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ベースボールでキャリア育成論 小学期-2 〜変態キャッチャー〜
〜変態キャッチャー〜
キャッチャーの指名
私には「変態」と称される特殊な能力がある――もちろん、おかしな意味ではなく、特異なスキルを指している。
この能力は、小学校4年生のとき、恩師からキャッチャーに指名されたことから始まった。
キャッチャーというポジションは、単にボールを受けるだけでなく、相手選手の癖を観察し、試合の流れを読む「記憶力」と「洞察力」が求められる。
恩師からも「人を観察し、癖を見抜け」と繰り返し教えられた私は、その教えに従い、チームや選手の特徴を細かく覚えるようになった。
変態的能力
特に熱中したのは、大会で配布されるデータブックの熟読だった。
そこに記載された全チームの選手名や背番号、ポジションを丸暗記するのが日課となり、その知識をもとに試合で相手を分析することに喜びを感じていた。
いつしか、この「人を知る」という行為が趣味となり、試合内容や選手のプレーを驚くほど細かく記憶するようになった。
それは30年近く経った今でも色褪せず、同窓会では友人たちから、
『お前、やっぱり変態だな」
と、冗談交じりに称えられるほどだ。
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この能力は、現在のビジネスシーンでも大いに役立っている。
営業先で初対面の相手の名刺を見て、「あのチームの〇〇選手ですよね?」と話しかけると、大抵の相手が驚き、そこから会話が弾む。
キャッチャー時代に培った
『人に興味を持ち、記憶する」
というスキルが、今でも人との縁を紡ぐ武器として活きているのだ。
振り返ると、キャッチャーというポジションを任されたことは、単なるポジション選びではなく、私の人生観や仕事の習慣に深く影響を与える出来事だった。
あのとき私をキャッチャーに指名してくれた恩師には、心から感謝している。