初めてのお泊り保育、息子がいない夜
少し前、息子の保育園でお泊り保育があった。
年中・年長が参加するイベントで、息子は初のお泊り経験。
昨年4歳時点では「お泊まりなんて全然行きたくない」と言っていた彼だが、5歳の今年は「めっちゃ楽しみ~!」と言っていて成長を感じさせられた。
こちらも少しドキドキはするが、娘も保育園時代に経験している(当時は年2回あった)ので慣れもあり「行ってこ~い!」という心持ち。
前日に持ち物を一緒に準備する。
「ここに着替えが入ってて、こっちにはパジャマね」なんて言いながら。息子はきちんと話を聞いて、「わかった!」と親指を立てている。頼もしい、のか?少し笑える。
当日の朝、登園をすると、子どもたちみんな「わくわく」と顔に書いてあるような表情をしていた。反対に保護者は少し心配そうな顔。
「行ってらっしゃい!楽しんでね~!」
そう言ってバイバイをする。笑顔の息子と別れ、こちらが少し寂しくなる。
親と離れて、友達と先生と過ごす丸1日。絶対に良い経験になるはずだ。
どんどん成長していくよなぁなんて思いながら、職場へと向かった。
******
そして、夜は夫は仕事で遅いので、小3娘と2人でイタリアンレストランに行くことにしていた。娘は行きの車で「2人っきり~♡」と嬉しそう。
しかし、レストランに着いて少しすると
「〇〇〇(息子)がおらんと寂しいな……」と漏らす。
「ほんまやなぁ。なんか寂しいよな。今頃何してるかな?」
「ご飯食べてるかな?」
「食後のレクリエーションの時間みたいやな。そんで言うてるまに消灯やわ」
「え~!早い!楽しいやろな~。お泊り保育、めっちゃおもしろかったもんなぁ。いいな~」
なんて、初めは息子の話ばかり。
食事が進むうちに娘の話が中心にはなったが、やはり息子が気になる2人(私と娘)。折に触れて、今何してるかな~?という話していた。
そして、帰宅した頃、息子の学年の母親全員が参加しているグループLINEに、ぽつぽつとメッセージが届く。
どのメッセージも「愛しかないな」というような内容で、涙腺が緩む。息子のクラスのお友達、みんなめっちゃ良い笑顔してるもんな。まあるい愛情に包まれてすくすく育ってるんだな、とどこから目線かわからない感情を抱き、ちょっと泣いた。
そして、娘は「〇〇〇(息子)寝てるかな~?」「今日は朝も早かったしいっぱい遊んで寝てるんちゃうかな」なんて話しながら眠りについた。
私は、息子がいつも寝ている側にいなくて、少し寂しくて。息子の運動会の動画を観てニヤニヤ、心を落ち着かせてから寝た。
*******
翌朝、いそいそと保育園まで迎えに行く。
息子は笑顔で出てくる。「楽しかった!」と、元気いっぱい。先生のお話聞いて、色んな経験をさせてもらったことに感謝を伝える。
みんな安心したような、少し誇らしげな顔をしている。こうして、親と離れた場所で、ぐんぐん成長していくんだな。
「全然寂しくなかった?」
帰宅して少し落ち着いたタイミングで、こっそり聞いてみた。
「……夜、寂しくなっちゃった。けど、お布団から△△(娘)のニオイがしたから……。それを嗅いでたら落ち着いた~」
少し照れた表情でそう答える息子。
お布団、サイズ指定もあったので、娘が使っているものを洗わずにそのまま持たせたんだった。
一緒に聞いていた娘も少し嬉しそうな、はにかんだ表情をしている。
「ああ、そうなんか~。良かったな~布団、洗わずに持たせて良かったわ(笑)うん、来年もそうしよう。したら、安心して寝れるな!」
そう言って3人で笑った。
いるのが当たり前で、いなくなることで初めて存在の大きさに気づかされる。離れていてもお互いの存在が、力になる。
家族って、そういうものだよなぁと思う。
初めてのお泊り保育、息子がいない夜。
いないからこそ、お互いのことを想い合う、そんな夜になった。