〈CLASSICAL お茶の間ヴューイング〉小原孝インタヴュー:これまでの活動の軌跡、音楽とファンへの感謝を込めたメモリアル・アルバム(長井進之介)【2020.6 146】
■この記事は…
2020年6月20日発刊のintoxicate 146〈お茶の間ヴューイング〉に掲載された小原孝インタビュー記事です。
intoxicate 146
これまでの活動の軌跡、音楽とファンへの感謝を込めたメモリアル・アルバム
interview&text:長井進之介
クラシックに歌謡曲、J-POP、洋楽に童謡など、幅広いジャンルの音楽を自在に横断するピアニストの小原孝。今年はデビュー30周年、通算50枚目のアルバムの発売と嬉しい話題が続く。記念すべきアルバムのタイトルは『弾き語りフォーユー〜Takashi Obara 30th Anniversary 〜』。小原が22年続けている大人気の番組の名前を冠することからもわかるように、小原孝の活動の軌跡が詰まったものだ。
「最初はクラシックシリーズ『ピアノ名曲フォーユー』の続編の予定でしたが、途中で方向転換して様々なジャンルの作品を収録することにしました。弾きたい曲は山ほどあるので、考えに考え抜いて選曲しました」
今回は「番組リクエストの多かった曲」と「思い出のつまった曲」、「子どもの頃から大好きだった曲」を中心に選曲したという。それぞれに属する楽曲について1 曲ずつ伺った。
「最近番組リクエストが多い曲が『パプリカ』。息の長い世代を超えたリクエスト曲が極端に少なくなっているこの頃ですが、この曲は幅広い世代に愛されています。今回は“ 大人のパプリカ” にアレンジしました。子どもの頃の思い出が詰まった『涙』はギタリストだった父が良く弾いていた曲。僕も練習しましたが…ギターではうまく弾けなかったので、ギター曲のニュアンスそのままでピアノ曲にしました。《春の予感》は子どもの時にお小遣いで初めて買ったレコードで南沙織さんの曲、今でも心のアイドルです」
全体に漂う非常にあたたかい雰囲気と選曲から、どこか「春」を感じるようなアルバムである。これは小原のやさしい音色、声色、語り掛けてくるような演奏と楽曲ということもあるだろう。
「春だけでも一枚アルバムが作れるくらい良い曲があるので、そう感じられるのかな?特に意識はしていませんでしたが…そして演奏についてはピアノを伸び伸びと自由に歌わせて、常に自分らしく表現しようと思っています」
2020年は小原にとって大きな節目の年となった。全世界的に音楽家にとっては厳しい年となったが、この優しさとあたたかさに溢れたアルバムからは希望が感じられる。
「30周年、通算50枚目、還暦の集大成的な記念アルバムとしてレコーディングする予定でしたが、30周年のために時間をかけて準備してきた計画がほとんど中止になりました。この厳しい状態をスタート地点にして、いつかリベンジする日のために頑張ります。現状ではコンサートで音楽をお届けできませんが、CD を通して音楽の喜びをお伝え出来たらと思います」
〈CD〉
『弾き語りフォーユー~Takashi Obara 30th Anniversary~』
小原孝(p)
[キングレコード KICC-1522]
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