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偶然か必然か、はたまた運命か

これはただの偶然じゃない。 一瞬にして思考が停止し全身が鳥肌に包まれる。 この手の平に収まる程の長方形の物体は時に見たくないものまで見せてくれる。 脳なのか心なのか、自分でもどこが疼いているのか定かではないがどうにかして体内の錯乱している部分を鎮めようと物理的にその物体と距離をとった。 嫌だとかつらいとか悲しいとか、一言で表せるようなそんな単純なものではない感情が私を襲う。 襲われたところでどうにかできるものではないこの見えない粘着質な塊を受け入れる他はないことを瞬時に悟っ

    • 明日へ

      薄明の空に誘われて、歩みを止めずに進んでいった。 帰るべき場所はとっくに通り過ぎていたが、私は前しか見なかった。そもそも帰るべき場所なんて、今の私にはあるのだろうか。 見慣れた景色に身を委ね、全てを身体に取り込むように大きく息を吸う。そして要らないものだけを吐き出すようにゆっくりと息を吐いた。 川のせせらぎ、ランニングをする人の足音、微かに聞こえる車の走行音。それら全てが心地良く、けれどもどこか寂しかった。 突如、遠くのほうに虹が現れた。 雲の間にそっと佇むように見

      • 掃除機を買いに行ったのに

        掃除機を買いに行ったのに「まぁ、今日じゃなくても良いか」と手ぶらでお店を後にして、気の向くままに古本屋さんへ。 結局掃除機の値段分の本を両手に抱えて家に着いて、ウキウキで床に広げてそのままシャワーを浴びた。 ひと通り終えて再び本を目の前にすると「やっぱり掃除機買っとけば良かったかなぁ」なんて思ったり思わなかったり。 少し前にはリビング用のミニテーブルだと思って買ったものが園芸用だったり、お風呂の水切りワイパーだと思って買ったものが窓の結露取りだったり。 少しずつズレて

        • 雨にさそわれて差した傘が、 風にいざなわれて裏返しになりました。 それでも私の傘は骨が柔らかいようで、すぐに元の形に戻ります。丈夫っていうのは柔軟っていうことなのかもしれないね。 「君は頭が固い。」とあなたはよく言いました。 良し悪し、好き嫌い、白黒をはっきり決めたがる私とは対照的に、すべてにおいて多面的にものごとを捉えて、その上で選択をするあなたを見ていて広い人だと感じました。 私の嫌いを減らすために、いろんなことを教えてくれたね。おかげでご飯は美味しいし、冬でも背

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        偶然か必然か、はたまた運命か

          歎きつつ ひとり寝る夜の 明くる間はいかに久しき ものとかは知る

          書くのは抱えているのが怖いから、本を読むのはこの世界が怖いから、夜更かしをするのは朝が来るのが怖いから。全ては自分の弱さだと怪奇な誇りを内側に携え、何事も無いかのように息を吸って吐いている。倫理のバグを貞操のバグだと罵られ、聞き慣れた台詞を唱える勘違い野郎を肯定し受け入れたフリをする。けれども前者を認められたところでそれは社会から見放されたと同等の意があると理解し自己欺瞞に耽る。「愛が何だ」と言う割には愛するものが多過ぎて手に負えず、裏切られるくらいならと自ら離れる選択をし、

          歎きつつ ひとり寝る夜の 明くる間はいかに久しき ものとかは知る

          いつでも私は

          空のようにあなたを見守り 大地のようにあなたを受け止め 風のようにあなたを愛撫し 花びらがひらりと落ちるように、そっとあなたに接吻をする

          いつでも私は

          執拗く質濃く

          痛いからピアスは開けたくないし、重たいものは持ちたくない。好きを抱き締めるために両手は空けておきたいし、朝でも夜でもフットワークは軽くありたいの。 全部見たいから視界を遮らないように髪は後ろに束ねて、全部聞きたいからイヤフォンは身に付けず、全部知りたくて全部感じたいから底の厚い靴を履くの。 何でも掴み取れるように、いつでも走り出せるように、どこへでも行けるように。 正解なんて分からないけれど、正しい私でいられるように。

          執拗く質濃く

          勝敗のないもので競い合い、優劣のないもので威張り合う ないはずの差異で生まれた溝を埋めるための行動によって得られるものは、充実感かそれとも

          向き合うための逃避手段として

          向き合うための逃避手段として

          また一つ

          春には桜が咲くように 夏にはほおずきが色付くように 秋には金木犀が香るように 冬には雪が降るように 気付けば季節がまた一つ、規則正しく巡ってくるの 私にとっての特別は、あなたにとっての日常で あなたにとっての特別は、私にとって知る由もないことで 始まりでも終わりでもなく、ただ巡ってきただけなのだと 通り過ぎて、通り過ぎて 満たされて、満たされて

          また一つ

          膝で階段を駆け降りて

          はじまりはちいさなことだった。 「放っておけばそのうち治る。」という私に、あなたはいつも必要なものをくれました。 荒れ果てた手も、傷だらけの足も、頑張っている証拠だと言ってくれました。次々とできる痣を、空に浮かんだ星をなぞるかのように丁寧に撫でてくれました。 「頼れるものには頼ればいい。」と、緑や水色の軟膏薬を出してくれたこともあったね。その方が早く良くなるからと、傷痕が残りにくいからと。 仕事柄だと言っていたけれど、全部優しさだったの知ってるよ。お風呂上がり、必ず用意

          膝で階段を駆け降りて

          あなたでいてほしいのです

          私の前でのあなたの姿が真実ではないとしても、それはそれで良いのです 偽りのあなただったとしても、それはそれで良いのです あなたがそれで良いのなら、 そんな自分が好きなのであれば 私の知っているあなただけがあなただから どんなに曲がっていても良いから、 真っ直ぐでいてほしいのです

          あなたでいてほしいのです

          「僕もう行くからね。」 夢の中で言ったあなたの言葉の意味を教えて。

          「僕もう行くからね。」 夢の中で言ったあなたの言葉の意味を教えて。

          掘れば掘るほど掴めない。引き出しが多く、奥行きの深い人間でありたい。疲れているはずなのに、どこかエネルギーに満ち溢れているこの感覚を自分の「好き」にぶつけよう。直感と勢いを信じて。いつか、誰かの何かのきっかけになる日まで。

          掘れば掘るほど掴めない。引き出しが多く、奥行きの深い人間でありたい。疲れているはずなのに、どこかエネルギーに満ち溢れているこの感覚を自分の「好き」にぶつけよう。直感と勢いを信じて。いつか、誰かの何かのきっかけになる日まで。

          要らぬ頁

          閉じたはずの本の続きを勝手に読み進められている気分だ。こちらの意思などお構いなしにどんどん物語が進んでいく。そこには知らない人物がいて、知らない世界があって。本を手に取った本人が置いてきぼりになっているではないか。 含みのある言葉の中に何かを探してしまう。同じ頁の同じ行を何度も何度も読み返し、見つかるはずのない何かを懸命に読み解こうとする。 希望のような絶望が全身を包み、自分で選んだはずの本であるのに何処かへ捨ててしまいたい衝動に駆られる。 貪るように読んだ前章までもが疑わし

          要らぬ頁

          狭間で

          「君らしいね」という言葉が私らしさを固めてくれたから。私が私らしくいる限り、あなたに生かされていると思ってしまってずっと悔しいの。 あなたからの「大丈夫」で何でも大丈夫になれたから。今でも心の中で問いかけてしまいます。「これでいいのかな」も「私が違うのかな」も、全てを飲み込んで優しい言葉を喚くように残していったから。私の奥にこびりついて、どうにも剥がれてくれません。 素敵なものに出会う度、好きなことに触れる度、あなたの存在が私の中を掠めます。 何をしていても心強いけれど