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【エッセイ】

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エッセイのまとめ。思考の保管庫。
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記事一覧

【エッセイ】ナイトメアに吞まれて。

やっとのことで目を瞑ると、そこには混沌が広がっていた。 流れるように日常を過ごしていたある日「寝付けない」は私のもとに舞い降りた。 体は疲れていても、心がそれを否定する。 頭が回らない状態では、小さな金属の塊から発せられる音楽や映像に、ただ浸ることしかできない。 日付をまたいで、3時近くになって。 やっと目が開かなくなる。 10時寝6時起きというリズミカルな生活ができていたかつての私を切り離すかのように、睡眠の質は堕落していくのであった。 そして、待ち受けているのは、悪夢

【エッセイ】7倍のご褒美より、等倍の幸せを。

今年のクリスマスは、11時から始まった。 その日は、というかここ1年、寝つくのが遅いせいだ。 決まった時間に寝て、決まった時間に起きて、学校へ行く。 それができていた去年までの自分が信じられない。 加えて、眠りが浅くなったせいで、夢を見ることが日常茶飯事と化していく。 その日は、中学時代のクラスメイトにばかにされて目を覚ました。 こわばった顔で目を覚ますと、枕元にある有線イヤホンつきのスマホに手を伸ばす。 青い光が、朝8時を鮮明に映し出す。 部屋の窓から手が届く範囲にベッド

【エッセイ】再会と、不安と、安心と。

この前、高校生のときの友達数人と会ってきた。 とはいっても、私はこの春まで高校生だったので、会うのは8ヶ月ぶり。 大学生と浪人生が混じったメンバー。 もとは私も浪人生だったので、浪人組とは予備校で会ったら話すことはあったものの、クラスが違ったため「いつも」ではなかった。 中には卒業式にちょっとだけ話して、それっきりLINEすらしてない人もいた。 ついこの前まで湿気っぽくて暑さをふるっていた夏は、心地よい涼しさの秋が秋でいられる時間を奪ってしまったので、もう上着なしではいられな

【エッセイ】とめどない思考、3000の壁。

「3000文字書けない話題は、私の有象無象」 改めてnoteを始めてからというもの、私はこの思考に支配されている。 実際、私が投稿したエッセイやショートショートは、下書きの段階では3000字を超えるまで書いている。 この段階で手が止まったら投稿しない。 ただし、書き終わった後、修正で大幅に削る、または付け加えをすることがあるため、ここであなたが読む文章が原型をとどめているとは限らない。 また、つぶやきなどの機能は一切使わず、テキスト投稿しかしない。 そんな「縛り」の上に私が

【エッセイ】「無知」を抱え込む。

「無知」 高校生、そして成人という線をまたぐごとに、この言葉をよりいっそう意識してしまう。 無知とは、読んで字の如く”知識がない”ということ。そしてそのさまから”愚か”という意味も含んでいる。 確かに、作品中のキャラクターや現実のちょっと頼りない人を見て「この人は何も知らないまま生きていくことしかできないんだな………」ということが既にわかりきっているときの、視聴者目線で感じる、あの何とも言えない虚しさ。 それに”愚か”とという言葉を当てはめると納得できるような気がしている

【エッセイ】不安定を楽しむ。

秋になった。 この前まで猛威をふるっていた夏は、もう去っていこうとしている。 朝と夜は肌寒い。毛布が恋しくなってきた。 秋特有の、急な気温の変化。 とはいえ、年を重ねるごとに遅くなっていってるようにも感じる。 少し前なら、9月の後半には気温が下がって、今ごろはもう十分涼しかったはずだ。 日本の四季が狂い始める。 もう止めようがないのかもしれない。 この急激な温度変化で、体調を崩す人も多いだろう。 お腹が痛い。喉が痛い。風邪をひいた。 私もここ数日ずっと心臓が痛い。 おそらく

【エッセイ】2つの鳥籠の中で。

画面の向こうにいるあなたは、どんな人なのだろうか。 「書く」「読む」のどちらにしても、気になってしまう。 特に気になるのが、年齢。 noteに出入りするユーザーは、いわゆる「大人」が多いと思っている。 仕事や育児が安定期になる、20代後半~40代前半の方が多いイメージだ。 ある人はビジネスの延長線として、ある人は人生の備忘録として、ここに文字を遺す。 子育てのことや趣味のことを気楽に書いている人もいれば、命を削って言葉を紡ぎ、人生をかけて書いている人だっている。 そして、

【エッセイ】それでも、私はクリエイターでありたい。

「書くの、楽しい?」 この世界では、きっと毎日のように誰かがこの問いかけををしている。 ある人は「なぜ書くのか」というエッセイで。 ある人は「文章の書き方」というコンテンツの導入で。 そして、意味目的を見失わないための自問自答で。 私の中の私にも聞いてみる。 「書くの、楽しい?」 「いいえ」 私は、文章を書くという行為に「楽しさ」を見いだせていない。 ファイルを開く。 画面とにらめっこしながら、カタカタとキーボードをかき鳴らして、時間を消費していく。 ふいに手が止まる。