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「こだわっていることはありますか?」と聞かれて
私は小さい出版社で働いている。
ある日、男性の同僚から『こだわり』や『こだわって使っているモノ』を教えて欲しいと言われたことがあった。媒体の企画を考えるヒントにしたい、とのこと。
こだわり…………。モノ……?
あかん、全く思い浮かばない。
私はかなりのめんどくさがりで、基本こだわりがない人間だ。可愛い雑貨などは全く買わない。こだわっている習慣なんぞ、全くない。
困ったな……。
同僚が「メガネは?良いところのかけてるやん」と助け船を出してくれた。
「あ~メガネね。確かに気に入ってかけてるけど、これはこだわって買った訳じゃなくて、怒りにまかせて買っただけやし……」
(※メガネに関して詳しくはこちらの記事で……↓)
悩んだ結果、シャンプー・トリートメント、そしてクレンジング・洗顔と答えた。
シャンプートリートメントは美容師の友達から、ハホニコのちょっとええやつを買って使っている。(少し安くしてくれている)クレンジングと洗顔は、エステ関係のお客さんから購入。自分にかける時間があまりないので、スペシャルケアよりデイリーケアをちょっと良いものに変えている、みたいなそれっぽいことを伝えたのだが、参考になったかは謎。
これをきっかけに私が本当にこだわっていることってなんだ?と考えてみた。よくよく考えてみて、本当にこれは外せないというものは、以下の2点だ。
①毎日3食は、きっちり食べたい。
②夜はちゃんと化粧を落として、お風呂に入って、お布団で寝たい。
これだけ。
①に関して言うと、美味しい温かいものを食べたい。お昼は抜きで~なんてのは信じられない。3食ちゃんと食べたい。腹が減っては戦はできぬ。
②は身体をしっかり温めてから、ちゃんと布団で寝たい。寝ないと次の日に響くから。
けどこれって、こだわりって言います?生きる上で必要最低限すぎる気がする。生物の基本。間違いなく企画の参考にならないことだけは確かだ。
noteで皆さんの記事を拝見していると、おしゃれな雑貨をおしゃれに飾ったり、裁縫や料理など素敵なこだわりを紹介されていることが多いので驚く。自分にはないものすぎて、羨ましく思う。眩しい。
結婚する時の家具選びなども、私は「なんでも良い」という姿勢を一貫していたので、こだわりを持っている夫が色々ピックアップしてきたものを、私は「ええやん」と言うだけ。(おかげで揉めるなんてことはなかったが)
注文住宅を建てるなんて言うことになったら、「もうなんでも良いから、目に優しくて、過ごしやすい空間にしてくださったらそれで良い。プロにお任せするーーー!」と丸投げしてしまうのが目に見えている。
こだわりはないけど、気に入るかどうかははっきりしているので、何を買うにしてもあまり悩まない。その時の感覚で心地良くて、自分に合っているものを選んではいる。
年齢を重ねるにつれて、自分にしっくりくるかどうか、そこにこだわる大人はかっこ良い。若いうちから何かとこだわっていると、幅が狭くなってしまう可能性もあるけど、自分に合うものがわかってきた大人がこだわるのは粋だなと感じるのだ。
「こだわっていることはありますか?」と聞かれて、上記のようなことをあれこれ考えた私。
同じ部署は男性が多めなのだが、もう1人年下の女性社員がいて仲良くしている。彼女は私と感覚が近い。そんな彼女も同じ質問をされていたので、なんて答えたん?と聞いてみた。
「『こだわりがないのが、こだわりです』って答えました。考えても全く何も浮かばなかったんですよ」
「……おう、まじか。なんか逆に清々しくてかっこええなぁ」
同じような人間がいた!しかも、こんな近くに!と喜び、安堵した。
それと同時に、40代に突入する頃には、「私のこだわりは〇〇です」と一つくらいスラスラ言えるものを用意しておきたいなぁ、なんてことを考えている。