
ひょいと履けるブランドストーンのブーツ
脱いだり履いたりが多い毎日
朝、コーヒーをいれ、飲みながら外に出る。犬たちはもう起きていて、「腹が減ったぞ」と、ウッドデッキの上で飛び跳ねている。朝食を与え、水をかえる。頭をなでてやると、「あとにしてくれ」といった表情でこちらを見る。
ニワトリたちを小屋から出し、畑の一画に作った囲いの中へ誘導する。少しづつ大きくなってきた、大根や小松菜の葉を食べてしまうからだ。彼らはナスの葉が好物らしく、夏の間もりもり食べていた。さすがに飽きたようで、新顔の青菜類に目をつけたのだ。
産みたてでまだ温かい卵を回収する。あとひと月もすれば、今年誕生したヒヨコたちも産み始めるだろう。産卵場所を決めておかないと、それぞれ気に入ったところで産んでしまうので、家の周りを探すはめになる。
朝食用にナスやモロヘイヤ、バジルを少し収穫して家に入る。今季のトマトはもう終わってしまったので、そろそろ片付けなくてはならない。
そんな具合で、朝に限らず、僕は出たり入ったりすることがとても多い。その際に着脱しやすい履き物として、ブランドストーンのサイドゴアブーツを愛用している。
サイドゴアブーツが、ちょうどよい
山に住んでいるので、外に行くとどうしても足もとが濡れたり汚れたりする。本格的に畑仕事をするなら長靴、山仕事や大工仕事をするならブーツを履けばよい。庭先のはき掃除や、外に洗濯物を干す時はサンダルで充分である。
朝のルーティーンや、畑にハーブや薬味を摘みに行くのは、そのちょうど中間くらいの行為だ。よいしょと長靴を履くのは手間だし、気軽にサンダルを突っかけて行くと足が泥だらけになる。
そういった際に、ブランドストーンのサイドゴアブーツがちょうどよい。ソールが軽くて柔らかめなので、ハイカットのスニーカーのような感覚で履くことができる。正直なところ、履く手間は長靴とそれほど変わらないのだが、脱ぐのは簡単だ。
レザーアッパーだが防水性能がなかなかのもので、汚れを落とすことも手入れをすることも楽で、とても助かる。一応、半年に一度ほどきれいにしてからオイルを入れている。
一見、弱点のなさそうなブランドストーンのサイドゴアブーツだが、実はとんでもない時限爆弾を抱えているのである。
加水分解。逃れられない呪い

歩いていたら、足もとから「キュイー」といったような音がした。「キュイー」と鳴く生き物を踏んづけてしまったのかと思い、地面を見たが何もいない。
「まさか」と、ブーツの裏を確認すると、案の定ソールが割れていた。ブランドストーンのソールはウレタン製なので、いつか必ず加水分解を起こす。製造された瞬間からそのカウントダウンは始まっているのだ。
とにかく脱いで確認してみよう、と一歩を踏み出したら反対側のソールも「キュイー」と鳴いて割れた。見事なものである。
軽くしなやかな履き心地の代償なのか。
どう修理するか
ブランドストーンは修理依頼を受け付けているので、相談してみるのが一番よいだろう。
けれど、いずれまた加水分解を起こすソールに交換したいか? と、考えると非常に悩ましい。修理屋さんで、ビブラムか何かのラバーソールにしてもらったほうが安心ではないか、という気持ちもある。
ただ、そうなるとブランドストーンらしさと言える部分はなくなってしまう。それに、大手術になるので修理交換費用が高い。
どうするか決められないまま時だけが過ぎてゆく。
最近は毎朝、よいしょと長靴を履いている。