POP/ROCK/NEW AGE新譜レビュー【2020.4 145】
2020年4月20日発刊のintoxicate 145、お茶の間レビュー掲載のPOP/ROCK/NEW AGEの新譜7枚をご紹介!
intoxicate 145
①【J-POP】
HOTOKENO
OORUTAICHI wit h SPECIALBAND
[OKIMI RECORDS OKIMI-18]
水曜日のカンパネラとの〈YAKUSHIMATREASURE〉やアニメ『映像研には手を出すな!』の劇伴など精力的な活動を続けるオオルタイチ、ウリチパン郡から派生した歌ものユニット〈ゆうき〉を挟んで、本人名義でのリリースは2014年のEP以来6年ぶり。〈LOVES THE ACUSTICO PAZ NOVA BAND〉の発展形(植野隆や田中馨、トンチなどが今作も参加)での演奏はフィジカルリリースを望まれたPAZNOVA路線だっただけに嬉しく、そして何といっても表題曲の美しさたるや、彼がダンスミュージックの異端として登場したゼロ年代には決して想像できなかった。 ( 渋谷店 片切真吾)
②【J-POP】
Something's Coming
石丸幹二( vo)吉田次郎(g)
[Sony Music Japan International(SMJI)
SICL-30048] Blu-spec CD2 〈高音質〉
ヴォーカルとギターというシンプルな構成。ミュージカルから最近益々活躍の場が広がっている石丸さんと、素晴らしいテクニックと自在な表現力の名手吉田さんという素敵な顔合わせ。最初の《オー・シャンゼリゼ》は明るく洒脱な軽やかさでこのアルバムへの期待値が高まる。ミュージカルナンバーから《枯葉》《愛の讃歌》、宇宙戦艦ヤマトの《真っ赤なスカーフ》まで!曲目は多彩。どの曲でも石丸さんの明晰な日本語の美しさが素晴らしい。詩がすっと頭に入って来る。そして大貫妙子さん作の名曲《歌がうまれてる》はお二人の端正な中に甘い情感のこもった雰囲気にぴったりで和みます。(本社 古川陽子)
③【CLASSICAL】
夜
Ola Gjeilo オーラ・ヤイロ( オラ・イェイロ)(p)
[Decca 485196] 〈輸入盤〉
疲れた心身を癒す。これも現代音楽。静かに淡々と奏でられるピアノ。身構えなくても耳に旋律が染み込んでくる。そして時間がゆったりと感じられる。1978年ノルウェー生まれの作曲家・ピアニストのオラ・イェイロは、クラシックだけでなくジャズ、映画音楽にも取り組む。特に無伴奏の宗教作品を中心に創作活動を行い、DECCAレーベルでの前作「合唱作品集」は、透明な歌声とハーモニーで聴き手を魅了。しかし、新作『夜』は全編ピアノソロのアルバム。どの音もバランスよく扱われ、全編ゆっくりしたテンポで落ち着いた旋律と伴奏が溶け合って心地良い。眠る前にじっくり耳にするもよし、入眠のBGMとしてもよし。(渋谷店 雨海秀和)
④【NEW AGE】【CD/LP】
Actions
Fire! Orchestra
[Rune Grammofon RCD2212(CD)RLP3212(LP)] 〈輸入盤〉
怪物マッツ・グスタフソン率いるトリオFire!を核に形成されるフリージャズ・オーケストラ、前作より1年を待たずに届いた新作はポーランドの作曲家クシシュトフ・ペンデレツキ(これを記している最中に訃報が届いた…R . I . P.)による、その名も《Actions for Free JazzOrchestra》を演奏、ドン・チェリーがペーター・ブロッツマンらを率いて演奏した録音で知られるこの楽曲、統制された自由という二律背反をソウルフルなヴォーカルをフロントに洪水の如き演奏を特徴とするこのオーケストラが再演すること、彼らの新たな一面を解放する一手となるに違いない。 (渋谷店 片切真吾)
⑤【NEW AGE】【CD/LP】
フラッシュ・オヴ・ザ・スピリット
Jon Hassell&Farafina
[ ライス・レコード INR-8045(CD)GBLP087(LP)]
ブライアン・イーノとのコラボレーションで知られ、「第四世界」を標榜した巨匠ジョン・ハッセル。本作は1992年に発表された西アフリカのブルキナファソを代表するグループ、ファラフィナとのコラボレーション、故に当然、アフリカ色の濃い作品になっている。アフロ・パーカッションのトライバルなミニマリズムと微分音を駆使し西洋音階を脱却し浮遊するジョンのトランペット、そして8〜90年代のエスノで神秘的なシンセのレイヤーの交感は新たなアンビエントマップを描いた。グローカルなビート×ニューエイジ色の強いアンビエント、それはもう今まさに真価を発揮する音ではないか。
(渋谷店 片切真吾)
⑥【NEW AGE】
space_echo by HardcoreAmbience
大野松雄× 3RENSA
[P-VINE PCD-25293]
テレビアニメ『鉄腕アトム』の音響を手掛け、世界中に未来の音を届けたレジェンド=大野松雄、ここ2~ 3年で活発にコラボレーションを繰り広げているMer zbow、Duenn、Nyantora (ナカコー)によるバンド=3RENSA、そんなエクスペリメンタル音楽界の錚々たる面々が一同に介して今年1月に行った公開ライヴ・レコーディングがフィジカル化した。荒ぶる電子音やノイズが飛び交う激烈な前半から、無重力空間を彷徨い倒錯した世界へとトバされる中盤を経由し、終盤へと差し掛かる頃には彼らのスペーシーな音響にフリークアウト寸前。各人の役割を考えながら聴く…そんな余裕もなくなるスペシャルな体験をどうぞ。 (青木正之)
⑦【POP/ROCK】
Figures
Aksak Maboul
[WINDBELL FOUR138] 2CD
既成概念を覆す前衛的な自身の作品だけでなく、クラムド・ディスクの主宰を通じて後続アーティストたちの道標ともなっていたマルク・オランデル。本作はオランデル率いるアクサク・マブールとして3 作目にあたり、40 年振りとなる新作だ。テクノロジーが進化したことで、世界中に点在する刺激的な音楽と出会える機会も格段に増えているが、そんな環境下でもアクサク・マブールの多様な意匠(チェンバーロック、ジャズ、ブラジル音楽、ポップス、etc……)と、懐かしくもフレッシュという時代を超越した折衷性は、怪しさや可愛いらしさ、そして洒落っ気もたっぷりと含み何とも不思議で、強く惹きつけられる。(青木正之)
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CINEMA(Blu-ray/DVD/O.S.T)新作レビュー【2020.4 145】(次週公開)
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