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バイトに行くつもりが、海を経由して児童相談所にたどり着いた話

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細切れになって4つになった続き物です
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#家出

バイトに行くつもりが、海を経由して児童相談所にたどり着いた話④

バイトに行くつもりが、海を経由して児童相談所にたどり着いた話④

時間が経ちすぎて記憶が薄れてきてしまったが、とりあえず最後まで書くことにする。

「児童相談所ですが…」

知らない番号からの電話に出ると、絶対に関わらないだろうと思っていた場所からだった。

しかし関わることなどないと思っていたのは中学生までで、高校生になってからはもう心当たりしかないのだ。度重なる補導やつい先日の警察を巻き込んだ騒動。私はついに親に捨てられ、児相に保護されるのかと思った。

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バイトに行くつもりが、海を経由して児童相談所にたどり着いた話③

バイトに行くつもりが、海を経由して児童相談所にたどり着いた話③

祖母の家に向かうことが決まったので、私は警察官に剥がされたリュックを背負い直し柵の中からフラフラと出た。

親が帰って静かになったロビーを通った時、どこか安心した気持ちがあったが、同時に、両脇に警察官に付き添われ再び警察車両に乗り込もうとしている自分の状況を俯瞰し、「なんでことになってるんだ」という虚無感に襲われた。俯瞰して見た自分はまるで、ニュースでよく見る逮捕されて出てくる犯罪者のようだと思っ

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バイトへ行くつもりが、海を経由して児童相談所にたどり着いた話①

バイトへ行くつもりが、海を経由して児童相談所にたどり着いた話①

1年前の5月頃。その日は死ぬほど気分が重かった。気分がダメな日に限って空は晴れているもので、その日も嫌なくらいに晴れていた。

バイトに行かなければならない

そんな小さなプレッシャーに、私は心をやられてしまっていた。たったそれだけのことで心がやられるまでには過程があるけれど、省略して言うと、その頃の私はめちゃめちゃに精神を病んでいた。

バイト先に向かうふりをして店を通り過ぎ、最寄りの1駅先まで

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