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数学(2024/11/26):2024年の数学作業、一旦ここまで

1.出すかどうかも分からない数学本企画をゴリゴリやっていた

今までやって来た数学独学を元に、「数学の全体図を作ろう」という企画がずっとあり、その商品化のお話があったのですが、結局今の品質では出したくないためお断りしたのでした。

その際に、法務上の整理と、原稿の整理を行っておりました。
今回は後者の話をします。
何かというと、
「今後また商品化の話があった時のために、数学本の骨子は作っておいて、他人に示せるようにしておかねばならない」
ということで、出す本の構成を考えていたのでした。

2.構成についての試行錯誤

2.1.構成の方針

この本の概要は「数学の全体図を見やすく示す」ことです。
見慣れた概念を一里塚として、

  • これらの得体の知れない概念について、勉強する意義が感じられないが、これらは何者なのか、やって役に立つのか、そうではないなら単に気力を消耗して疲弊するだけではないのか、だとしたらやはりやってられない、とあなたは疑問に思っているかもしれない

  • 実は、ある種の究極構成要素がある

  • 究極構成要素とその加工物を使えば、概念Aが作れる

  • 概念Bは、概念Aとその構成要素を使えば、作れる

  • 概念Cは、概念Bと概念Aとその構成要素を使えば、作れる

  • 概念Cは科学に欠かせない

  • 科学は、身近な割に得体の知れないこの世界を知り、やっていき、渡っていくために欠かせない

  • 結局、究極構成要素とその加工物も、見慣れた概念AもBもCも、科学も、この世界を渡っていくための大事な基本道具なのであった

  • だからこれらはこういう者だし、やって役に立つことは保証するし、役立て方も示す

という論法で進んでいく、そういう本です。

だから、

  • 下の構成要素から上の加工物への構築の経路を示す

  • 世間一般の生徒が何となくは呑み込める程度の必要最小限の説明にとどめる

  • しかし構築に誤りがあってはならない

  • いくつかの見慣れた概念を章レベルで一里塚として示す

  • 「こういう経路で構築されていく」という全体図をあらかじめ示す

ということが主たる方針になってきます。

2.2.各種年齢層対策

ある方と会食した際に、アドバイスを受けました。

「世間一般の生徒の、算数や数学に対する忌避感は、数学徒や数学独学者が思っているよりはるかに強いと考えるべきである。
「算数や数学が好きだ」
という数学徒のノリで書くやつの数学案内など、生理的に拒絶されて当然と思うべきである。
実際には
「嫌だろうが何だろうがやるしかないんだからやれ」
という状況で算数や数学をやるしかない相手に、
「楽しいからやってみよう」
と言い抜けるやつ、相手の気持ちが分からない異常者であり、そんなやつの話なんか聞きようがない」

まあ、それはその通りなのです。

「己が好きだから、お前も好きになって当然だろう」
「嫌だ? 何を言っている?」
「嫌だ嫌だと言っていても本当は気持ちいいんだろう」
「そうでないお前はおかしい。己の方が正しい」
「いいから言うとおりにしなさい」

実際の運用ではしょっちゅうこのパターンに堕しますし、はっきり言いますと、これはそういう性犯罪者の発想です。

***

また、こうも言われました。

「あなたの書こうとしているものは高度すぎるように聞こえる。
それでは適性か根性のある高校生しか読めないし、そうでない生徒は最初の1ぺージの時点で逃げ出すだろう。
小学生相手に分かるようにしなさい。
それが無理なら、小学生向けと中学生向けと高校生向けを分けなさい」

これもその通りです。
読者に説明したい類いの本ならば、1ぺージの時点で逃げられているようでは、当然ながらお話にならないのです。

***

現段階では、小学生向け中学生向け高校生向けを分けて企画することにしました。

どの本も骨子は変わりません。
そして、中学生向けのものは小学生向けのものに肉付けしたものになりますし、高校生向けのものは中学生向けのものに肉付けしたものになります。
このため、小学生向けのものは「骨子を見誤らないこと」が重要なポイントになってきますし、中学生向け・高校生向けのものは「肉付けを見誤らないこと」が重要なポイントになってきます。

そのような観点で企画を進めるうちに、自分の不勉強のため、最終的に大きな壁にぶち当たったのでした。

2.3.小学校算数の全体図を示す。これは一本筋できれいにできる

小学校算数の文部科学省による公的な指針があります。『小学校学習指導要領算数編』です。
(現在の最新版は平成29 年告示のものであるはずです。これはインターネットでも公開されているので、検索してご覧になるとよいでしょう)

算数においては領域が5つ分けられています。

  • A.数と計算

  • B.図形

  • C(1-3年).測定

  • C(4-6年).変化と関係

  • D.データの活用

数学的に言うと、Aでは数と数の演算、Bでは図形、Dでは統計を扱います。

Cは少し気を付けねばなりません。

この領域での狙いは
「量を理解する」
「複数の量があり、片方が変化した時にもう片方がどう変化するか、という関係を理解する」

ことです。

C(1-3年)に該当する測定は、メートルやグラムや秒など、実生活における単位が絡んできます。
複数の量について理解するための例として、これらはたいへん役立ちますが、これらの単位は本当は理科で扱われるべきものである、ということは一応注意せねばなりません。

C(4-6年)に該当する変化と関係では、比などを通じて、究極的には入出力が共に数である何か、即ち関数を扱います。こちらは純粋に数学的なものです。

***

私の本では、これらはこう整理されます。

  1. A_1.数(順序数)

  2. C_2.変化と関係(関数)

  3. A_2,計算(数の演算)

  4. B.図形

  5. D.データの活用(統計)

  6. C_1.測定(物理量)

Aが数と数の演算の二つに分けられるのがこの本のポイントです。

***

少し説明すると、こうなります。

まず、先程も書きましたが、小学校レベルでの『関数』とは、入出力が共に数である何かです。
(小学校レベルでない場合、『関数』「入力がいくつかの何らかの数学的対象であり、出力が1つの『数』である種類の、とある数学的対象」です。つまり、入力側は数でなくてもよいし、いくつあってもよいのですね)

ちょっとびっくりしますが、『数の演算』とは、実は「入力がいくつかの数であり、出力が1つの数である種類の、『関数』」です。
(1+2=3とか、3-2=1とか、2×3=6とか、6÷3=2とかは、実は
「入力が2つで出力が1つの数の関数」
を表わしている、という話をします。
「あっ! 左が入力される2つの数で、右が出力される1つの数か! そういうことかよ!」
と気付くことになるでしょう)

また、本書では、直線や長方形や直方体などの見慣れた『図形』をもたらすために、『数の演算』をどう使うかを駆け足で書く予定です。

同様に、データを集めて傾向を見る『統計』の営みをもたらすために、『図形』をどう使うかも駆け足で書く予定です。

最後に、メートルやグラムや秒などの『物理量』において、『統計』をどう使うかも駆け足で書く予定です。
(ここで半ば理科に差し掛かります。
まず、『統計』の性質理科の扱う物理的対象にどう効いてくるかという話を、駆け足で書く予定です。
そして、見慣れた『物理量』は、『物理的対象』の性質を描くものなのでした。
ということで最終的に、理科との結びつきゴールとして、小学生向け本は終わるのです)

この章立てで、個人的に有難いのは、1から6までが全部一本筋できれいに描けることです。枝分かれしません。
ここはまえがきで見やすい図と共に示し、「小学校算数は、実は一本化できるので、シンプルな構成である」と認識して戴く予定です。

ということで、クオリティを度外視すれば(したくないが)実はこれは今からでも書けます。

2.4.中学校数学の全体図を示す。三つ又の試み(の最中)

中学校数学の文部科学省による公的な指針があります。『中学校学習指導要領算数編』です。
(これも現在の最新版は平成29 年告示のものであるはずです。やはりインターネットでも公開されているので、検索してご覧になるとよいでしょう)

中学校数学の領域については省略しますが、いくつか中学校数学に特徴的な概念を列挙します。

  • 整数における符号(正と負)

  • 整数における絶対値

  • 素数

  • 方程式

  • 平方根

  • 多項式

  • 因数分解

  • 平行

  • 合同

  • 証明

  • 中心角

  • 座標

  • 確率

***

いかがでしょうか。
数学徒や数学独学者でないと、ふつうこれらの文字列を見ると
「うわっ。小難しい。ウザッ」
と鬱陶しくなってくるものです。
そしてこれは大人でもそうです。

***

こう言われると、少なからぬ数学徒や数学独学者は、唖然とするでしょう。
「こんな初歩の時点でもう「小難しい」のか!?」

そして、もう少し「見えている」方は、愕然とすると思います。
「じゃあ、余程気を付けないと、自分が何をどう説明しても、ほとんど全面的に「小賢しい話」になっちゃうのか!?」

そうです。
そして、そんな小賢しい話、誰が聞きたいものか。
だから、何も気を付けないままで、そういう話をしてはならなかったのでした。

ということで、本気で説明したいのなら、相当気を付けて書いていかねばなりません。
特に、
「小難しい小賢しい話だと思われないためにはどうするか」
というところが重要なポイントになってきます。ここが読者の嫌気をもたらしているし、それが残っている限り、説明すればするほど読者は逃げていくのだから。

***

そもそも、そのための工夫の一つが、「こういう経路で構築されていく」という全体図をあらかじめ示すことであるのでした。

先程申し上げた通り、
「小学校算数は、実は一本化できるので、シンプルな構成である」
ので、これは小賢しくも何ともありません。

***

では、中学校数学では?
上の羅列を見ていて、一本化できるか、少し考えてみて下さい。
少なくとも私には無理でした。枝分かれが避けられません。
この時点で「小難しい」「小賢しい」と思われることは不可避であるように思われます。

そこで、次善の策を考え始めました。
「せめて、合流地点を設けられないか?」
および
「せめて、分岐を三つ又程度に抑えられないか?」
ということです。

***

合流地点を設けないと、
「話が取っ散らかるし、それら全てに目配せをするのは面倒くさい。なぜ小難しい話に全部いちいち付き合ってなきゃならない?」
という印象を与えます。
ガッツのある人が読者でないと、マルチエンディングの物語というものは、実は混乱を招く鬱陶しいものなのです。

とはいえ、これには暫定的な対策があります。
小学校算数のゴール、『物理的対象および物理量』に収斂させればよいのです。
説明を避けますが、上に羅列した概念は、全て物理的対象の説明に使うことが可能です。
だから、ここは良いでしょう。

***

次は、分岐が多くなり過ぎないように、3つ程度の分岐で抑えることです。
「3つ以上はたくさん」というやつですね。

「「3つ以上はたくさん」という感性のやつにまで、懇切丁寧に易しく説明しなきゃならないのか。
自分の勉強は自分でやれ。そんな手取り足取りに甘んじていて数学徒になんかなれるか」

と憤慨する数学徒の方もいらっしゃるかもしれません。

よく考えて欲しいのです。
数学徒であろうがなかろうが、数学が出来なければ、学校を卒業した後で、食うに困らない仕事をすることは、一般的にかなり難しいのです。
だから、学校で数学に適応できなくなると、その後の人生は極めて厳しくなります。
まず必要なのは、数学に適応すること。
そして、その結果として、食うに困らない仕事に参加して生き残れるだけの数学的な知識と技能を身に着けることです。
数学徒のマインドを身に着けることは、これらに比べると、優先順位は大幅に下がります。これは残念ながら当然だと思って欲しいのです。

***

さて。
今、途中までですが、このようなロードマップを考えています。

第1段階:順序数まで
第2段階経路A:順序数→符号→絶対値→素数→有理数
第2段階経路B:順序数→関数→数の演算→因数分解→有理数
第3段階経路A:有理数→座標→図形
第3段階経路B:有理数→平方根→図形
第2-3段階経路C:順序数→関数→数の演算→多項式→方程式→図形

なぜこうなっているかは説明しません。本文でやるべきことです。
しかしともあれこれで、小学校数学用本の1-6のうち1-4、即ち

  1. A_1.数(順序数)

  2. C_2.変化と関係(関数)

  3. A_2,計算(数の演算)

  4. B.図形

までを中学校数学のキーワードで補い、しかも分岐を3つにまで抑え込むことに成功しました。

他のキーワードについてはこれからです。相当頑張らねばならないでしょう。

2.5.高校数学の全体図を示す。さて困った

高校数学の文部科学省による公的な指針があります。『高等学校学習指導要領算数編』です。
(現在の最新版は平成30 年告示のものであるはずです。インターネットでも公開されているので、検索してご覧になるとよいでしょう)

高校数学の領域については省略しますが、いくつか高校数学に特徴的な概念を列挙します。

  • 総和

  • (実)数列

  • 極限

  • 微分

  • 積分

  • 軌跡

  • 漸化式

  • 領域

  • 組合せ

  • 順列

  • 三角関数

  • 指数関数

  • 対数関数

  • 円周率

  • 複素数

  • ベクトル

  • 行列

  • 内積

  • 複素数平面

***

いかがでしょうか。
数学徒や数学独学者でないと、ふつうこれらの文字列を見ると
「やっとれっかボケ」
と鬱陶しくなってくるものです。
そしてこれはもちろん大人でもそうです。

***

私は私で困ってしまいました。
明らかにこれらは一本化できません。
それどころか三つ又に抑えることすらできなくなりました。あちこちに分岐してしまうのですね。

暫定的な対応として、
「いくつかの概念をまとめて一つのクラスタとして扱う。これらは最終的に一つの特定の概念に収斂するようにしておく」
という段階を踏み、その上で
「この小さな一里塚となる特定の概念たちだけを使って、経路を三つ又に抑え込む」
ということを試みたのです。

上手く行っているかって?
難航しまくっておりますね。

根気よくやればできる話に思えるのですが、どうしても手間が尋常でなくかかっております。

2.6.大学数学の全体図を示す。どうやって?

大学数学の概念は、もうこんなもんじゃないほど多岐にわたります。
当然、少数の経路で全てを網に掛けるような説明を行おうとすると、これはもう信じられないほどの手間がかかるはずです。
ちょっと今は考えたくもないですね。

3.さらなる読書をしないともうどうしようもない

あと、途中までこの作業をしていて、明らかになって来たこともあります。
全体図で、本来あるべきものがないか、貧弱なものになっている、という箇所が散見されたのです。
読んで来た本の、というか読めていない本の傾向がはっきりしてきた、とも言えます。

平たく言うと、微分・積分等の解析学と、確率論が、穴だらけになっています。
前者については、今私は杉浦光夫『解析入門』を読み進めております。
これを読み終えて全体図に反映させたところについては適切な経路を作れるが、読み終えてない箇所についてには適切な経路が作れない。このため、かなり歪な図になっている。というのが自分でも分かります。
確率論については手も付けていません。これにはルベーグ積分という特殊な積分が必要であるはずなのですが、今私は正直そこまでまるで手が回っていません。

このままでは経路を満足に作ることができません。
解決手段はただ一つ。「資料を読んで図に反映させる」。これだけです。

これ以上データの整理などせず、読書を再開すべき、という段階まで整えたとも言えます。
そこは胸を張っていいところでしょうが、作業が終わらず、行き詰まるのは、まあ嬉しくありませんね。

4.そろそろコンディションにガタが来ている

さて、できるか?

正直な話、「今は無理」と感じています。

このブログをしばらくご覧になられている方はご存じかも知れませんが、私はここしばらく数学読書と、その他様々なトラブルシューティング(仕事以外のものもかなり多い)で、超大忙しなのでした。

そろそろ、脳がやられてきています。

疲れ果てているのに眠れないで起きて
「なんかやらなきゃいけないように感じられてどうしようもない。なんかやれることを進めよう」
と言いながら作業をして、結局疲弊しつくすのは、明らかにまともな状態ではありません。

それでいて、パフォーマンスはまるで高くありません。
たった6頁読むのに、神経疲労に悩まされながら無理して読み進めて、12時間かかっている時点で、明らかにおかしいのです。
(あとこの記事だって9時間もかかっているのです。9時間もかけて書く記事か? これが?)

5.今年の作業、一旦ここまで

今、やれるだけやって、これ以上やれないのです。
じゃあ、もう、やるべきではないでしょう。

ということで。
ここに、2024年の数学作業の中断を宣言します。

即ち、2024/12/31 23:59:59まで数学作業を禁じます。
元気とやる気の回復に専念しなさい。

やる気が溢れかえっても数学作業をしない。
休むことと遊ぶことを心身に覚えさせること。
分かったな。俺よ。いいな。

6.数学作業における来年の抱負

2025年1月1日から、何をするか?

できるだけシンプルに行きましょう。
杉浦光夫『解析入門』をひたすら読み進める。
他はやらんでよい。

今よりはるかにバリバリ読み進められるくらいには、俺の心身が回復していますように。

***

そんな訳で。
年末まであと1ヶ月少々だが。

俺が俺を自由にしてやる。

後は俺の好きなようにしろ。

俺は自由だ!

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