
私が「お母さんしてるなぁ」と思う瞬間
子どもを産むと、“母親”になる。
けど、生んだ瞬間に「私はお母さんだ!」と思えた人はどれくらいいるんだろうか。私は「子どもが無事生まれてきてくれた!」という喜びに包まれたが、すぐ“母親”になったかと言われると、そうじゃない。
「私、お母さんになりました……!」みたいな、感情は芽生えなかった。
そして、お母さんだから〇〇しなきゃいけない、みたいな言葉はいまだにピンとこない。というか、「あ?そんなんお母さんだから、とか知らんねん」と私の反骨精神が騒ぎ出す。親としての責任はもちろんあるが、基本的に自分がやりたかったらやれば良いし、やりたくないことは無理にやらなくて良いと思う。子どものことは大好きで大切だから、優先することが多い。けど、それはやりたいからやってる。
我慢するとか自己犠牲の精神は好きじゃない。それは、いつか誰かのせいにしてしまう可能性があるから。
そんな私が、「なんかお母さんしてるやん自分」と思う瞬間がある。
私は食べるのが大好きで、食い意地がはっている。
突然なんの話やねんと思った方、少しお付き合いください。
「これが食べたい」と思ったものを食べれなかったり、分けなくてはいけないという事態になると少しブルーになる。口がその口になってるし、自分で食べたい。
日常の中で、子どもが好きなおかずやデザートを食べてしまって、私の分を狙っているなんて場面が定期的に訪れる。
「欲しいな~」
そう言われると、私は大体こう答える。
「だめ~!これはお母さんの分で~す!」
大人気のなさに口あんぐりである。どこかから「最低~お母さんのくせに〜」という声が聞こえる。
夫はそういう時、すぐ「良いよ」と言って分けてあげる。私はそれを横目で見ながら、大抵自分の分をしっかり食べる。だって、すみませんが、ちゃんとみんなの分を分けて用意しておりますからね。
そんな私であるが、たまには子どもに分けてあげることもある。というかデザートなども、基本子どもは多めにしてあげている。(押し付けがましい、やってあげてる感)
子どもがいない頃の私からは想像のできない行為である。
そんな時、心の中で
「あ~私、お母さんしてるや~ん!」
と思っている。食べるの大好き、自分も食べたいけど、子どもに分けてあげてるなんて!と。“我慢して分けてあげるのがお母さん”と思ってる訳ではないが、喜ぶ顔が見たくて自然に分けている時に感じる。
かなりしょうもないけど、これが自分でお母さんしてるな~と思う瞬間。しょうもなすぎて申し訳ない。授乳時や、PTAやっている時とか他にも色々あるやろ、とは思うが、その時には特に思わなかった。
あ、強いて言うなら、子どもの泥だらけの服をウタマロ石鹸でゴシゴシ予洗いしてる時もかな。
一人として同じ子どもがいないように、お母さんも一人ひとり全然違うはず。
ステレオタイプの母親像に全員が当てはまる訳がない。そんなん、なんか恐ろしくないですか。色々あって良いじゃない。あるに決まってる。母親である前に一人の人間なんだから。
子どもを産んで、少しずつ親としても育てられながら、それぞれがオリジナルの『お母さん』になっていくのかもしれない。
完璧な母親になんて絶対なれやしないけど、「お母さん大好き」と言ってくれるその笑顔を、1番に大切にしたい。食い意地がはっているしょうもない母親ではあるが、それだけは思っている。