POP/ROCK/NEW AGE新譜レビュー【2020.6 146】
2020年6月20日発刊のintoxicate 146、お茶の間レビュー掲載のPOP/ROCK/NEW AGEの新譜7枚をご紹介!
intoxicate 146
①【CLASSICAL】
イレヴン・ワーズ
David Foster(p)
[Universal 0868934] 〈輸入盤〉
言わずと知れた名プロデューサー、デイヴィット・フォスターの自作を中心としたアルバム『イレヴン・ワーズ』はその名の通り11の言葉をモチーフにしたピアノ曲集。彼がプロデュースした名曲のようなメロディを期待すると、もしかしたら肩透かしを喰らかも知れない。彼のお気に入りの言葉“永遠”や“ 愛”、“ 勝利”と言った曲名から想像される華麗なピアノではなく、あくまでシンプルで、時おり加わる弦楽器のアンサンブルも寄り添うように控えめである。最後の曲《Serenity》(静謐)という曲名が象徴しているように穏やかなピアノ曲で聴いたあとに気持ちが浄化されるようなアルバムです。(梅田大阪マルビル店 西川智之)
②【JAPAN/AMAMI】
MESSAGE II-Reincarnation
里アンナ 、 佐々木俊之
[PRIMITIVE VOICE ANNA003]
3歳から島唄を習い、いまや奄美を代表する唄者として活躍する里アンナ。大河ドラマ『西郷どん』のメインテーマで知った方も多いのではないだろうか。そんな里が奄美島唄の再解釈、全く新しい音楽を作るというコンセプトのもと結成したドラムとの異色デュオが2作目を完成。島唄特有の裏声やコブシ回しなど前作以上に使用され伝統的な部分がより色濃くなり、かつR&Bやロックといった他ジャンルの要素を取り入れることで音楽スタイルの多様性も格段に増した。島唄、ループする三線、クールなドラム。トルコのサイケ・バンドやOKIにも通じる不思議な魅力に溢れた音楽となっている。
(梅田NU 茶屋町店 小畑雄巨)
③【COUNTRY/BLUES】
Bull Frogs Croon (And Other Songs)
Aoife O'Donovan
[BSMF RECORDS BSMF6191]
待望のアイム・ウィズ・ハーのリリースを経た後の、個々の活躍への期待に先鞭をつけたイーファ。オレゴン出身の詩人ピーター・シアーズの詩を元に作り上げた組曲にカヴァーを添えた一枚。前作にもブルックリン・ライダーやワイ・ミュージックのメンバーを配し、インディークラシックへの接近を見せたが、今作は前作にも参加したヴィオラ奏者ジェレミー・キッテルが共同プロデュースを務め、パンチ・ブラザーズのポール・コワートやクルーキッド・スティルで共に活動したブリタニー・ハースらを擁した弦楽四重奏のよりチェンバーなアンサンブルに耳を奪われる。ちなみにアート・ワークはサム・アミドン。(渋谷店 片切真吾)
④【NEW AGE】
a sign 2
v.a.
[ スローダウンRECORDS REMODEL07] 2CD
音楽評論家、故阿木譲の嗅覚の鋭さの象徴として登場したヴァニティ箱は結局国内で入手するのはやや難しい状況になってしまったもののアーントサリーやあがた森魚くらいでしか触れられなかった全貌の一端を垣間見てゾクゾクした。氏の晩年はどうだったか、を知るにうってつけのコンピの登場だ。小杉武久の晩年に活動を共にしボアダムスにも在籍した和泉希洋志を筆頭に阿木氏が主宰したクラブ元nu things ~environment 0gに集うアーティストが並ぶ梁山泊。尖った電子音とノイズを浴びれば、それが一本の線で繋がっていることを実感できる。マスタリングは宇都宮泰、間違いない。(渋谷店 片切真吾)
⑤【J-POP】
パピヨン-ボヘミアン・ラプソディ-
氷川きよし
[Columbia COZP-1669(CD+DVD)< Aタイプ> ]
今年、デビュー20周年を迎えた氷川きよしが渾身の一手として放つのは、自身初のポップス・アルバム『Papillon-ボヘミアン・ラプソディ-』。昨年末の「NHK紅白歌合戦」でも話題を集めた《限界突破×サバイバー》をはじめ、GReeeeNや水野良樹、上田正樹といったヴァラエティー豊かなアーティストによる提供曲などで構成された意欲作です。白眉は、アルバムのエンディングを飾るクイーンのカヴァー曲《ボヘミアン・ラプソディ》(訳詩は湯川れい子が担当)。圧倒的な歌唱力はもちろん、多彩な表情で魅せるカラフルなヴォーカルは親日家のフレディも太鼓判を押してくれるのではないでしょうか。(井原邦雄)
⑥【J-POP】
ピンク・レディー 阿久悠作品集
ピンク・レディー
[ ステレオサウンド SSMS-043] SACD+CD 〈高音質〉
ピンク・レディーの歴代ヒット曲の大半を手掛けた阿久 悠作品集がSACD 化! マスターの音を出来る限り忠実に再現するというコンセプトのもと(株)ステレオサウンドが企画。 全16曲の現存するアナログ・マスターテープから最新マスタリング。別々にマスタリングを実施したシングルレイヤーSACDとCDからなる2 枚組高品質オーディオとして発売。当時のオリジナ
ル・ミキサー山口照雄氏の貴重なインタヴューや制作リポートも掲載。これまでのピンク・レディー体験を一変させてしまう程の高品位な音の仕上がりとなっている。(那須基作)
⑦【COUNTRY/BLUES】【CD/LP】
Logan Ledger
Logan Ledger
[Concord/Rounder 116 61612(CD)11661613(LP)] 〈輸入盤〉
ラウンダー発の男性SSWローガン・レッジャーは本作がアルバム・デビュー。頽廃的かつヴィンテージ趣味な伊達男感漂う佇まいは期待を裏切らない。アメリカーナ名盤請負人Tボーン・バーネットがプロデュースを手掛け、マーク・リーボウも参加、ロバート・プラント&アリソン・クラウスの『レイジング・サンド』を作り上げた面々によるバックアップだ。機材もヴィンテージにこだわりがあるようで、時代を超えた音を鳴らすギターは時に程よくサイケだったり。そして何といっても歌、ジョニー・キャッシュの凄味とプレスリーやロイ・オービソンの色気を同時に放たれたらそりゃ酔い痴れるしかない。(渋谷店 片切真吾)
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CINEMA(Blu-ray/DVD/O.S.T)新作レビュー【2020.6 146】(明日公開)
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