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2014年5月の記事一覧
彼の散歩とわたしの日常【前編】
文字数:約4200(読了まで11分ほどいただきます)
彼が私を散歩に行こうと誘っている。
庭から縁に膝で乗り上げ、えくぼの頬に笑みを浮かべ、私を誘っている。春の昼下がり。特にしなくてはならない用事もない。
「いいわよ」と応えた。
私は開け放した続きの間で、ふすまに半分隠れ、淡いグリーンのカーディガンに袖を通した。その様子を眺めていた彼が、
「なんだかおいしそうな色だよね。桜餅というの
彼の散歩とわたしの日常【後編】
前編はこちらです → https://note.mu/iori_m/n/nab0fa9ed27ef
文字数:約5300(読了まで14分ほどいただきます)
「月がきれいだよ。見においでよ」
出先から戻ると、待っていてくれたのか彼が庭に立って手招きしている。 鈍色の喪帯を解こうとした手を止め、縁に出た。夜空には高く、銀細工のような丸い月があった。
「ほんとね……きれい」
この前に誰かと月を見上
「ふたりで生きてゆく」(hana sakuraiさん 「ふたりで生きてゆく。きょうもあしたもいつまでも。」) より
このお話は hana sakurai さん撮影のお写真より着想させていただきました。こちらの作品です → https://note.mu/hanas/n/nc402cb3f36e9
hanaさん、どうもありがとうございます<(_ _)>
『もしもし、北川さんのお宅でしょうか。奥さまですね? こちら市民病院です』
土曜日の昼下がり。予期せぬところからの電話。
『落ち着いてお聴きください。ご主人
『一期一会』(nanacoさん) によせて
コラボさせていただいたお写真はこちらです。→ https://note.mu/nana_co/n/n0a9e42f4caa8
nanacoさん、どうもありがとうございます<(_ _)>
それでは、お届けします。
「一期一会 によせて」
この出会いが運命なのだとしたら、神さまはなんて残酷なんだろう。
あなたは旅人。一つところに留まることのできない風の民。
別れの時間が迫る。
ああ、神さまは時間