【初100マイル】OSJ KOUMI 100 2021
※本記事は2021.10.18のブログの再投稿です。
2021年10月8日(金)~10日(日) に長野県小海町で開催された国内でも有数の100マイルのトレイルランニングのレースOSJ KOUMI 100に参加してきました!毎年台風と重なる時期に開催されることで有名です。
特に去年の2020年大会は台風が直撃する中開催され、コースが川となった過酷なコンディションが各種SNSで話題になりました。
本記事では私にとっては初の公式100マイルレースとなったこの大会を振り返りたいと思います。一緒にKOUMIを振り返りたい人、来年出ようと考えている人、変態に興味がある人はご覧ください
OSJ KOUMI 100大会概要
大会名 OSJ KOUMI 100
開催場所 長野県小海町松原湖〜稲子湯周辺
開催日 2021年10月8日(金)~10日(日) ※選手受付は8日
距離 約175km(35km×5周)
累積標高 約7,500m(SUUNTO9計測)
より詳細な情報は大会公式HPからご確認を!
このレースの特徴はなんといっても35kmのコースを5周すること。詳細は後述しますが、この”周回コース”というのがこのレースの辛さでもあり楽しさでもありました。
走ることを決めた3つの理由
実は草イベントで初100マイルは完走していましたが(この記事はまた後ほど書こうと思う)、公式100マイルレースとしてKOUMIを選んだのには3つの理由があります。
林道4:ロード3:トレイル3という割合
走りやすい路面が多いので、仮に潰れた場合でもなんとか進めるだろうという魂胆です。
35kmのコースを5周というコース設定
概要に貼ったコース図を見ればわかるとおり、2つのループを1本の道で結んだような形になっています。このロード区間はいろいろな選手とすれ違えるため、トップ選手を見ることができたり知り合いと何度も会えたりします。これが良い気分転換になり、走り続けるエネルギーになると思いました。
メイン会場がセルフエイド
コロナ感染防止対策として昨年の大会から、メイン会場ではセルフエイドとなった。従来のドロップバックによるエイドよりも自由度が増しているので、その時の状況に応じた対応がしやすいと考えた。
目標とレースプラン
目標はなんといっても「完走」。初100マイルレースなので無理せず楽しく走ることをモットーにレースプランを組み立てることにしました。
走りやすいこのコースでは、前半に爽快に突っ込みすぎて、後半潰れるパターンが多いと聞いていたので、前半はできるだけのんびりといくことにしました。
ただ制限時間の36時間も意識して、こちらの時間設定で走ることに。
1周目 5:30 + エイド0:15
2周目 6:00 + エイド0:15
3周目 6:30 + エイド0:30
4周目 7:00 + エイド0:30
5周目 7:30
合計 34:00
とはいっても思ったとおりのタイムで走れることはほとんどないので、レース通して作戦を3つだけ立てました。たくさんのブログを読んで仲間のアドバイスを参考に立てた作戦。
単純だけど、これをやれば必ず完走できると信じて頭に叩き込んでレースに臨みました。
どんなに緩い上りでも一切走らない。
トレイルの急な下り以外の下りは全てのんびり走る。
上りは必ずポールを使い、下りはポールを必ずしまう。
レースレポート 〜前日受付や周回コースの様子〜
前日受付
ゼッケン番号毎に指定の時間に受付をするよう案内が出ていましたが、少し早く着いてしまったのでそのまま受付へ。特に混雑している様子もなくスムーズに受付ができました。
受付の後はセルフエイドの拠点となるテントを張るため待機。
ルール上は18:00から設営して良いことになっていましたが、時間前からソワソワした人たちが集まり始めエリアの縁に輪が広がっていました。
18時になったと同時にみんな張り始め、ゲートに近い場所(下の写真でいう手前右側)はいっぱいに。ただ思ったよりも混み合うことはなく、無事にスペースは確保できてほっと一息できました。
会場でのテン泊/車中泊は禁止されているので近くの松原湖オートキャンプ場へ行って車中泊。とても綺麗なキャンプ場だったので今度はのんびりキャンプに来ようかな。
当日レース前
2時半に起きておにぎりとスーパーで買った長野名物おやきをよーく噛んで食べて着替えを済ませ、3時には会場入り。
思ったよりも冷え込みがなく、スタート前から意気揚々。仲間と記念撮影をしているうちにあっという間にスタート時間となり、いよいよレース!
1周目(試走)
午前5:00。ホーンの音とともにスタート。
一気に駆け出したいところだがそこは我慢。そう、1周目は走りたい自分の気持ちとの戦い。これは事前の仲間との練習会の時に開かれたKOUMI完走講座で口酸っぱく言われていたことでもあります。
最初は下り基調の2kmのロードに伸びるヘッドライトの列は圧巻。とても綺麗でした。
ロードが終わると7キロの林道へ。ここは上り基調なのでポールを出してテンポよく歩きます。
走って抜かしていく人がたくさんいますがここは我慢。普段なら周りに呑まれて走るところですが、先は長いと言い聞かせて仲間と喋りながら歩き続けます。
林道の途中で陽も出て明るくなるのでライトもしまいます。
1時間ほどすると第1エイドの本沢温泉入り口へ。次のエイドは5kmのロードの先だし、まだまだ水はあるのでスルーします(結局レースの最後までこのエイドは1回も利用しませんでした)。
ロードパートは4km下って1km登り。帰りはこの逆。つまりすれ違い区間なので、何度も他の選手と会うことになります。
声を掛けて励まし合うこの区間がこのレースの醍醐味だと思いました。
稲子湯エイドに着いたらちょっと先に綺麗な公衆トイレ。とても綺麗で気持ちよく使えて毎周お世話になりました。
次はトレイルパート、レースの核心部分です。ぐるっと1周10キロですが最後は2km程度のロードです。初めは急な上りで途中は少し落ち着き、苔むしたとても綺麗なトレイルです。
ここも焦らずポールを使いながらハイキングペースで登ります。1時間半弱で最高地点にゅうの”分岐”へ。そう、”分岐”というのがポイントで何度も登るのに山頂は一回も通りません。笑
下りは最初は急で手も使いながら慎重に。グローブは必須ですね。
しばらく下ると綺麗に仮払いされた走れるトレイルになります。ここまであまり走れなかったモヤモヤが一気に晴れます。
ただここも脚を使わないように優しく下ることを心がけてゆっくりゆっくりと。
そして、ロードに出ると稲子湯エイドまでは緩い下りと上り。下りは走って上りは歩いて淡々と歩を進めます。エイドを過ぎた後のロード5kmは来た時と逆で少し下ってガッツリ登り。
やっぱり八ヶ岳の麓のスケールはデカいです。
最後、本沢温泉入口のエイドからは4kmの走れるトレイルの下り。ここは気持ちよくて少し飛ばしすぎました。トレイルが終わると最初のロードの脇道から出てきます。
約2kmのロードはダウンのつもりでのんびり走ったり歩いたりして会場に戻りました。
【1周目記録】Time 5°38’11″(計画 5°30′)、エイドTime 18’47″(計画 15’00”)
2周目(アップ)
1周目は計画したよりも押していたけれど、かなり力を抜いて走った結果だったので焦らずいこうと2周目に突入。すっかり陽も昇って1周目には見られなかった景色を見ながら、同じペースを意識しながら走りました。
完走に向けた作戦を淡々とこなして進んでいきます。
帰りのロードでトップとすれ違いました。聞く噂によるとトップは3時間50分を切るタイムで入ったとのこと。速い!!!
自分が全力で走ったとしてもそのタイムで帰ってくることは難しいと思うと、彼らはどんな練習をしているのか想像もつきません。
1周目の感触を思い出しながら走っていたらあっという間に2周目が終わりました。まだまだノーダメージで良い感じ。やっとアップが終わったという気持ちで自分のテントに戻りました。
【2周目記録】Time 5°41’14″(計画 6°00′)、エイドTime 14’01″(計画 15’00”)
3周目(本番)
3週目をスタートした時点でちょうど17時、これからないとパートに突入するのでヘッドライトを装着して走り始めました。
林道に入ったらもう暗く、暗闇をライトひとつで進んでいきます。上りは全歩きなので、運動量も多くなくこれは眠くなってくるんだろうなあと考えながら歩を進めます。
ロードの下りではガスが出てきてヘッドライトではほとんど前が見えない状況でした。手は空いているので、ヘッドライトを手に持ってハンドライトとして使うことで視界を確保できました。
トレイルに入ると2周目までに見ていた景色は暗闇で全く見えず、上まで行けばレースの半分は終わりと考えながら、ひたすら上を目指すという時間が続きました。
下りは脚を捻らないように慎重に慎重に。
ナイトパートの始まりということもあって気が張っていたからか眠くなることもなく会場に戻ってきました。
タイムは予定を大幅に巻いているけど、それほど飛ばしている感覚もありません。まだまだいけるという感覚で作戦通り。
次の周からはさらに冷え込むということもあり念入りに装備を整え、温かいカップラーメンを食べていたらあっという間に40分が経っていました。長居しすぎた。さあペーサーと共に出発だ。
【3周目記録】Time 6°00’27″(計画 6°30′)、エイドTime 39’41″(計画 30’00”)
4周目(我慢)
ペーサーを頼んだのは最近よく一緒に山へ行っている仲間です。ダメ元で頼んだら快諾してくれ、KOUMI を理由にいろいろギアを買い込んでくれたらしい。とても優しく頼りになる人です。
ここまでの3周での出来事だったりコースの様子などを話しながら行くとあっという間に稲子湯エイドへ。ペーサーの力は偉大ですね。
本当は綺麗な景色がそこにあるのに真っ暗闇で申し訳ないと思いながらも身体の様子を気遣いながらも引っ張ってくれる。
にゅうへの登りの途中で眠くなったことを伝えると、すぐにカフェイン入りジェルを出してくれました。メダリストをのジェルは初めてだったけど噛みごたえがあってとても美味しくて、気がついたら目が覚めていました。感謝。
トレイルパートをパスして、ロードを少し下ると長いロードの上りへ入ります。するとここで気付きました。「俺ら登り速くね??」たしかに周りをどんどん抜いている。
疲れてきたけれどポールを使ってテンポよく歩くとほぼ疲れを感じずに登れます。進んでいる感じがあると自ずと元気になって、登り切る頃には空も明るくなってきてパワーが湧いてきました。
一番の睡魔のピークを難なく越え、いよいよ最終周。笑っても泣いても最後の1周を楽しもう!
【4周目記録】Time 6°26’58″(計画 7°00′)、エイドTime 33’56″(計画 30’00”)
5周目(ウィニングラン)
ここまで大きく遅れることもなく疲労もそれほど感じずにやってきたけど、段々と食べ物を受け付けなくなってきたのを感じていました。5周目スタートした時も快晴で暑くなる嫌な予感。
それはにゅうの上りに入る直前で的中します。。。
完全に動けなくなる前に胃腸薬を飲みました。ここからしばらく続く登りに耐えられるか不安な気持ちでいっぱいです。
固形物は食べられなくて、甘いジェルも飲みたくないとペーサーに伝えるとなんでもいいから食べろとドライフルーツをくれました。「うまい。けど気持ち悪い。」
グロッキーになりながらも止まることなく登り続けると同じ状況になったランナー2組と出会います。
「にゅうの分岐まで周回ごとに遠くなっているよね〜」「でも最後くらい山頂行っとく?」そんな冗談を言いながら、励まし合って動き続けました。
やっとのことでピークに。ハイカーさんにも励ましの言葉をもらって残るはこのきつい下りだけ。踏ん張りがきかなくなってきた脚に喝を入れてゆっくりだけど下ります。
ロードの登りは得意のポールウォーク。最後の林道はペーサーがギリギリの速さを攻めてくれて7min/kmを切るペースで突っ走る。ロードに出た。
ここまでの道のりを噛み締めながら、二人で笑顔で登りは歩いて平らなとこは走る。最後まで徹底したこの走りでここまで来れました。
サポートメンバーともお揃いのTシャツでゲートをくぐる。やり切った!!!
【5周目記録】Time 6°28’08″(計画 7°30′)
【Finish】Time:32°15’23”(計画 34°00’00”)、順位108位
まとめ 〜100マイルって最高!〜
先にゴールした仲間も出迎えてくれて達成感に満ち溢れたゴールを迎えることができ、長かったけどあっという間だった175km。
コロナ禍でも開催してくださったOSJや小海町の皆さん、スタッフのみなさんにも感謝したいと思います。
また、KOUMI対策として練習に呼んでくれた仲間、たっぷり有料級のKOUMI講座を開いてくれた仲間、一緒に走ってくれた仲間にも感謝してレースレポートを終わりたいと思います。
また来年走っちゃおうかな!