JAZZ新譜レビュー 前編【2020.8 147】Color of Noize/スピリット・グルーヴ・フィーチャリング・デヴィッド・マレイ/Nightports with Betamax/ヴァレンタインほか
2020年8月20日発刊のintoxicate 147、お茶の間レビュー掲載のJAZZの新譜7枚をご紹介!
※JAZZ新譜レビュー後編【2020.8 147】はこちら
intoxicate 147
【JAZZ】
Color of Noize
Derrick Hodge(b)
[Blue Note Records 0892625]〈輸入盤〉
ブルーノートの先進性を象徴するベーシスト3作目。前作でベーシストならではのアンビエンス感覚が印象的なサウンドスケープでプレイヤー以上にプロデューサーとしての手腕が光っていたが、その音楽性をライヴバンドによる身体性を駆使し次のレベルに引き上げている。ツイン鍵盤、ツインドラムにグラスパー関連の作品で存在感を発揮するDJジャヒ・サンダンスという特殊な編制にストリングスなどを効果的に配し実験的かつ現代音楽的アプローチも試みながら個々のプレイヤビリティを存分に引き出したプログレッシヴな傑作に仕立て上げた。特にタイトル曲の怒涛のインタープレイの応酬には身震いする。 (渋谷店 片切真吾)
【JAZZ】
スピリット・グルーヴ・フィーチャリング・デヴィッド・マレイ
Kahil El'Zabar(per. vo)David Murray (t- sa x)Justin Dillard(syn,p,org) Emma Dayhuff(b)
[BSMF RECORDS BSMF5097]
70年代からAACMに参加し、マラカイ・フェイバーらとのリチュアル・トリオやエスニック・ヘリテッジ・アンサンブルを率い、シカゴのフリー~スピリチュアルシーンを支えてきたパーカッション奏者。長年のコラボレイターであるデヴィッド・マレイをフィーチャーした最新作。丁度良い力の抜き具合のカヒルのドラミングはトニー・アレンにも通じる、よりパーカッション的でユニークなビート。時折差し込まれるムビラ、チャント的ヴォーカルも披露している。白熱した昂揚感や音の洪水はない、が、一つ上の次元でゆるりと流れていくグルーヴは他に類を見ない。華を添えるマレイのサックスも嬉しそうだ。(渋谷店 片切真吾)
【JAZZ】〈CD/LP〉
Nightports with Betamax
Nightports 、 Betamax
[ The Leaf Label BAY118CD(CD)BAY118V(LP)]〈輸入盤〉
Leaf発、UK出身のプロデューサー2名による実験音響duo、Nightports。ピアニスト、マシュー・ボーンとのコラボ作で野心的なピアノ音響を魅せていたがそのコラボ第二弾。今回はUKジャズの顔役King Shabaka率いるThe Comet
is Coming(Impulse移籍前の所属はLeaf)のドラマーBetamaxとの共作。当然ドラムをフィーチャーしている為、前作以上にアブストラクトかつビート・オリエンティッドに仕上がっている。徹底的に電子と人力のビートの応酬、不穏なトライアログが徐々に昂揚してトランシーになっていく展開がハイライト。(渋谷店 片切真吾)
【JAZZ】〈CD/LP〉
ヴァレンタイン
Bill Frisell(g)Thomas Morgan(b)Rudy Royston(ds)
[Blue Note Records/ ユニバーサルミュージック UCCQ-1127(CD)]
[Blue Note Records 0899210(LP)]
ビル・フリーゼルの新作がブルーノートより発売される。本作は、ビル・フリーゼルがここ数年活動をともにしている、トーマス・モーガン(b)、ルディ・ロイストン(ds)が参加したギター・トリオによる作品。2019年にブルーノートへ移籍後の初アルバムになる前作『ハーモーニー』がジャズとアメリカーナーを主軸としたヴォーカル入りの作品であったのに対して、本作はインプロブィゼーションに重点を置いた内容になっている。本編13曲中半数以上をビル・フリーゼルのオリジナル曲が占め、他はビリー・ストレイホーン等の曲が収録されている。日本盤にはボーナス・トラックの収録も予定。(荻原慎介)
【JAZZ】
LIVE AT NEW MORNING, PARIS
Ryan Porter(tb)
[rings RINC66]
シーンに衝撃を与えたカマシ・ワシントン『The Epic』でのインパクト大の演奏、そして彼のバンドメンバーとして来日も果たしているトロンボーン奏者、ライアン・ポーター初のライヴ盤。カマシの他、ブランドン・コールマン (p, key)、ジュマーニ・スミス(tp)、マイルス・モーズリー(b)トニー・オースティン(ds)など、西海岸の気心知れたメンバーたちが参加。ロイ・ハーグローヴ楽曲《Strasbourg / St. Denis》のゴギゲンな演奏から始まり、続く《Madiba》でのカマシのソロで早くもクライマックス! 熱気溢れるステージが、観客の熱狂と共にパッケージされた好ライヴだ。(新宿店 栗原隆行)
【JAZZ】〈CD/LP〉
SYMPHONIE PACIFIQUE
Greg Foat(p)Moses Boyd(ds)Clark Tracy(ds)
[ Strut STRUTCDJ212(CD)STRUT212LP(LP)]
超新感覚…! 現行のUKスピリチュアル・グルーヴ・マスターとしてJAZZMANからサイケな秀作を発表してきた鍵盤奏者の最新作はその名も「太平洋交響曲」! 軽やか、かつ流麗なタッチのピアノには程よいリヴァーヴが効いて、ビートは軽快に、もう完全にアイランドモードだけどカリビアンではなくバレアリックな桃源郷仕様(ジャケも秀逸!)。アンビエント~シューゲなシンセに包まれて徹底的にレイドバックしつつも随所にスピリチュアルで美しい昂揚感が盛り込まれて、それが気持ちいいの何の。どれだけヒートアップしても徹底してブリージン、これ今年の…いや…毎年の夏の必携盤になりそうです。( 渋谷店 片切真吾)
【JAZZ】
Peace
Spirit Fingers:Greg Spero(p)Max Gerl(b)Mike Mitchel(l ds)Dario Chiazzolino(g)
[Ropeadope RAD574CD]〈輸入盤〉
クインシー・ジョーンズが絶賛するピアニスト、グレッグ・スピーロや、スタンリー・クラーク、クリスチャン・マクブライドのバンドでの活動等で知られるドラマー、マイク・ミッチェルらが在籍する実力派集団。ジョン・マクラフリンの近年のソロ作を彷彿とさせるような超絶技巧のリズム・セクションをフィーチャーした楽曲に、透明感のある力強いピアノがアクセントとして際立つ。テクニカル一辺倒ではない叙情的なエッセンスも魅力だ。ジャコ・パストリアスの再来と称されるベーシスト、アドリアン・フェローは脱退したが、新加入のベーシスト、マックス・ゲールもかなりの超絶テクニックを披露。(新宿店 栗原隆行)
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