初めてのアート購入体験:京都のヌーヌキョウトで見つけたセクシーな一枚
【約2,400文字、写真8枚】
初めてアートを購入してみた!
芸術の秋。アートをもっと楽しみたくて、人生で初めて買ってみました。今回はそのレポートです。
ユニークな店内の魅力
ヌーヌキョウトさんは、画廊やギャラリーというよりも、まるでレコード屋さんのような雰囲気。高島屋の新館として昨年オープンしたT8の四階にあります。
ギャラリーが併設されている蔦屋書店さんは一度記事にさせてもらっています。
ヌーヌキョウトさんのお隣は「サブカル」分野のグッズを取り扱う巨大古書店「まんだらけ」さん。場所も京都の四条河原町ですから、観光のお客さんが目立ちます。
店内に一歩足を踏み入れると、独特の香水の香りが漂い、外国語が飛び交う、まるで異国の地にいるような感覚に包まれました。お客さんとスタッフさんの会話も、ほとんどが英語です?!
店長の村上はなさんにお話を伺うと、確かに外国のお客さんが多く、旅の記念やお土産に買っていかれるんだとか。もちろん日本の方も結婚の記念や、お店の壁に飾る相談があったりするそうです。
わたしが心を奪われ、買った作品
初めて見たとき、セクシーな印象を受けて、こんな場所で見てはいけないと、すぐに片付けたんです。慌てて他の作品を手にとって見ていたのですが、まぶたの裏に焼きついて消えなかったのがこの作品でした。
外国のお客さんは、ぽんぽんと買っていかれます。私も欲しくなって、値札も見ずに「これください」と言ってしまったんです。
どういう作品?
この作品を見た瞬間、心臓がドキドキして、見てはいけないような、恍惚とした状態になってしまいました。よく見ると、ピンボケしたお花のアップでしょうか。
アーティストは写真家のウェイ・ウェイさん。中国は広東省(深圳市)の方のようでタイトルは《魏立雲》とあります。
心象写真というのでしょうか。日常生活の中で見聞きしたイメージを、撮る方のようです。
わたしは、新婚時代の休日の午前中を連想しました。そこに惹かれて、そばにいてほしくなったんです。
どうして絵を買うの?
アートを見るだけじゃなく、どうして買っちゃったのでしょう? そもそも、私には「アート作品は買っていいものなんだ」という意識すらありませんでした。
絵は美術館で見るもの、なんて無意識レベルで考えていたのです。ですが、その気持ちをひっくり返してくれたのが、ヌーヌキョウトさんの雰囲気でした。
面白いのは、ヌーヌさんの店内。作品の陳列方法です。レコードをジャケ買いする気持ちにさせてくれるんです。
店内を歩き回ると、まるで宝探しをしている気分になれるんです。箱に入れられた作品たちは、ちょうど手に取りやすく、気軽に見ていられる。ヌーヌさんにいるだけで楽しいんです。
気になるお値段
そもそも、普段の私は、値札も見ずに「ください」なんて言いません。吟味して、冷静になってから買うタイプです。
なのに、あの日は「いいですねえ、いただきます」なんて軽く発音していたんです。
レジのディスプレイに【13,200】と表示されました。
その瞬間、世界がスローモーションのように感じられ、「え? いちまんさんぜん? ですよね、ははは」なんて、笑っている自分がいました。
「アートと関われば人生が豊かになる」なんていいますけど、このA4の紙、一万円もするんですよ。
ははは。
いや、一万三千二百円です。
ぐおおおおぉぉぉぉぉ。
相場から考えると…
「一万円」と聞くと高いですが、アートにも相場というものがあります。
画家の山本周さんのご説明ですと… 新人の作家さんなら1号サイズで1.5万~、若手なら2.5万~、中堅で4万~というイメージらしいです。
1号サイズは22.0×16.0㎝で、ハガキより一回り大きいくらい。私が購入した作品はA4よりやや大きめですから、2号より大きいくらいでしょうか。ですから、1万円代は格安です。半値以下といってもいいと思います。
なぜそんなに安いのでしょうか。
実は、ヌーヌさんは作家さんの「習作」を取り扱っておられるんです。もちろん一点ものの原画なのですが、練習のために描かれたスケッチや図案のような作品なんです。
習作はそもそも公開するための完成品ではないので、この価格で手に入るんですね。ですが、日本人の美意識には「不完全さを尊ぶ」精神があると思います。習作も美しいです。
グッズやフィギュアなら驚かない?
キャラクターグッズや人形、ポスターを買う感覚なら理解しやすいかもしれません。服とか、腕時計を買う感覚も近いでしょうか。服や腕時計にも色んな価格帯のものがありますよね。アートも同じです。
私が人生で初めて出会ったアートは、近所のお寺の天井画の龍だったと思います。狩野探幽が8年の歳月をかけて描いたとされる龍。
下から見上げ、口を開け、すげ~と驚き、ドキドキしたのを覚えています。あの頃はもちろん、先週までアートを所有できる意識なんて毛頭ありませんでした。絵を買って、個人的に楽しんでいいとは思っていなかったんです。
ですが、習作を所有して、眺めていると、アーティストの内面を覗き見る不思議な感覚があります。まるでその瞬間、心の中が溶け出たような、グッとくるものがあるんです。
アートは買える
当たり前ですが、絵画は売っているので、誰もが買って楽しんでいいんです。
アーティストの方のインスピレーションや、内面を昇華したものが作品だと思います。心の一部を好きなだけ眺めていられます。そりゃあ、生活が豊かになりますよね。
■Information
次回!
来週は、この作品を飾ってみます。
フレームはどうやって選ぶ? 飾るコツは? などなど、実際に飾る過程をレポートしてみたいと思います。どんなフレームが作品を引き立てるのか、どの場所に飾ると一番映えるのか、細かいポイントまでお伝えしますので、ご期待ください!
皆さんが初めてアートを購入されたときの体験談や、飾り方の工夫など、コメントいただけると嬉しいです。
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