〈JAZZロングレビュー〉カーラ・ブレイ・トリオ(Carla Bley Trio)「Life Goes On」【2020.2 144】
■この記事は…
2020年2月20日発刊のintoxicate 144〈お茶の間レヴュー JAZZ〉掲載記事。カーラ・ブレイ・トリオ(Carla Bley Trio)の2020年2月4日発売「Life Goes On」をレビューした記事です。
intoxicate 144
トランプ収監中? カーラ、スティーヴとアンディのたくらみは!? (高見一樹)
【JAZZ】
Trios
Carla Bley Trio :
Carla Bley(p) Andy Sheppard(t&s-sax)Steve Swallow(b)
[ECM 3724551(CD)]〈輸入盤〉
【JAZZ】〈CD/LP〉
Andando El Tiempo
Carla Bley Trio
[ECM 4779711(CD)4784863(LP)]〈輸入盤〉
【JAZZ】〈CD/LP〉
Life Goes On
Carla Bley Trio
[ECM 0832063(CD)0854826(LP)]〈輸入盤〉
「ワット・ワールド・ヘッドクォーターズ ( wattextrawatt.com )は施設矯正収容所である。以前は悪名高い音楽犯罪者をたくさん収容していた。現在は三名のみ収監中である。施設のレコードレーベルの運営に従事しながら、カーラ・ブレイ、スティーヴ・スワロウとカレン・マントラーは隣あう牢獄で刑に服している。〜つづく」。これはカーラたちが運営するレーベルWat t, Extra Wattの公式サイトからの引用。この文言にあるとおりサイトマップ
のデザインは、刑務所仕立てとなっている(死刑囚としてトランプを現在収監中)。カーラたちがWattを立ち上げたのは1972年、当時はまだ数少ない北米屈指の自主レーベルだった。現在このサイトにいけば、無料で《Lady in Mercedes》などのリードシートがダウンロードできる。60年代、当時の伴侶だったピアニスト、ポール・ブレイとともにジャズ界の空気を一新ししたカーラとスティーヴたちのシンプルで奇妙に美しい楽曲をいとも簡単に手に入れることができる。
さてこの新譜、サックスのアンディ・シェパードをカーラとスティーヴのデュオに迎え入れて結成されたトリオによる3枚目である。スティーヴの自白によれば「人前でピアノを弾きたくないというカーラにもっとピアノを弾かせたい」というのがそもそものデュオ結成の理由であったが、デュオそのものの公演回数が次第に目減りするようになりアンディという共犯者を迎えるにいたったのだろう。
これまでの3枚のアルバムを並べてみるとピアノに向き合うカーラの組み写真でジャケットが組まれてきたことがわかる。カーラがピアノの前に突っ伏し(1st)、そして譜面を鷲掴み(2nd)、宙にばらまくという(3rd)一連の現場写真から察するにこのアルバムではじめてカーラは解放感をは味わったようだ。レイドバックしたアンサブルの雰囲気をすっきり捉えた録音もこの3枚目にして最高の出来。はたして4 枚目は? スティーヴが譜面を拾う姿だけは堪忍。
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