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読書日記 #1 限りある時間の使い方

転職活動に関する日記ばかりだとネタがない息が詰まるので、息抜きに読んだ本の感想を書くセクションを作った。第1回はコチラ、「限りある時間の使い方」(かんき出版)。

原題は”4000 thousand weeks”。人生80年間と考えるとたった4000週間しかないよ、という意味なのだが、だから時間を効率的に使おうというよくある時間管理の自己啓発本の一種ではない。むしろ、たった4000週しかない一度限りの人生であることを心から認識して、きちんと人生と向き合い味わい尽くそうという内容だ。
明日死ぬとしたら何をしますか?という問いは7つの習慣をはじめとする自己啓発本によく登場するが、例え話でなく、明日、いや次の瞬間死んでしまっても何もおかしくはない。その中で、今家族や友人、仕事と出会い、過ごしているということがもはや奇跡的であることをよくよく感じてみる。過度な基準で自分を追い詰めなくても、何か一つ成し遂げただけで十分すごいことなのである。

今キャリアに悩み、何を軸に転職しようかと考えている自分にとって、福音のように心に響いた。SNSでの風潮を見ていると、いかに効率よく年収アップしていい生活をするかを争いあっているように見えるけれど、それより自分にとって大事なものは何か。それを大事にしながら生活を送れる状態こそ、自分にとって理想だと感じた。

最後の章で、著者はハイデガーを引用しながらこのように書く。時間は管理できない。なぜなら私たち自身が時間なのだから。時間の外に身を置くことができない以上、コントロールすることはできないと。
これは日本の禅宗の祖師である、道元禅師の言葉とも全く一緒だ。

いはゆる有時は、時すでにこれ有なり、有はみな時なり。

道元 正法眼蔵「有時」

時間はすなわち存在であり、存在とは時間である。

効率的に生きることとはまた違った意味で、人生を隅々まで味わい尽くそうと感じられた一冊だった。

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