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#434 「脱」ではなく「卒」という視点で物事を見てみる
近年、学校教育においては「マネジメント」がますます注目を集めています。学校を円滑に運営し、教育の質を向上させるためには、優れたマネジメントが不可欠と言えるでしょう。
『田原総一朗と鈴木寛が語る「これからの教育のかたち」、なぜ日本は教育へ投資をしてこなかったのか?吉田松陰の松下村塾に今も注目が集まる理由は?』という記事を見つけました。
記事の中で強調されていたのは、学校経営がますます複雑化している現代において、マネジメントがいかに重要であるかという点です。学校は単なる知識伝達の場にとどまらず、多様なステークホルダー(利害関係者)を抱え、様々なニーズに応えなければなりません。この複雑性を解消し、学校全体を有機的に運営するには、的確なマネジメントが欠かせません。
個人的に思うのは、マネジメントは「理念の体現する方法」であるということ。理念や目標を達成するために、概してどのような「組織体」であるべきかを考えること。マネジメントは、学校経営全体として、短期的・中期的・長期的何をやらず、何をするかという明確なビジョンを打ち出してくれるのです。
東京大学教授、慶應義塾大学特任教授、社会創発塾塾長である鈴木寛(すずき・かん)は記事の中で以下のように語っています。
近代化は、私たちに数多くの良い恩恵をもたらしました。冷蔵庫が普及したことで、日本国内の胃がんの罹患(りかん)率はだいぶ下がりましたし、飛行機や新幹線が整備されたことで移動が便利になりさまざまな人に会えるようになりました。
例えば、中学校や高校に母校愛を持ち、先生にも感謝している。でもいつまでも生徒でいるわけにはいきません。卒業しなければならない。これが「卒」です。一方、その学校が嫌になったら中退しますよね。「こんな学校、もう二度と来るもんか」と。これが「脱」です。
組織の役割は、その組織の年齢や時代によって刻一刻と変化し、それは「理念」の変化につながることもある。時として理念の変化は、組織の存在意義を脅かすと考える人もいますが、それは組織の進化であると個人的には考える。進化は、今までの体制にリスペクトを払いつつも、より高度な次元に向けて、組織構造を変えていくこと。
鈴木氏が述べる「脱」ではなく「卒」の感覚を大切にしながらも、学校という組織もまた、進化するべき時がきているのだと思います。