苦しまずに半自動的に小説が上手くなる方法があった
小説が書けないとき、ほとんどの人が「何を書けばいいのかわからない」と言います。小説を書いてみたいはずなのに、書くことがわからないとはどういう状態なのでしょうか。
私自身がそうでした。私は自分が「小説が売れて有名になりたいけど、小説は書きたくない」人なのかなと思ってました。落ち込みました。
でもある日、そうじゃないことに気づきました。書きたいものというか、イメージはなんとなくある。でも書けない。方法がわからない。だから楽しくない。
「めっちゃ書きたいものがあるけど書けない」
このことこそが、「何を書けばいいかわからない」の正体なのです。
小説を書くための方法
自分の書きたいものにこだわると、小説は書けなくなります。
なぜなら、書きたいとおりに書けなかった作品が、すべて失敗作になるからです。失敗すると、モチベーションが下がって小説を書くのが嫌になります。
こだわりはある意味、病気のようなものです。なってしまうと、治すのがなかなか大変です。
では、どうすれば、こだわりの病から抜け出し、小説は書けるようになるのでしょうか。その答えは、
・技術の進歩に目を向ける
・考えずに書けるようにする
この二つです。
技術の進歩に目を向ける
技術の進歩に目を向けると、こだわりから解放されます。
自分の理想にこだわるあまり、小説を書く回数が減るのが、小説を書く上でいちばん致命的です。なぜなら、基本的に小説は書けば書くほど上手くなるからです。小説が書けない初心者のほとんどは、読まなさすぎではなく、書かなさすぎることが問題です。
技術の進歩に目を向けると、失敗を恐れなくなります。理想にこだわると、理想ではない作品が出来上がるのに耐えられません。
でも、技術の進歩を書くことの目的にすると、得体の知れない作品が産み落とされても、距離をもって接することができます。少しだけ書くことが上手くなったという、成長の手ざわりがあるから、冷静になれるのです。
考えずに書けるようにする
書くときの最大の敵は「考える」ことです。いや、書くことだけでなく、あらゆる創作においてそう言えるかもしれません。
創作は知識でするものではなく、ある種の運動神経が必要です。長いこと小説を書いていないとなかなか書けなくなりますが、それは小説を書くための運動神経みたいなのが、鈍くなるからでしょう。
考えずに書くことが、書けるようになるための近道です。こだわりは下手な考えによって発生します。
いま書けるレベルのものしか書けないんだと、健全な諦めと割り切りで書いていきましょう。
具体的にどうするか
結論ですが、自動的に小説が上手くなる方法は、他人の作品を読みながらメモを取るのが役に立ちます。
「そんなのやったことあるわ」という人がほとんどだと思います。でも、それであまり効果を感じなかったから、他に良い方法がないか探しているわけですよね。
他人の作品から学ぶのには、やり方やコツが存在します。
とてもポピュラーな上達法なだけに、ちゃんとしたやり方が広まっていないのです。それをふまえないと、いくら他人の作品を読んでも無意味です。
では、そのやり方やコツとはどんなものか。じつはとても簡単です。
学んだことをメモする
自分で真似してみる
この2つだけです。
学ぶのが下手な人の共通点
まず、他人の作品で学んだことをメモしていきます。多くの人がすでにやっています。しかし、なぜ上手くいかないのでしょう。
上手く行かないのは、自分の悩みを解決する形でメモを取らないからです。
かつては私もそうでした。大好きな小説から学びたいと思って、感想や印象、作品を面白くする演出効果などをメモしていましたが、まったく役に立ちませんでした。
なぜなら、私が困っていたのは「何を書いたら良いかわからない」ということだったからです。
当たり前ですが、他人の作品の感想や印象は役に立ちませんし、演出効果は「どう書くか」に関係するものなので、「何を書くか」で悩んでいる人には無意味です。
具体的な解決策
この文章を読んで下さってる方も、かつての私と同様に、「何について書くべきか」に悩んでいるはずです。では、じっさいにその観点でプロの小説から学んでみましょう。
例えば、千葉雅也さんの『オーバーヒート』という作品にはこんなことが書かれていました。
・ボーイフレンドとの事後からボーイフレンドが帰るまでの時間について(親しい人との時間について)
・ランチに入った店でおばちゃん連中の愚痴に出くわした(はじめて行った場所で変わった人物に出会った)
・哲学書を読むために入ったカフェで行儀の悪い男に欲情した(外出先で見かけた人への印象について)
カッコは私なりの要約、抽象化です。ここから自分で文章を書くとき、やりやすいようにしています。
選定基準は「自分が書いたことがない」ことです。「自分で書いてみたいこと」でも良いですが、やりたい気持ちは調子に左右されやすいので、やはり注意が必要です。
これで自分だけの「すぐに使えるメモ」が取れました。あとは、これを自分の作品のシチュエーションに置き換えて書いてみます。例えば、「親しい人との時間」なら、父親と銭湯に二人で行って、そこでいつもと違う父親が見れたとか、そういうのが書けるでしょう。もちろん、そのまま自分のパートナーとの事後のやり取りを書いても良いと思います。
お気づきの方もいるかと思いますが、これは「小説を考えずに書く」ための方法でもあります。取ったメモの中から一つ選んで、書いていくだけになるので、ゼロからネタを考えずに済むわけです。
小説初心者向けの本とか読んで、「ちゃんと自分で書かないとな」と思いつつ書けなかった人も、手元に書くネタがまとめてあれば、すぐに書けるはずです。私もまだまだ練習中なので、いっしょに頑張っていきましょう。
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