【自分に合った1冊が見つかる!】DELE対策問題集を大解説
はじめに
こんにちは、はじめてnoteで書く書店ブログです。
書きたいことがたくさんあるので何から書こうかな~と思ったのですが、「セルバンテス書店といえばDELE対策」(自称しました)ということで、各出版社から出ているDELE対策問題集をシリーズごとに比べた記事を書きたいと思います。
日々出版社とやりとりしたり、店頭でDELEの教材を販売する身として、「作文対策重視の問題集はありますか?」といったお客様からの質問や、「こんなものを探してるんですけど…」といったようなご相談、また、自分が実際にDELEを受ける際に使用したテキストなど、様々な観点からDELE教材を選んできた経験を踏まえて書くので、少しでも問題集選びの参考になれば嬉しいです。
「大解説」と自分で言ってしまいましたが、DELEの問題集選びに迷った時に、「これを読めば各問題集の概要がわかる!」を目指したいです。
イメージとしては、1つずつ詳しく説明するというよりかは、シリーズごとにそれぞれ「どんな特徴があるか」や「どんな人におすすめか」などをざっくり取り上げたいと思います。
というのも、同じシリーズでもレベルによって模擬試験の回数や付録などに違いがあるんです。なので、ピンポイントで特定のテキストの詳細を知りたい方は、各シリーズの説明の最後に、タイトル一覧と併せて個別に以前書いたブログ記事のリンクを貼っていくので(「内容の詳細はこちら」の箇所です)、そちらを参考にしていただく方が良いかと思います。
ところで、私は書くこと(喋ることも?)が大好きなので、よく本題に入る前にアレコレと色々書きすぎてしまいます。以下に目次を貼るので、時間を節約したい方は直接気になる項目に飛んでください。
で、実は前のブログで同じ内容の記事を書いたことがあるのですが、改めて見てみるとコロナ禍真っ最中の2020年5月に書いていました。
(ちなみに記事はこちら▼)
今読んだら記憶が一気に蘇りました。あの頃はスペインはロックダウンだし、輸送便は大混乱で荷物は来ないし、こちらは書店が臨時休業&初めての在宅勤務だし、と今思い返してもいろいろありすぎましたね。懐かしいとすら思える遠い記憶のような感じがしますが…
あれから3年以上が経ち、問題集自体が新版になったり、新刊が新しく登場したり、といろいろ変化もあったので、これらの情報はしっかりアップデートさせて書いていきたいと思います。
ちなみに!店頭には各問題集の特徴(模擬試験の回数や解答・音声の入手方法など)をまとめた「比較表(Tabla comparativa)」を置いていますので、ご来店の際はこちらもぜひ参考にしてみて下さい。
では以下本題です。
DELE対策問題集を選ぶポイント
まず、DELE対策問題集を選ぶ際に気にしておきたいポイントについて。以下の中で、自分が最も重視するものはどれだろう?と考えておくだけで、意外と候補が絞られます。
1点、「4. 作文や口頭試験のモデル解答があるか」ですが、これはDELE対策問題集の場合、いわゆる「解答(模範解答)」が用意されているのは「読解(Lectura)」と「聴解(Auditiva)」のマークシート部分のみだからです。作文と口頭試験の対策をしっかりしたい方には、1つでもこれらのモデル解答がある問題集をおすすめします。
はじめてDELEを受験する方におすすめ!日本語解説付きシリーズ
スペインの教材出版社SGELが出すDELE対策問題集を、出版社の協力の下、当店の運営元であるインタースペインが、日本の学習者向けに加筆・編集したシリーズです。洋書の問題集にはなかなか無いとにかく細かい解説と、それらが日本語で書かれているという点が特徴です。
(ちなみにただ「日本語に訳した版」ではないのです!ということは、こちらの記事の冒頭に少し書いているので、ご興味のある方はぜひ)
DELEを受ける際は、試験の仕組み(各パートで何点取れると合格なのか、どのような問題が出るのか)を事前に頭に入れた上で対策をすることが非常に有効です。なぜなら、「何が求められているのか(=自分は何をしなければいけないのか)」を知っておくことで、試験の雰囲気を事前に把握でき、しっかりと準備した状態で試験に臨むことができるからです。
「口頭試験で試験官に質問をしなければいけないなんて知らなかった…」、「作文のお題が<メールを書く>だけど、書き方のマナーなんて知らない…」などに当日気づくのと予め準備していたのとでは、点が取れるかどうかが変わってきます。
あらかじめ試験の性格を抑えて、点が取れる部分は先に把握しておきたいですよね。
特に、作文と口頭試験に関しては、模擬解答や会話モデル+再現音声があることで具体的な試験のイメージがしやすくなります。
ちなみに私は初めてDELEを受けようと思った時に買ったのが、この日本語解説付きシリーズのA1-A2レベルでした。DELEは試験自体がすべてスペイン語で行われるので、概要や解答のコツだけでも日本語で理解できるのは、初心者には大変ありがたかったのを覚えています。
ちなみに、これらのDELE日本版は、池袋店をはじめ全国のジュンク堂さんと
系列店でも販売中です。取り扱いタイトルや在庫状況は、ぜひお近くの店舗にお問い合わせを!(Amazonには出していません)
模擬試験の回数や付録の内容など、各レベルの詳細は以下にてご覧ください。
DELE対策問題集の先駆者で一番有名?!Preparación al DELE シリーズ
DELEの問題集といったらこれ!というくらい有名なのではないでしょうか?
それぞれの模擬試験は頻出テーマごとに作られていて、各テーマで頻出の語彙のまとめページがあります。解答は別売りで、「なぜその答えになるのか」の一言解説がついています。
一番の特徴は収録されている模擬試験の回数が多いこと。レベルによって異なりますが、6~8回くらい収録されています。B1が最も多く8回分の模擬試験が入っています。
ただ試験概要も含め解説(解き方のコツ?)がやや手薄です。他のDELE対策問題集と比べても少ない方だと思います。
また、レベルにもよりますが、作文と口頭試験のモデル解答は付いていません(B2のみ「書き方のモデル例」がいくつかついています)。「使える一言メモ」のような付録があるので、それを参考に自分で文を組み立てることはできます。
私も実際にDELE B2対策で使いましたが、語学学校でDELE対策コースに通って、宿題としてこの問題集を解く、という感じでした。
その時は先生に実際に解説してもらったので、完全な独学にはやはり少し解説が物足りないかも…と思ったのを覚えています。
でもたくさん模擬試験が収録されているので、その点は何度も練習できてよかったです。
解説の詳しさは洋書の中でイチバン!Objetivo DELEシリーズ
こちらは先ほど日本版として紹介したものと同じシリーズです。A1, A2, B2は、日本版として日本の学習者の方向けにパワーアップした内容となっています。ということで、現在当店でオリジナル版として販売しているのはB1とC1のみとなります。
各模擬試験は頻出テーマごとに作られていて、なんといっても解説がとても詳しく、他の洋書の問題集と比べてもこれが最も詳しいのでは?と思います。スペイン語で書いてあるから…と飛ばさずにしっかり読んでいただくと、かなり効果的な試験対策ができます。
CD(MP3)付きで解答もついているので、1冊にすべてまとまっている点がとても便利です。音声はダウンロードもできますので、CDを聞く媒体を持っていない、という方もご安心を。
解答には、先ほどご紹介したPreparación al DELEと同じく「なぜその答えになるのか」の一言解説がついています。ちなみに、この一言解説がついている問題集は、Preparación al DELEとこのObjetivo DELEのみだと思います。これら以外は、ただ「a, b, b, c, c」のように正解が書いてあるだけだったかと…
模擬試験も各レベル6回程度(正確な回数は各商品ページをご覧ください)収録されていて、解説も詳しい、しかも値段が洋書のDELE対策問題集シリーズの中では比較的安めで経済的(小声) 、ということで、スタッフの間ではおすすめのシリーズとなっています。
このシリーズだけを詳しく解説した記事はこちら(過去ブログへ移ります)。
なんだかとても普通だけど、それが良い、Dale al DELE シリーズ
B1レベルのみ日本版になっています!
各レベル5~6回程度の模擬試験を収録。解説が詳しく、点を取るためのコツやヒントも書いてあったり…と、ごちゃごちゃしすぎずシンプルかつ、解説が詳しく、ちょっとしたヒントもくれる良いテキストです。
模擬試験の収録回数からみて、もっともスタンダードな問題集、と言えますでしょうか。
(特に、解説をスペイン語で読むことが苦でないなら結構良いアドバイスをもらえると思います)
音声や解答はダウンロード式で、出版社の専用ページに登録が必要です。
例えるなら文武両道で友達もそれなりにいるクラスメイトといった感じ?特徴がないのが特徴です、普通に良い、という言葉がしっくりくる…笑
そして、ある時A1とA2の問題集を見ていて、「このシリーズのA1, A2がかなり良いじゃん!」ということに気づき、そのままのテンションで書いた詳しい紹介ブログはこちら(過去ブログへ移ります)。
模擬試験を解く前に練習問題が解ける!Las claves de DELEシリーズ
いきなりですがこのシリーズ、結構おすすめです。
模擬試験のパートは本の中盤以降なんですが、前半部分がすべて練習問題(アクティビティ)のページになっています。
文法の復習もできますし、各テーマごとによく出てくる語彙なども問題を解きながら勉強できます。あとDELEの問題と同じ形式の例題も入っていて、この箇所に作文や口頭試験のモデル解答があるので、実際に模擬試験を解く際に自分の解答づくりの参考にすることができます。
この手の問題集だと、別途文法やボキャブラリーの教材を買わなくても良いのでは?と思います。
(あ、でもしっかり文法を練習したい場合は別で文法問題集があった方が絶対に良いです←どっち)
ということで、1冊で復習しながら模擬試験も試験対策もできる点が本当におすすめです。
あと地味に役立つのが、ページの隅?端?にまとまっている「お役立ちポイント」です。何て言えばよいのかわからないので「お役立ちポイント」と呼びますが、例えば意見を肯定、否定するときの言い方、理由の述べ方いろいろ、成句や言葉の説明など、とにかく知っていると役立つことがまとまっているんです。
このシリーズだけを詳しく解説した記事はこちら(過去ブログへ移ります)。
自称Curso completoな優等生Especial DELEシリーズ
自称と書きましたけど、本当に解いてみるとCurso completoです。
出版社が一緒ということもあり、先ほど紹介したPreparación al DELEシリーズと模擬試験部分は全く一緒なのですが(全く同じ問題が収録されています)、こちらもLas claves del nuevo DELEシリーズのように前半部分が練習問題のパートとなっています。
ボキャブラリー、文法、用法などを問題を解きながら勉強するので、今すぐDELEを受けたい!という方よりかは、時間に余裕があり、じっくり復習もしてから模擬試験を解いてDELEに備える、という方におすすめだと思います。
Curso completoってこういうことだったんだ…と理解。
時間厳守!1秒たりとも無駄にするな!El cronómetroシリーズ
こちら、A2からC2レベルまでありますので、DELE上級を受ける方はぜひ。
模擬試験を解く時、なによりも大切なのは時間をしっかり計って解くということです。でないと問題を解くペースが練習できないため、実際の試験で時間が足りない、ということが起こります。ちなみに私もそうなったうちの1人です(C1を受けたときの苦い思い出です。「え、余裕で時間足りませんが??」となりました)。
書籍に収録されている模擬試験は4回程度ですが、1回分がオンラインでダウンロードできます。あと、模擬試験の他には少しアクティビティも収録されていますね。
ただ中身が少し見にくいのがマイナスポイントです。よく見るとすごく参考になること、実際の試験で使える言い回しなどが書かれているのですが、それがちょっと見づらい…
この点が整理されていればもっと良いのにと思いますが、最後の方に収録されている用法のまとめなど、内容はみっちり詰まっているので上級対策にはぴったりです。
特にC1は巻末に「成句や慣用句のまとめ」がついているので、これがとても良いです。C1になるとこのような成句がわからないと正解できない問題が結構出てくるんです…
(どのようにDELEで出るのかは過去ブログのこちらの記事に書きました)
ちなみにA2は、新試験対応版から名前が「CRONO A2」へと変更になりました。こちらは作文や口頭試験対策のサポートがしっかりしているのとても良いです!
以上、いろいろあるDELE試験対策問題集ですが、
それぞれの違いが少しでも明らかになったでしょうか?
「DELEの問題集にこんなに種類があるなんて知らなかった」
「セルバンテス書店に行けばこれらを見比べられるのか~」
なんて感想もあったら良いな、と思います。
長くなってしまいましたが最後まで読んでくださった方、ありがとうございます。少しづつ、スペイン語頑張っていきましょう~。
私をはじめ当店のスタッフはDELE受験を経験した者、
これから受験するから今まさに勉強中の者など、みんなスペイン語学習者です。同じ勉強中の仲間ということで、お店にいらした際にはぜひお話ししましょう。
では、また。