#420 あれから29年〜過去から何を学び、何を未来に繋げるのか〜
1995年1月17日午前5時46分、淡路島北部を震源とする最大震度7の揺れが阪神地域を襲いました。阪神・淡路大震災と呼ばれた大地震は6434人の尊い命を奪う結果となりました。
震災の時、私は両親と共に兵庫県内に在住。幼いならが非常に強い揺れを感じたことと、両親が私の上に覆い被さり、必死に私を守ろうとしてくれた朧げな記憶があります。揺れが収まり家の中を見渡すと、テレビがテレビ台から落ち、棚から落ち粉々になった食器類など、家の中は騒然。
母親と共に近くの小学校まで一緒に水を取りに行き、帰宅後に作ってくれたココアの味の本当の意味を私はまだ理解できる年齢ではなかったと思います。
あれから29年。記憶はいつしか私たちの中から薄れてゆき、今の安全な暮らしが当たり前だと思いがち。されど、私たちがいる平穏な「今」は決して当たり前ではないことを肝に銘じなければなりません。
1月1日にも能登半島を襲う大震災が発生し、今も多くの方々が大きな悲しみの中で生活しているのです。
大きな困難、深い悲しみを乗り越えることができる私たちは同じ悲劇を繰り返さないために歩むことができる。耐震技術の向上、能登半島地震発生時のNHKアナウンサーの「逃げて!」という必死の声、津波警報の連絡など、過去の災害を糧に未来を安全にしようという決意の現れなのだと思う。
一方で皮肉なことに、大きな困難、深い悲しみを人間自体が生み出してしまうこともある。人災は人間の愚かさであり、同じ過ちを繰り返す。天災から多くのことを学ぶことができる私たちが、なぜ人災から学ぶことができないのか。悲しみをできる限り減らす努力を私たちは怠ってはならないのです。