『高校数学のロードマップ』B_2(参考編_数編)1(自然数と整数と有理数)1(0除算)
(※注:「理系に進学したいが数学が苦手な知人の高校生に、数学の良さを教える」というミッションのための草稿を、あらかじめWebに掲載して、ダメなところを指摘してもらおう、という趣旨の記事です)
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〇自然数と整数と有理数
●引き算で悩まない整数
★0÷0=?
・整数以上で、やれば出来そうに見えるが、実際には演算としては許容されていない、0除算(れいじょさん、ぜろじょさん)、”÷0”について説明します。
(重要度はそれほど高くないので、飛ばしてもらっても構いません。)
・掛け算と割り算は表裏一体の関係にあり、直感的には掛け算をひっくり返すと割り算になります。
掛け算だと、
a×b=c
のとき、a=0とすると、
0×b=c
になります。普通、数の計算ではc=0になります。つまり、
0×b=0
です。
これは、bに何を入れても成り立ちます。
・これをひっくり返して割り算をすると、
c÷a=b
ですが、
c=0, a=0, b=(何を入れても成り立つ)
なので、
0÷0=(何を入れても成り立つ)
ということになります。要するに、この形の割り算だと、bの答が決まらないのです。
・ただ、これだと、bの答が決まらないのは、c=0のせいかa=0のせいか分かりません。
ということで、どちらかを判別する方法が必要になります。
★0÷?=0
・b=0のときは、
a×b=c
はa×0=cなので、c=0であり、
a×0=0
です。
これは、aに何を入れても成り立ちます。
・これをひっくり返すと、
c÷a=b
は、
c=0, a=(何を入れても成り立つ), b=0
なので、
0÷(何を入れても成り立つ)=0
となる。
つまり、常に
0÷a=0
になります。この形式の場合は右辺であるbに、特定の答、0が出る。
というのが基本です。
基本ということはどういうことか? そうです。さっき見たように、この形式の場合、一つ例外があるのでした。
★?÷0=?
・0÷a=b
の場合はb=0という特定の答が出る。
これは常にこうであると考えたくなりますが、例外があります。つまり、
0÷0=b
のときです。このとき、b=(何を入れても成り立つ)なのでした。
・じゃあ、上の場合、bの答が決まらないのは、c=0のせいではない。
基本的に、c=0の時は、b=0になる。
それ以外の理由があるせいで、bの答が決まらなくなる、としか考えられない。
・となると、この場合、bの答が決まらないのは、a=0のせいと考えるしかない。
つまり、
c÷0=b
の時はbに何を入れても成り立つということです。つまり、bにおいて特定の答が出ません。
ちなみに、これはcがどんな値だろうが関係なくこうなるので、つまりはcに何を入れても成り立つということでもあります。
・cに何を入れてもいいなら、もちろんc=0でもいい、ということになる。実際にc=0とすると、
0÷0=b
です。この時も相変わらずbに何を入れても成り立つのでした。そうなると、
0÷0=0
とはならずに、
0÷0=(何を入れても成り立つ)
ということになってしまう。という風に考えます。
・そういう訳で、”c÷a=b” という形の割り算で、a=0の場合、常に、bの答が決まらなくなります。これは、”÷0”という割り算をすると、常に、特定の答が出なくなる。ということです。だから、特定の答えを出そうという問題としては採用出来ない。という扱い方をします。
まあ、重要度はあまり高くない話なので、頭の片隅にでも置いておいてもらえればそれで結構です。