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#501 高3で「浪人になる」ことで学習内容の定着率はググッと上がるというお話

 学びの定着には復習、つまり繰り返しが大切です。人が一度に記憶できる情報量には限界があり、一回だけで物事を覚えることはギフテッドのような特異な能力を持つ人以外には事実上不可能です。だからこそ、適切な課題を繰り返し処理することで、インプットした知識を長期記憶に変えることができます。

 私が勤めていた中高一貫校(以下、本校)では高校2年生終了時までの5年間で、中高6年間の学習内容を終了するカリキュラム(科目によっては終わらないものもある)になっています。生徒の学力レベルによるものなので、一概に学習内容をスピードをあげて行えば良いとは言えません。しかし、本校の大学入試結果が良い理由は、そのカリキュラムの結果、高校3年生の一年間で事実上の「浪人」状態になることができることです。その一年間は未修内容を学習する必要がほとんどなく、定着に集中できる。大学への合格という彼らの中での目標が大きなモチベーションとなり、学習内容はどんどん定着していきます。高校2年生の終了時に当時のセンター試験を解いた際の学年の平均点(約200人)が約120/ 200点で、1年後の本番には約160 / 200点になったという事実から見ても、その効果は明らかです。

 この効果を定期考査に応用することができるのです。定期考査の試験範囲を少なくとも一週間前に終了し、考査直前の一週間の授業を全てテスト範囲の復習に当ててみてはどうか。定期テストというモチベーションをうまく利用して、復習という学習プロセスの大切な部分の効果を最大限まで引き出すことができます。私の場合はもっと極端で、期末考査の試験範囲は、中間考査が終わった次の授業で発表していました。

 児童・生徒の教科・科目の学びを効果的に支えるためには、適切な学習プロセスを理解し、彼らがそのプロセスを実行できるための工夫が必要です。繰り返しが学習における大切な要素であるならば、高校3年の浪人生という考え方も1つなのかもしれません。
 

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