目の前に現れた女神は毛むくじゃらだった
”女神”
ゆっくりと目を閉じて想像してみよう。瞼の裏に現れる女神は、絶世の美女で白いロングドレスを纏い、優しく微笑みかけているだろうか?或いは、右手の松明を高々に天へと掲げているだろうか?
私の目の前に現れた女神は毛むくじゃらだった。
人一番警戒心が強く、人見知りの女神は、知らない人が現れると途端に身を隠す。白いロングドレスなんてものは着ていないし、そもそも何も身に付けていないのだから、大事な所ですら隠れていない。とんだ女神である。
そんな女神はとても早起きで、時計が5時半を回る頃には私たちを起こしにかかる。それでももう少し寝ていたい私は二度寝を決め込むが、5分も経たたずに二度目の女神の声が響く。
私はのそのそと布団から這い出て、女神に”おはよう”を言うべく女神の元へ向かう。ところが当の女神は、私なんかに見向きする事も無く一目散にドアの前へとスタスタ。そして、そのドアが開くのをじっと待つのだ。(時々”開けるのだ!”と叫んだりしさえもする。)
そう、女神は自身で下界への扉を開けることができないのである。女神様にドアを開けて差し上げると、ピョンっと下界へお出かけなさる。”いってらっしゃいませ” こうして彼女の1日がまた始まるのだ。
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私がどん底にいた時、この三毛むくじゃら女神にどれだけ救われただろうか。側にいてくれて、話しかけてくれて、どうもありがとう。海を渡った私にできた最初で最強の友達、そんな君は私の女神様。あなたがいなかったら、こうして笑っていられる私はいたのかな。
もうしばらく、これから先も私を救ってくれますか?