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人は強くないと、一人やないけん強くなれると、仲間がおるけん強くなれると。
2025.2.1
実は、福岡県内全域の仲間たちを巻き込んでの、秘密裏に進めている作戦がありました。
遡ること、17年前、
福岡県内全域の自治体ごとの消防本部から、消防士になった新人1年生たち、95人が「消防学校」に集められました。
消防士を志し、「同じ穴のムジナ」と呼ばれた、男臭い(笑)体力自慢の男たち100人近くが集まりました。
消防の世界は厳しく、
体力的にも精神的に鍛われた半年間をともに過ごしました。
例えば、『気をつけ!』の号令のもと、
姿勢良く、直立不動の立つ。
まぁ、それだけのことなのですが、つま先の角度や背筋の伸び方、指先の位置や角度、あごの引き方、目線の向き・・・などなど、
そこまでこだわる点がある!?というほど、これだけで半日ぐらいかかる訓練です。
その後、頭を下げての敬礼、手を挙げての敬礼・・・。
それをずっと続けます。
立っているだけで体力が続かなくなるような訓練です。
もちろん、精神的にも・・・。
ただ、それをずっと、気持ちも体力も切らさずにご指導いただいた教官の存在は、いま思うと凄かったと思います。
そして、17年の月日が流れました。
消防同期のLINEグループで、急にポンとメッセージが届きました。
当時の担当教官だったお一人は、消防本部のトップ『消防長』までなられました。
そして、この度、定年退職を迎えるとのことで、当時の同期のヤツらに声をかけて、お祝いのサプライズをしよう!というものです。
作戦はこんな感じ。
その教官の消防本部のヤツらが、
「教官!退職されるので、飲みましょう!本部の同期3人と教官の4人で、博多で飲みましょう!」というお誘い。
ちょっと都心から離れた消防本部の教官。
バスで来られましたが、随分と遅れて到着。
トップまでなられた消防本部での、一年生からの教え子、3人と久々に飲む約束。
「ごめんごめん!遅くなったばってん!!」
ドアを開けると、、、、
42人の同じ穴のムジナが!!!!(笑)
『教官!!お疲れ様でした〜!!!』
男臭い、低〜い声が合わさって、大喝采のもと、教官へのサプライズでした。
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福岡県内に散らばった教え子たちから、
秘密裏の計画のもと進められた作戦にまんまとハマってしまった教官(笑)
サプライズに嬉しそうにしていただいたので、良かったです。
同期一同から、記念品として、
オリジナルのビールジョッキが渡されました。
(冒頭の写真です)
そこには、こんな言葉が書かれています。
人は強くないと
一人やないけん強くなれると
仲間がおるけん強くなれると
そうです。
この言葉は、この教官が、
心身ともにボロボロになっていた当時の訓練生のぼくたちに授けてくださったメッセージです。
太陽の照り付けるなか、
炎さえ通さない、重くてぶ厚い防火服を着て、海岸をひたすら走ります。
どこまで続くのか分からない、行き先も終わりも分からないランニングが続きます。
自分の体力のなさと、人を運ぶという重みを感じて、ひたすら交互に仲間をおぶって走ります。
もう腕はあがらないのに、カウントだけ続いていく腕立て伏せが続きます。
自分は強くない。
そんなことを感じる毎日。
寝ても覚めても、それが続いていく毎日の寮生活。
でも、
みんな、
何だかんだやってこれました。
こうして、それぞれの消防本部に巣立っていって、17年やってきました。
当時の教官が教えてくださったおかげです。
そうです、
仲間が隣りにいました。
自分がキツイ顔をあげれば、
右隣りでキツイ顔をした仲間がいました。
そうか、お前もよな、と思って、反対の左隣りを見ると、また同じようにキツイ顔をした仲間がいました。
仲間がいたから頑張れました。
一人やないけん、強くなれました。
消防のチームワークは美しいです。
半年に及んだ寮生活や、訓練・研修は心身ともに厳しいものでしたが、
一人ひとりの体力・精神を鍛えるのみではありません。
必ず、『チーム』で乗り越えるように課題設定されていました。
例えば、走り切れないペースが遅れてしまったメンバーがいても、必ずチームの全員で一緒にゴールしなければなりません。
生活の些細なことで注意・ご指導いただいたときには、関係がなくても同じ部屋のメンバーが一緒に罰則を受けます(笑)
連携訓練で上手くいかないときでも、30人にも及ぶ大隊が全員でその試練に向かいます。
100人近い全員が、たった一人完走を待って腕立てをし続けたこともありました。
前日に、足を引っ張られても、翌日は自分が足を引っ張ることもありました。
持ちつ持たれつ。お互い様の気持ちで乗り越えていきます。
誰も、お互いに責めたりしませんでした。
チームで乗り越えていくんです。
そんな仲間がいるから、強くなれ、乗り越えていけました。
消防に関する専門的な講義も続き、多くの専門知識を得ることができました。
ロープワークや放水、救出要領など、多くの専門技術を得ることができました。
腕力も脚力もつき、暑さや重さにも慣れていった、体力もつけることができました。
そして、忍耐力、精神力もつけることができました。
それらの初任教育をそれぞれの消防本部へ持ち帰りました。
17年経って、同期の「同じ穴のムジナ」たちと再会し、
こうして当時の教官のお祝いをしました。
学んできたこと、培ってきたことは多々ありました。
教官も多くのことを教えてくださったんだろうと思います。
た〜くさんあるなかで、当時の学びを振り返ると、
やっぱりそれは、『仲間がいた』ことを思い返します。
今度は、ぼくたち教え子から、教官へのプレゼントに刻んだメッセージ。
きっと、教官が一番教えたかったことなんだろうと感じました。
しっかりと胸に刻んでいます。
人は強くないと
一人やないけん強くなれると
仲間がおるけん強くなれると
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