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同人やってて嫉妬してしまう人へ。

 結論からいえば、嫉妬は悪いことでも汚いことでもない。個人差はあれど、嫉妬は誰にでも備わっている心の機能。恥じることは何もない。

 同人活動をしていて「他の作家に嫉妬してしまう」ってことを上手く吐き出せずに、こじらせすぎて心を病んだ私だからこそ言えるけど、嫉妬でしんどくなるっての、はっきり言わないだけで多くの人が抱えている。まぁそれもそう。「私あの作家さんに嫉妬してます!」とか「どの作家にも嫉妬を覚える!」なんてことを言ったら、みじめになるだけだから。そんで多くの人が裏垢とか匿名掲示板とかで憂さ晴らししてる。まぁ、そういう場所で上手く発散できてる人はいいけど、解消できる人ばかりじゃないのも当然。楽しいはずの創作がしんどくなって去ってく人は、今も昔も沢山いる。

 他者との間におきる嫉妬についての解決策で、比較しない、みたいなのよく見聞きするけど、これって本質じゃないよなぁと思ってる。「比較しない」ではなく「比較したくなる原因を解決する」ではないかと。「評価を気にしない」も、同じこと。「気にしてしまうのはなぜか」という部分に着目できないと、根本から変えることはできない。
 というのも、同人活動と関係ない日常面で満たされてないとか、そもそも自己肯定感が低いなんて問題があったら、それを解決しないと当人の困りごとって解消されないでしょう。「比較しない」「気にしない」といった習慣は、満たされた日常を送ることや、高い自己肯定感を保つことができれば、自然とそういった態度を取るようになってる。
 「自分はこれでいいのだ」とか「私にも価値がある」というのを、真に思えないから比較をする。その目的は“下を見て安心すること”にあるのですよ。私がそうだったから。比較する習慣から抜け出せない人は、そこで躓いていて、だからいつまで経っても消えない“上位層との比較”に苦しめられる。
 この世界は競争じゃないことを、自覚しなくてはならないのです。自覚するためには、なぜそう思い込んでいるのかを、知らなくてはならない。きっと幼少期までさかのぼって、自分自身を見つめ直す必要があって、それはとても容易ではない、時間も体力も精神力も要する課題。ゆえに、多くの人が諦めて挫折して「しんどいからいいや」って逃げ出す。けど、そうしたい人はそうしたらいい。向き合わないのも、逃げるのも自由。でも忘れないでほしいのは、自分の内側にあるネガティブなものは、自分自身でなくては消せないということ。救世主がやってきて消し去ってくれるわけではないし、お金持ちになったとか成功者になったとか、そういう外側の変化で自然に消えてる、なんてこともない。内側にためこんだ粗大ごみみたいな不幸は、時間をかけて、自分の力で取り除くしかない。
 そういう意味からも、嫉妬心を消すには「内省する」のが一番だと思う。満たされない日々を作り出している心の在り方とか、低い自己肯定感を根本から見つめ直すこととか。「そんな暇ないよ!」って人も多そうだけど、そういう人はもう嫉妬を手放すことより、嫉妬と上手く付き合っていく方法を探った方がいいかもしれない。あとは「行動を変える」ことにあるかな。これは同人活動を潔くやめる、みたいなこと。

 自分自身、嫉妬に悩んだ時によく「嫉妬してしまう」みたいな文言で検索をかけてたけど、そうすると「嫉妬する人を理解できない」「嫉妬する人間は弱い」みたいな、やや攻撃的な書き込みとか見つけて、より一層消耗することがあったんだけどね。もし同じような体験をした人がいたら、全然気にしなくていいぞ、と思う。
 まずそういった内容を書く人って、自分自身の優位性の誇示をしたいだけだから。「嫉妬しない私は強い」と言いたいのかもしれないけど、まぁまぁダサい。これは、実家暮らしをバカにする一人暮らしの人とか、非正規雇用を見下す正規雇用とか、性別や国籍や年齢で差別する人間と同じぐらい、ダサい。そもそも本当に強い人は、自分と違った特性を持っている人間に対して、優劣つけて判断したりしない。
 更にいうと、嫉妬できるってある種の強みで才能だと、私は思ってる。その感情を攻撃に使ってしまってはいけないけど、自分を鼓舞する活力にすることだってできる。程よい嫉妬心は創造性を高めるし、集中力だって上げてくれる。嫉妬しないことで優越感に浸ってる人は「その才能がありません」って、自己紹介しちゃってるってこと。だから何度もいうけど、嫉妬は悪いことでも汚いことでもない。誰だってする、普遍的で当たり前で自然なことです。(ただそれが生きづらさや苦しさに繋がるなら、解決のために行動したいよね、みたいな話。)

~おまけ~
 数年前までずっと「二次創作やめたい」と言っていて、ようやく最近そうなってきたんですけど、随分長い間やめることができなかったのは「好きだから」とか「楽しいから」というよりも「ドーパミン中毒だったから」だなぁと、今となって強く思います。スマホの通知機能って大量のドーパミンが出るんですよ。「いいね乞食」とか「承認欲求」って口々に言いますけど、それだってドーパミンの前では抗えないことなんです。しゃあないのですよ。ジャンクフードとかスイーツが美味しくて食べ続けてしまうのと、構造は一緒なんだから。「満たされてない人」なら、尚のこと夢中になっちゃうでしょ。

 これを読んだ人の何の解決にもならないと思うけど、伝えたいことは全部書いた。あなたは一人じゃないです。嫉妬したっていいんです。でもしんどいなら、解決のために動けるよう、励んでください。私はあなたの味方だよ!
 

六月二十二日 戸部井

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