んな種類のストレスにさらされていました。豆腐メンタルの私の寿命は5年くらい縮まったのではないでしょうか。
一般職と言えども正社員ですし、業務に対する責任やストレスは総合職とは何ら変わらない、それなのに総合職との圧倒的な給与差があることは、理不尽だと思うようになりました。
まあまあホワイトだった職場環境
一方で職場環境については、福利厚生はしっかりしているし、部署によりますが私はほとんど毎日定時退社をしていました。月の残業時間は10時間を超えることは無く、ITベンチャー企業で社畜の身となった今となっては、その部分だけ切り取ると良い労働環境だったと思います。かなり活発だった社内恋愛
また社内恋愛に関してはかなり活発で、付き合ってる人、別れて気まずくなる人、付き合ってそのままめでたくゴールインする人、2股かけていた人、不倫していた人、、等々(良くも悪くも私はそれらに一切関与していませんでしたが)、職場でのゴシップネタは絶えず、それを肴に同僚と飲む酒はそれはそれは大変美味しかったです。
②高学歴な一般職は増えつつある?
私は、銀行入行前も後も、「早稲田出身なのに一般職」ということがコンプレックスでした。自分で選んだ道なんですが。
私が入行した時の一般職の同期は、ほとんどは女子大出身の子で、次いでMARCH出身がいて、高学歴女性はかなり少数派でしたが、毎年数名はいるはずです。
非常に失礼な話で恐縮ですが、大学時代、「●●女子大」と名の付くだけでなぜか男性にチヤホヤされる彼女たちと対照的に、「ワセジョ」と呼ばれ同じ大学の男性陣に理由無く忌み嫌われ虐げられた私としては、そんな彼女たちと肩を並べて同じ待遇を受けるのはいかがなものか、当初はモヤモヤしていました。(そう、学歴とプライドの高さは比例してます。汗)
しかし、実際に働き始めると、入社後は学歴ではなく働き方で評価される、ということをだんだんと理解し始め、いつの間にか学歴コンプレックスは消えていました。
一般職の男性もいる‥?
一般職の会社説明会や1回目の採用面接に行くと必ずと言っていいほど、参加学生50名のうち、だいたい男子学生が1,2名いました。彼らには「そもそも一般職が何かわからず来てしまった」とか「男と言えどもゆるく働きたい」等の理由があるようです。
たしかに、「一般職は女性限定の採用です。」と書かれているのを見かけたことはないので、男性の一般職も実在するようです。
ただ、実態としては、「行内に一般職の男性社員がいるらしいが、かなり肩身が狭いらしい‥」となんだか幻の生き物的存在として語り継がれていたので、結構レアキャラになってしまうのではないでしょうか。
しかし、女性の社会進出が進むのであれば、「イクメン」「主夫」という言葉が象徴するように、男性の一般職も許容されるのも不自然ではないと思います。
これまで一般的に受け入れられてきていた、「男性=全国転勤すべき」っていうのも改めて考えてみるとおかしな話で、それこそ男女差別ともとらえられなくもないです。
女性の中でもバリバリ働きたい人がいるということは、男性の中でもゆっくり自分のペースで働きたい人がいるはずです。
本当の男女平等とは。
大手銀行の中では、そもそも「一般職」というくくりが無くなってきているようです。実際のところ、総合職と業務内容変わらないしね。。
本当の「男女平等」というのは、「性別関係なくすべての人間に”自由な選択肢”が与えられる」ことだと考えます。「一般職」という言葉に縛られることなく、女性も男性も自由に自分の仕事を選び、そして活躍できる社会でありたいものです。
一般職からの転職活動について
一般職経験者の転職活動が、有利なのか不利なのか、私のこれまでの転職活動経験を踏まえて記事を書きました。↓
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