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西平直『シュタイナー入門』

かなり評価の高いシュタイナー入門書のひとつ。

著者はシュタイナーを肯定しつつも、超感覚的世界についてはついていけてない感じ。

とはいえ自分を客観視する視点があって好印象。常識を絶対視してそこから外れるものを考えなしに排除するみたいな人ではありません。

バランスのとれた著者による、バランスのとれた入門書。

全体の構成は以下の通り。

・シュタイナー教育について
・シュタイナーの生涯
・シュタイナー理論の基礎知識
・思想史のなかにシュタイナーを位置づける

どの章も面白いのですが、入門書としてはやはり理論を解説した部分が重要。シュタイナーのいう「エーテル体」や「アストラル体」といった概念をわかりやすく整理してくれています。

シュタイナーいわく人間は4つの層で構成されます。

・物質体
・エーテル体(生命)
・アストラル体(意識)
・自我

物質体はモノのこと。

そこにエーテル体が重なることで生命になります(たとえば植物)。

さらにアストラル体が重なると意識が発生(たとえば動物)。

そこに自我が乗っかると人間になります。

自我が記憶を可能にするとシュタイナーは述べています。つまり自我は時間と関係しているということ。

エックハルト・トールらのいう「エゴ」とシュタイナーのいう自我は別のものだと思われますが、どのように違っているのかは興味深い。

眠りは物質体&エーテル体からアストラル体&自我が切り離されること。このとき人はアストラル界に属しています。夢はアストラル体がエーテル体に働きかけることで発生します。

死は物質体からエーテル体&アストラル体&自我が切り離される現象。

人は死後、アストラル体に蓄積された過去の記憶を閲覧します(人生の走馬灯)。このプロセスの終了とともにアストラル体も消え去り、自我はすべての体から自由になります。

そして次に自我が経験するのが霊的世界。やがて自我は新たなアストラル体を求め、カルマに応じて次の人生を開始します。

宇宙生成論についてもさらっと解説あり。この本を読んでおけばシュタイナーの『神秘学概論』も理解できそうな気がする。

あと巻末でさらっと紹介されている次の3冊も面白そう。

・近世の精神生活の黎明期における神秘主義
・哲学の謎
・神秘的事実としてのキリスト教


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