#252 語られない歴史の先に変化がある
高校野球の全国大会(夏の甲子園)で、決勝に進出した慶應義塾高校野球部が話題となっています。
慶應義塾高校野球部監督の森林貴彦氏は、高校野球の『常識』を打ち破るべく、部員と共に戦ってきたそう。
https://number.bunshun.jp/articles/-/858419?
多様性や人権がキーワードになる時代も後押しし、日本の伝統文化となりつつある高校野球の価値観にメスを入れる同氏は一躍「時の人」になりそうです。
新たな価値の創造。それは決して一人の力でできることではありません。それが世間の注目を浴び、世の中に浸透するまでに、名もなき多くの人の努力が積み重なっています。森林氏の考え方が今よりもっと浸透しづらかった時代にも、彼と同じような感覚を持ち、社会の『常識』に挑み続けた先駆者たちに思いを馳せます。
教育ジャーナリストの中曽根陽子氏が教師と社会がつながる場であるイベント「みんなの社会共創対話」を取材したという記事を見つけました。
元教師で現在はメンタルコーチとして教師をサポートする中楯浩太氏は、「いくらわれわれが命を懸けて授業研究をしても、日本全体は何も変わらない。先生だけで教育を変えていくのは苦しい」とその苦しい胸の内を語っています。
教育に真剣に携わり、その価値を信じているからこそ、今の学校現場に不満や葛藤を持つ。例え、その気持ちが正しいものだとしても、一人で背負うにはあまりにも大きい。周りからの同調圧力に潰されることもあるし、その不満や葛藤が、適切でない形で出力され、相手を傷つけてしまうこともある。
だからこそ、同じ思いを持っている多くの人が必要なのです。同じ理念を共有する仲間がいるからこそ、その理念は達成できる。そしてその仲間は、「過去」にもたくさん存在し、そして「現在」があるのだと。
中曽根氏は
と記事の中で書いています。
私自身の活動もまた、私一人で行っているのではありません。多くの先人たちの努力に敬意を表しつつ、同じ時代を生きている『仲間』と共に、「より良い教育の姿」を模索している最中です。