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【感想】チ。ー地球の運動についてー

かなり前、XがまだTwitterだった頃にTLに流れてきたのを読んで感動したのを覚えている。その作品がアニメ化するってなって楽しみにしていたのだけど、今になって見る前に天文学でも齧っておけば良かったと後悔してる……。

でも中学で習うようなレベルならきっと分かるから、それ以外は随時調べたり雰囲気で乗り切りたい。

漫画を読んだのがかなり前だから記憶が曖昧で、大学以降の話はほぼ覚えてないし、そもそもそれ以降の話がTwitterで公開されていたかも謎。つまりほぼ初見です。


1話〜2話

「『地動説」、とでも呼ぼうか」「今から、地球を動かす」

まさか初っ端の拷問シーンで心が折れかけるとは……。津田健次郎さんの低い声が余計精神を不安定にさせる。いや、良い声なんだけど、同じ声でもその声を放つ人によってこんなにも印象が変わるとは。声優恐るべし。

異端審問官のノヴァクさん、泣いている子供を助けたりしているところを見るに、根っからの悪人ってわけではないのだろうけど、その善人の顔で平然と残虐なことをやってのける感じが怖すぎる。

しかも、同じ子供でもラファウが地動説に関して書いてあるノートが見つかってしまった時、容赦なく殺す顔してたもん。なんなら本人の前にその友人、家族、恋人まで皆殺しにしてから本人を殺しそうな勢いだったよ。

聖職者の人が「娘なんていたっけ?」みたいなことを言った時は肝が冷えた。だってあれで娘いなかったらホラーでしょ。でも流石に本当に存在するようで安心した。

まあ娘の生きる平穏な社会を守りたいっていう考えは理解できる。そもそも間違っているのは社会の方で、それに逆らうフベルトさんやラファウは正しいかもしれないけど無謀だと思うし……。

天文の知識がない私はそれに関して言及はできないけど、宗教って気持ちが悪いな、怖いなと思った。
ここから天文とは話がずれます。

この作品において……というかきっと現実も似たような感じだったんだろうけど、自由に学問できなくて、特に天文学(天動説以外)が禁止されているのは宗教のせいなんだよね?

宗教は確かにそれによって皆の心の支えになって結果的に秩序維持につながっているのかもしれないけど、逆に暴力を正当化する武器になってるよね。

まさに言ってしまえば2話のノヴァクさんの行動がまさにそれで、「他者に優しくしましょう」と言いながら、異なる意見の者には残虐な行為も厭わない。
「血に汚れた手で……」って言ってた聖職者の人も、手は出していなくともそれを良しとしてる時点でノヴァクと同じ残虐性のある人だし。

宗教にはもちろん良い面もあるけれど、そういう人間の持っている残虐性を正当化する道具になっている気がして怖い。

私は無宗教以前に神の存在は信じていなくて、人間が1人では立っていられなくて作った都合の良い偶像だと思ってる。

そもそも、神に救いを求めるのも結局皆自分のためじゃない。
この世は汚い者で溢れてる。だから死んでからは美しい綺麗な世界に行きたい。だから祈るし掟を守る。
祈って綺麗な世界に行けるのだとしても、いくら形だけ取り繕ったところで汚い世界の人間がたくさん集まったら、それはもう地上と何も変わらないと思う……と思うのは私だけだろうか。

まあ聖書は10ページくらいしか目を通してないから解釈は間違ってるのかも。だからこれはアニメで言ってたセリフから考えたことで、実際に宗教を知ったら意見が変わる可能性はある。

というか、人間は自分たちを過大評価してると思う。
仮に神様がいたとして、なぜたくさんいる生き物の中で人間を特別視するのか?
神様が人間と同じ姿をしているっていうのも、自分達がどこか神聖な生き物だと思っているからじゃないか?神にはなれないと言いながら、自分達を重ねているのではないか?

天動説だって、「我々(のいる地球)は特別なのだから神はそれを中心に世界を作るに決まっている」なんて人間どんだけ偉いんだよって話じゃん。

閑話休題

ラファウが地動説に関して考えてるシーンとか何一つ言ってることが理解できなかったけど、面白くて2話があっという間だった。体感3分。

専門的な知識があったらもっと面白いのかなぁと思ったり思わなかったり。
もしかしたら彼らにもモデルとなった人物がいたかもしれないし。

なんにせよ、ヴィンランド・サガとかこのチ。って作品みたいに、現実の過去の話をテーマにした作品は大好きだから、より理解するために天文学を齧ってみようと思う。
(とは言ってもゆっくり解説を見るのが関の山だが)


3話「僕は地動説を信じています」

最初から追って感想を書いていきます。
まず下書きを燃やすっていうのは賢いけど、物語の都合上絶対燃やしたやつ見つかると思ってた……。

肺の中から見つけた資料を机にそっと置いておくのはエロ本見つけちゃったお母さんみたいで笑っちゃったけど、ポトツキさんいい人だったんだな……。
あれだけ冒頭に天文はやめろ、神学を学べと言っていたのは、子供を大切に思っていたから、同じく大切だった教え子のフベルトや自分のような未来をラファウに歩ませないためだったってわけだ。

あとは、自分では地動説を証明できないって思ったのかもしれない。けど、資料を捨てられなかったフベルトさんと同様に、ポトツキさんも完全には未練を断ち切れず、異端にならない程度の資料を残していたのかもしれない。

もしフベルトさんが地動説の研究を始めたきっかけがポトツキさんにあったとしたら、自分の異端研究のせいで大切な教え子を2人失うことになるからね。

ノヴァクさんの心理的に追い詰めるスキルが高すぎて、完全にポトツキさんが死ぬと思ったのに、まさかまさかラファウのほうが死ぬなんて夢にも思わなかった。

にしても「初犯は死なずに済むんですよね」って認めてるようなもんじゃん。まあ認めなくてもバレてた可能性が高いけど。

ラファウが捕まったとき、拷問されるのかと思って肝が冷えた。そもそも人間を拷問するってだけでも恐ろしいのにこんなに小さい子に!?って。

裁判のシーン、あんなに「嘘をつけばいいや」って言ってたラファウが裁判では嘘をついてないのすごいいいなって思った。
あと、ノヴァクさんに言われた時ももしかしたら嘘じゃなかったのかも。
「今の宇宙を信じている」ってつまり今の宇宙が地動説と信じている。だから今の宇宙を信じている。

言葉だけ聞けば「天動説」を信じているように聞こえるけど、全然違うのがいいな。

でも牢獄でのやりとりを見てて思ったけど、ノヴァクさんって悪い人ではないんだろうな。職業と宗教柄(と娘のため)保守的な考えで教会に従い残虐なことはしているけど、ラファウの身を案じているのは嘘には見えなかった。
本当に子供を大切に思ってるんだろう。ただダメなことの線引きがしっかりされてるだけで。


にしても覚悟の決まった顔をしていたラファウの手が小さく震えてて悲しかった。まだ子供なのに。子供がしていい覚悟じゃないのに。

それに、単純な死ですら怖いのに、ラファウは神を信じていないわけじゃないから自殺(宗教的に死んだあと酷い場所に送られることが多い)は勇気が必要だったろうな……。

でももしここで研究の全てが消えていて、異端思想が排除されてたら、今の我々はもっと原始的な生活をしていたかもしれないと思うと寒気がする。
私たちの生活は一体何人の命で作られたものなんだろう。

なんかもういろんな感情が入り混じってラファウが毒を飲んでから力尽きて、燃やされるまでずっと泣いてた。

んで10年後。10年後!?!?

本当にこんなに早くラファウがリタイアすると思わなかった。
でも冷静に考えたら、あの時代に1人の人間——ましてや子供が隠れて異端研究をするのは不可能だろうし、それに実際に地動説の核心に迫るのはまだ一世紀も先の話なんだよ。(多分)
とすると、この作品は2クールかけていろんな人がバトンを渡すように研究を続けていくものなのかもしれない。
つまり最後に出てきた男の人たちも死亡する可能性が高い。

そして、ラファウの自死は極めて合理的な判断と言える。

ていうか、地動説とか天動説とかを私がその当時生きていたとして理解はできなかっただろうけど、ソクラテス、エピクロス、セネカの死後の世界に関しての意見は私も同意見で天国地獄を信じていないタイプなので、もしあの時代、もしくはもっと昔に生きてたら私は異端者として死んでいたかもしれないと思うと怖いんですけど……。


4話「この地球は、天国なんかよりも美しい」

OPが変わっていて驚いた。何世代にも渡って研究が進められるものなのかと思っていたけど、オクジーさんの話で終了するのかな?
にしても、OPでラファウが出てきた時泣きそうになったし、EDでも泣きそうになったし、もうまだ1週間前のこと引きずってる。

ていうか、OPに出てきてた目はなんなんだろう、ラファウの目なのかな?と思ってたけど、最初に出てきてたオクジーさんの話の伏線的なものだったのか。
OPとかEDにグラスさんがほぼいないってことは死んじゃうんだろうな、結構序盤で。
まああの馬車から逃げて、多分前回のラストに繋がるんだろうけども、その時グラスさんボコボコにされてたし、あの場にはノヴァクさんもまたいるしな……。

OPで絶対にただものじゃない厄介そうなおじさんいると思ったら歳をとったノヴァクさんだったとは。確かに10年じゃ死なないか。またノヴァクさん敵に回るの怖すぎるんだけど……。ていうか馬車に乗る前に「お守り」って言ってたのって多分娘からの手紙だよね。悪い人ではないんだろうけどな……。

それにしても、1、2話の感想で
「天動説だって、「我々(のいる地球)は特別なのだから神はそれを中心に世界を作るに決まっている」なんて人間どんだけ偉いんだよって話じゃん」
って書いたけど、(後天国への記述も)私が間違ってた。

そうか。地球が中心にあって……重力によってこの世のものが全て地球に引っ張られている。だから地球は一番汚いのだ。だからこんなに辛いんだ。っていう考え方だったのか。

だから天国に行きたい。
つまりはスラム街の少年が都会に憧れてるみたいなものだよね?簡単に言えば。
最初の感想で人類のことボロクソに言ったけど、実際は現実が耐えられなくて天国っていうものに現実逃避してたんだね。
烏滸がましいとかそういう考えではなかったんだ。

ちなみに火星の軌道が円にならなかったのってなんで?やっぱ太陽を中心に回ってるから地球から見ると軌道がずれたように見えるってことのなのかな?
ちょっと私知識が足りてないですね。

話は変わるんですけど、代理決闘士なんて存在したのか。知らなかった。(依頼した貴族の人)正々堂々自分で戦えよ!って思うんですけど、日本にもこんな感じの役職はあったんでしょうか。武士的には代理人を立てるなんて……みたいなイメージが勝手にあるんですけど。

まあ決闘依頼した側としては、本人に負けただけでもメンツが汚れるのに、代理に負けたとなっては汚れるどころの騒ぎじゃないですからたまったもんじゃないですよね。
「負けたら死ぬじゃないか」っていうのは、知ってて挑んだんだろって感じすけど。
もしかしたら代理を立てた方の人は簡単に勝てるような人だったのかもしれない。

しかし、オクジーさんかなりキャラの立った人でしたね。かなり強いのは分かったんですけど、ネガティブの権化みたいな人だ。
「天国最高天国最高天国最高」のところとか「生まれてすいません生まれてすいません」のとことか一周回って怖かったですしね。

でもそんなふうに思う気持ちは理解できたし、この世に期待するだけがっかりしちゃうから、期待するのは無駄って思ってるのも分かる。

ていうか、私は天国信じてないけど、なんとなく同じような状況な気がして勝手にシンパシー感じてる。
ラファウくんは明らかに私と真逆の性格をしてたけど、オクジーさん近い感じの人間な気がするんだよな……。まあ今後の変化によっては遠い場所に行ってしまう可能性の方が高いんですけど。
一緒にすんなって感じですよね、すみませんオクジーさん。
(にしてもオクジーさんはかなりぶっ飛んでる)

てかグラスさんいい人そうだし、人生がかなり悲惨な感じなのに、EDにいないってことは多分死ぬの可哀想すぎる。
こんなことある?神様いないのかよ。この世界。


5話


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