#673 教育は一周回って哲学
VUCAとは、Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)という4つの言葉の頭文字をとった造語で、これからの社会において、私たちが向き合わなければならない「予測不可能な社会変容」を表した言葉です。
私の祖母は今年で98歳になりますが、生まれたのは1925年(大正15年)の兵庫県丹波篠山という、兵庫県の中でも比較的北部に位置する田舎町。
彼女が生まれた時にはまだ車も一般家庭に普及していない時代から、今では私と時々スマホのアプリでやりとりをしていると考えると、彼女の人生はまさにVUCAの中にいたと言っても過言ではないでしょう。
そんな時代を生ていくためには、「教育」は必要不可欠な要素であり、旧態依然の学校教育のありかたが問題視され、徐々に変化の兆しを見せていることは、それこそ教育そのものもVUCAに突入していると言えるでしょう。
『気づき、思いやり、関わる 世界で注目される「観想教育」とは』という記事を見つけました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5f4a0d4315928f2a3e5df1c5925a0a35022aca43?page=1
記事の中で紹介されている観想教育(Contemplative Education)は、個人の内面的な成長や心の安定、注意力の向上を重視する教育を模索する中で形成された、教育アプローチだと言えます。
近代教育以降の教育で重視されてきた実存・実利主義(世の中で実質的に役立つ知識・技能の獲得)ではなく、自己理解や自己の内面的な状態に意識を向け、感情や思考に対する客観的な視点を養い、他者への共感や自己調整力を高めることにフォーカスすることだと言えるでしょう。
超高度化した文明社会の中で、様々な業務をAIが代用できる時代。今、私たちが直面しているのは、まさに「人間とは何か」、あるいは「生きるとは何か」という問いなのではないかと考えています。
それは、ある意味では古代ギリシャにおいて大切にされた、哲学の分野に教育が回顧していくことにあり、長い人類史の中で、結局教育というものの本質が一周した感じが個人的にはしています。
VUCA時代における教育の大切さは、その時代を生きるための具象性のあるスキル的要素の獲得が欠かせないことは勿論あるけれども、それと同時に、抽象性の高い、哲学的要素が求められるのではないでしょうか。