薪ストーブの掃除
ついこの間まで暑くてたまらなかったのに、あっという間に秋になった。日中はさわやかに晴れて心地よいが、明け方などには気温が一桁近くなる。季節は、ちゃんと進むものである。
僕は山に住んでいる。それなりに標高があるので、やはり朝晩の寒暖差が大きい。まだ、服装で調整できる気温だが、本格的に寒くなる前に薪ストーブのメンテナンスをしておかねばならない。
薪という燃料
山に住む利点として、「薪が豊富に手に入る」というところがある。僕は自治体による「原木バンク」のようなものに登録している。倒木や障害木があると、「これこれこの辺りに置いてあるので、持っていってください」というアナウンスがある。
知らせを受けると、トラックにチェーンソーを積み込んで現場に向かう。基本的には早いもの勝ちだ。けれど、原木バンクメンバーはみな知り合いどうしなので、ひとり占めするようなものはいない。いないと思う。
また、自分の住んでいる山の木も薪になる。倒木はもちろん、山の環境のために間伐した木も有効活用できる。
無料で燃料が手に入るのでありがたいが、そのままではただの巨大な丸太である。ストーブのサイズに合わせて玉切り、さらに薪割りをして、1年から2年乾燥させなくてはならない。
手間も時間もかかるが、代えがたい冬の暖かさが手に入る。それなりの重労働だが、とてもよい運動になる。一石二鳥である。
薪ストーブで焚いた薪は良質な灰になる。これは、春に肥料として畑にまかれ、土を健康にしてくれる。山菜などのあく抜きにも使用できる。一石四鳥ほどになる。
薪ストーブの掃除
薪ストーブはしっかりメンテナンスをしていれば、少なくとも80年は使うことができるそうだ。とはいえ、シンプルな機構なので、メンテナンス自体はそれほどむずかしくない。
まずは煙突の清掃である。薪を燃やす以上、どうしても煙突内にススが付着する。あまりに汚れると不完全燃焼になってしまうので、シーズン中も定期的に煙突掃除をする。
煙突には掃除用の窓があるので、そこから専用のブラシを入れてススを落としてやる。薪ストーブの燃えが悪い原因のほとんどが、吸気か排気の不全にある。なので、ていねいに掃除をする。
つづいて、トッププレートを取り外し、煙突から落ちてきたススをとり除く。トッププレートの裏側もきれいにしておく。吸気口にほこりなどが詰まっていないかチェックする。
水で濡らした古新聞などに、炉内に残しておいた灰を付けてフロントガラスの内側をみがく。灰のアルカリ成分が、汚れをよく落としてくれる。
トッププレートを戻し、サビ予防のために全体にオイルをぬる。特に専用のものなど必要なく、サラダオイルやオリーブオイルなどでよい。ちょうど、消費期限切れのリンシードオイルが少し残っていたので塗る。
乾拭きをして完了。ピカピカになった薪ストーブをながめながら一杯やるととてもよい。あとは試し焚きをするだけである。
あまりにきれいなので、火を入れるのがためらわれる。