#721 テニスと選挙人制度
テニスの勝負を決めるのは獲得した総ポイントではありません。
例えばテニスは6ゲーム(7ゲームの場合もありますが、とりあえず省略)を先にとった方がセットを獲得したことになり、多くの試合では先に2セットをとった方が勝利となります。
つまりAとBが対戦した時、A側からみて0-6、6-4、6-4となった場合、3セットの獲得ゲーム数は12でBの14に劣っていても、試合には勝利したことになるのです。
これは少し不公平な感じもありますが、そのルールの起源は(調べてみましたが)不確定でした。
11月5日(火)はアメリカ大統領選挙の投票日。いわゆる「スーパーチューズデー」です。
アメリカ大統領選挙は、「選挙人」制度をとっています。これは国民の投票数を単純に合計して、その決着をつけるのではなく、あらかじめ各州に割り当てられた選挙人を各党で取り合う形になります。ほとんどの州では「勝者総取り」(ウィナー・テイク・オール)方式を採用しており、その州で最も多くの票を得た候補者がその州の全ての選挙人票を獲得します。その結果、
総投票数で勝っても選挙人票で負ける「逆転現象」が起こることもあります。
一方、選挙人制度を採択したのにはそれなりの理由があるよう。この制度は1787年のアメリカ憲法で採用されましたが
当時のアメリカ首脳が自国の国民の教育不足からいわゆる直接民主主義への懸念を持ったことや、連邦制や州の独立性の担保などの理由を考慮し、そのシステムが今でも続いてる状況です。
自由と民主主義の象徴国家であるアメリカが、その建国当時に、自身の国民への不安感から完全な直接選挙を採択しなかったのは、ある意味皮肉と言っても良いかもしれません。
ある意味全世界が注目するアメリカ大統領選。
そこには「賢くなった」現代アメリカの政治があるのか、建国の父たちが懸念した「衆愚政治」があるのか。
結果は神のみぞ知る。