喰らうことは生きること。『土を喰らう十二ヵ月』が教えてくれたこと

今回はkayserが担当します。
先日、沢田研二主演の『土を喰らう十二ヵ月』を劇場で観てきました。作家の水上勉が雑誌「ミセス」に連載していた料理エッセイを原案に、映画監督、中江裕司が監督、脚本を担当した意欲作です。
今回は『土を喰らう十二ヵ月』を中心に、食にまつわる作品を紹介します。それぞれの作品の魅力にも迫ります!

自然の恵みに感謝!旬を喰らう日々を描く『土を喰らう十二ヵ月』

「なんと贅沢な映画だろう」本編鑑賞後、一発目の感想として、そう感じました。

信州の山奥で、一人、暮らしている作家のツトムさん。9歳から禅寺に住み込み、精進料理を学んだ彼が、畑で採れた野菜や山で収穫した山の幸を使い、日々、料理する姿を描いた作品が『土を喰らう十二ヵ月』です。

モデルとなった水上勉が、婦人雑誌ミセスにて連載していた料理エッセイ『土を喰ふ日々 わが精進十二ヶ月』『土を喰ふ日々━わが精進十二ヶ月━』。これらのエッセイからインスパイアされた映画監督中江裕司が物語を創作し、真知子というツトムの恋人も作り出しました。演じでいるのは、松たか子です。

『土を喰らう十二ヵ月』魅力とは

白馬の古民家を借りて、ツトムの家として飾り、家の前をスタッフ総出で畑にしています。リアルな畑から採れる野菜がなければ、この映画は成立しません。

また、本作である意味、主役といってもいい料理たちを生み出しているのが土井善晴。数々の精進料理を監修しています。

実際に、沢田研二が日々、料理をしていることから、土井が指導したのは、必要最低限のことだけ。沢田の手は、材料を労わるようにふれると土井はいいます。

本編を観ればわかりますが、深みのある素敵な手が、素朴な素材を美しい料理に、仕上げていく様子が印象的です。

この山奥で、一年を通して、季節ごとの旬の素材を喰らうツトム。毎日毎日、同じことを繰り返し、食する日々。喰らうはことは生きること。それを体現して観せてくれているのが、本作の魅力であり全てです。

懐かしい日々

筆者にとって、劇中に登場する野菜や山菜を喰らうシーンは、懐かしい幼い日々を思い出させてくれるものでした。埼玉の田舎で育った筆者の家では、庭と畑にだいたいのものが揃っていて、日々の食卓を彩っていました。

ふきのとうたらの芽柿の若葉のびるなど春になると美味しい山菜に舌鼓したものです。夏には、生で食べるなすきゅうりトマトに大量のじゃがいも。秋には柿の実、冬には畑で採れるだいこんねぎなど一年を通して、美味しいものが溢れていました。

旬に旬を食べる。当たり前のことではありますが、今となっては贅沢なこと。ツトムが漬ける白菜は、母の味を思い出し、同じような風景が蘇りました。自分にとっての原風景がそこには、広がっていました。

最近見つけた宝物

『土を喰らう十二ヵ月』を鑑賞したちょうど同じ頃、偶然、素敵なマンガ作品と出会いました。それは『しあわせは食べて寝て待て』です。

ある日、難病を発症した主人公。仕事も変わり、生活がガラっと変わることに。薬を飲み続けるも、偶然知った薬膳に興味を持ち出します。

団地に移り住み、そこで知り合った人たちとの交流や薬膳に癒やされていく主人公。病気と付き合いながらも、食を通して、身も心も整えていく主人公に共感しっぱなしです!

「食べることは生きること」。多くのグルメマンガや映画、ドラマが存在しますが、今回、紹介した作品たちは、シンプルに人が生きるための食の大切さを教えてくれます。

自分を大切にすることの基本は、きちんとした食生活を送ること。実は、難しいことでもあるのかもしれませんが。

薬膳に関しては、『しあわせは食べて寝て待て』を参考に、いろいろ調べていこうと思っています。この後の自分の人生が豊かになるように。

kayser




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