JAZZ新譜レビュー 後編【2020.8 147】メモリアル・ライヴ・トラックス/ノーモア・ブルース ~シェガ・ジ・サウダージ~/ROVO/Hat and Beard/ザ・シュプリーム・コレクション【日本編集盤】ほか
2020年8月20日発刊のintoxicate 147、お茶の間レビュー掲載の
JAZZの新譜8枚をご紹介!
※JAZZ新譜レビュー前編【2020.8 147】はこちら
intoxicate 147
【J-JAZZ】
メモリアル・ライヴ・トラックス
PRISM
[STEPS RECORDS STPR019]
音楽ライター近藤正義氏監修のFree Ride Edition第4弾リリースは日本が誇る長寿フュージョン・バンド、プリズムのライヴ・トラック集。過去のメンバーが参加した3つの映像作品『ホームカミング2004』『同2007(30周年記念ライヴ)』『40 周年記念ライヴ』の中から、バンドの第1期にあたる公式オリジナル・アルバムの最初の3 作に収録されていた和田アキラの楽曲をセレクトした全8曲収録。1曲目は名曲《モーニング・ライト》で、和田、森園勝敏両ギターが揃った名演で蘇っており、そんなワクワクする瞬間が70年代の大ブーム時代へ想いをタイムスリップさせてくれる。 (馬場雅之)
【J-JAZZ】
ノーモア・ブルース ~シェガ・ジ・サウダージ~
奥平真吾THE NEW FORCE+1:奥平真吾(ds)岡淳(sax&fl)堀秀彰
(p&key)古木佳祐(b)馬場孝喜(g)
[ピットインレーベルPILM-0008]
俳優の世界だと子役から入ってそのまま大人の俳優に、というパターンがあるが、ジャズの世界では極めて少ない。奥平真吾はまさにその数少ない一人。デビューは11歳、以降42年、ジャズ・ドラマーとして国内外で活躍。本作は自身のバンドTHE NEW FORCEにギターを加えたクインテット編成で聴かせるダイナミックなストレート・ジャズ。アート・ブレイキーをアイドルとする奥平のドラムスに各メンバーのヴィヴィッドなプレイが光る。ジョビン、スタンダード、自身もしくはメンバーのオリジナル曲、エレピを導入したハンコックの 《ドルフィン・ダンス》など、“本物”のジャズをじっくり聴かせる。(馬場雅之)
【J-JAZZ】
ROVO
ROVO
[ワンダーグラウンド・ミュージック WGMPCI-071]
山本精一(g)、勝井祐二(vn)、芳垣安洋(ds/per)、岡部洋一(ds/per)、原田仁(b)、益子樹(keys)のROVOから、『XI (eleven)』(2016年)以来4年ぶりのニュー・アルバムが届けられた。ここに来て遂にタイトルにバンド名を冠していることは、「結成24 年目にしてバンドの意思と楽曲と演奏が完全に一体化した」という自信の表れにちがいない。その言葉の通り、どこまでも上昇していくようなライヴ体験のあの感覚、音の塊が降ってきて身体に覆い被さってくるようなROVOのパフォーマンスがここでは聴け、これこそが真骨頂でありROVOの音楽なのだと本作は力強く告げる。山本の新作『CAFÉ BRAIN』とはまた異なる音の桃源郷。(天野龍太郎)
【J-JAZZ】
Hat and Beard
大友良英ニュージャズクインテット:大友良英(g)類家心平(tp)今込治(tb)水谷浩章(b)芳垣安洋(ds)
[F.M.N.SoundFactory FMC-051]
「いだてん」で、時折差し込まれる尖りに尖った音を聴くにつけO N J Qでのギラギラな大友良英をまた聴きたいなぁと思っていたが、何と14年ぶりの新譜。フロント2管をサックスからトランペット&トロンボーンにした新編制初音源。ONJOでも取り上げたドルフィー曲を冠した2018年の実況録音。《Flutter》 の最初のフィードバックノイズで全身の血が滾る…コレだよコレ! ドルフィー他オーネット、ショーターに大友曲のみのニクい選曲。ちなみに大友曲 《ID-10》は、かのメインテーマのメロディをモチーフにしており、大河開始前夜のポジティヴなエネルギーと美しさを湛えている。 ( 渋谷店 片切真吾)
【JAZZ-VOCAL】
ザ・シュプリーム・コレクション【日本編集盤】
Sara Gazarek(vo)
[コアポートRPOZ-10059]
透明感あるナチュラルな歌声が魅力のジャズシンガー。2005 年のデビュー作『Yours』から、2019年発表の『ディスタント・ストーム』まで、これまでの彼女のキャリアを総括する日本独自企画のコンピレーションアルバム。ピアノ詩人フレッド・ハーシュとの2019 年未発表ライヴ《Dreams / Darn That Dream》での清涼感のある素晴らい歌唱と、情感溢れるピアノとの相性の良さ。ビートルズやジョニ・ミッチェルやビリー・ジョエルなど、幅広いカヴァー楽曲での高いアレンジメントスキルなど、彼女の魅力に初めて触れるには絶好の一枚。(新宿店 栗原隆行)
【POP/ROCK JAZZ-VOCAL】〈CD/LP〉
Songs of an Unknown Tongue
Zara McFarlane
[Brownswood Recordings BRBW-209(CD)BWOOD0209LP(LP)]
ザラ・マクファーレンが当初ニーナ・シモンなどに例えられた評価に安住せず野心的に音楽の幅を拡げ、ルーツであるジャマイカ音楽を取り入れた前作は彼女の音楽家としてのアイデンティティ確立の宣言であった。とどまらず、今作でロンドンのプロデューサー、クウェイク・ベース、ウールーの2名を迎え、前作同様ルーツに根差しつつ、大胆にエレクトロニックな手法を採用。コンボ的音作りが控えめになりアフロ感やレベル感は抑えられ、よりメディテイティヴかつスピリチュアルなテーマにフォーカスしている。ルーツへの回帰で終わらず、過去を解放し未来を見つめるその歌声は、優しく、美しく、強い。( 渋 谷店 片切真吾)
【POP/ROCK JAZZ-VOCAL】
Live In New York
Joni Mitchell (vo, g, p) Pat Metheny(g)Michael Brecker (sax)Lyle Mays(key)Jaco Pastorius (b)Don Alias(ds, perc)The Persuasions (vo)
[Equinox Jazz/AGATE AGIPI - 3673]2CD
1979年にジョニ・ミッチェルがアルバム『Mingus』発売後に行ったツアーのNYでのライヴ録音。すでにリリースされて同ツアーのサンタ・バーバラでのライヴをレコーディングした『Shadows and Lights(シャドウズ・アンド・ライト)』は名盤である。そういう意味では、これはその別テイク集のような趣である。日付は前者が8月、後者が9月。セット・リストが微妙に違っていて、N Yの冒頭2 曲が初出となる。メンバーに変更はなく、故人となったマイケル・ブレッカー、ジャコ・パストリアス、ドン・アライアス、そしてライル・メイズの演奏がまた聴けるのは、音質はともかく、この上ない喜びである。(高見一樹)
【J-JAZZ】
Percussive Trio
大口純一郎(p)大儀見元(perc)小泉哲夫(b)
[Big Mouth Records JO0707]
ジャズピアニスト、大口純一郎がドラムに換えて、パーカッショニストと組んだトリオの初アルバム。彼がこのバンドを構想したのは随分以前のこと。その間に、何が一番変化してこのアルバムの音になったのか。それはおそらくパーカッションのセットだろう。シンプルなコンガ中心のセットから日本では珍しいトラップ・ドラムへと進化し、大口自身の構想にさらなる彩りを加えている。レパートリーの中心にはジェリー・ゴンザレスのフォート・アパッチの楽曲が据えられ、そこにオール・ブルースのようなスタンダードが加わる。ブルースはルンバに変化し、このトリオならではのマルチなグルーヴでドライヴする。(高見一樹)
▶前編はこちら!
JAZZ新譜レビュー前編【2020.8 147】
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