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夏のあいだ、カリフォルニアの音楽を聴いていた

ハリウッド、シリコンバレー、ベニスビーチ、ヨセミテ。
カリフォルニアは、自然も文化も多様である。
ロサンゼルスを中心とした、南カリフォルニアの印象が強いが、砂漠、荒野、山岳地帯、森林地帯とさまざまな表情が見られる。

「陽気で能天気なアメリカ人」という、イメージの起源はカリフォルニアの連中であろう。とは言え、もちろんそれは前時代的というか、ステレオタイプな思い込みである。

シニカルではないイギリス人や、明るくパーティー好きな北欧人、シャイなカリフォルニア人をたくさん知っている。固定観念は良くない。

しかし、クリント・イーストウッド監督により映画化された、自伝『アメリカン・スナイパー』の著者、クリス・カイルは

南カリフォルニアは頭のいかれたやつらの国だ。暮らすならもう少しまともな場所がいい。

『アメリカン・スナイパー』田口俊樹訳、クリス・カイル、ジム・デフェリス、スコット・マキューエン著、早川書房

などと述べていて、必ずしも間違ったイメージとも言えないようである。ただ、南部テキサス出身のクリス・カイルは、保守的な考え方の人物であったことが、同著からうかがえる。

温暖な地中海性気候で、カラッと晴れた日が多いためか、開放的で、チャレンジングな土壌がある。Apple、Google、Meta、Amazonの4大テック企業は、全てカリフォルニア発祥だ。

また、パタゴニア、ザ・ノース・フェイス、リーバイス、ブリクストンといった、アウトドア、アパレルブランドも同様。挙げたらきりがない。

そして、音楽もそうだ。

カリフォルニアの音楽

季節によって、ある程度聴く音楽の傾向は変化すると思う。夏や冬は特に顕著ではないだろうか。

「夏は、カリフォルニア。月のころはさらなり」と、清少納言もレコメンドしていたように、カリフォルニアのイメージは、やはり夏なのである。

そういったわけで、カリフォルニア出身、または拠点にしているミュージシャンの楽曲でプレイリストを作って、夏のあいだ聴いていた。

カリフォルニアならなんでもいいや、という選曲ではなく、僕の好きなミュージシャンの好きな楽曲を並べた。古めのナンバーが多いのは、長年聴き続けて、自分の中で夏のイメージが定着しているものをピックアップしたためである。

残念ながら、プレイリストに加えることができなかった曲がいくつかある。CDにしか収録されていないボーナストラック、国内盤のみのボーナストラック、オフィシャルサイトでの配布のみのもの、などである。

夢の国カリフォルニア

陽気で能天気なカリフォルニアのプレイリストだが、ほとんどの歌詞から、苦悩やタフなライフスタイルを垣間見ることができる。だいたい、陽気で能天気な人間は、身を削って音楽なんか作らないのであろう。

カリフォルニアは夢の国などではないのだ。凶悪犯罪の発生件数は全米1位である。エンターテインメントと、最先端テクノロジーと、エゴと、悪意と、偽物の笑顔が支配する、頭のいかれたやつらの国なのだ。

僕はカリフォルニアが大好きだ。

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