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通訳者が思う英語力のつけ方〜『英語で話すヒント』〜【10月英語本チャレンジ2】

今回は通訳界のレジェンドのお一人、小松達也先生の本です。私のような一介の通訳者からすれば先輩とお呼びするのもおこがましいぐらいの方です。でも読んでみると、「あ、同じことを考えられているんだ!」と嬉しく思う部分がたくさんありました。

今、「訳す」ということに関連していろいろなことを考えています。「ことばを訳す」というと、逐一ことばを置き換えること、と思われる傾向があると思うんですね。でも実際に通訳者がやってることは全然違っていて、まずは自分がことばが意味する内容を理解することが先なんですね。

通訳研究ではこの「意味」のことを「センス」というそうです。通訳研究のパイオニア、セレスコヴィッチ氏によると、「通訳とは理解そのものであり、言葉を捨てて「センス」を抽出することだと強調し、「数百、数千の単語(word)の中から意味を抽出しようとする時、言葉は助けになるというよりむしろ障害だ」とあります。

「言葉を訳してるんだから、言葉が障害になるっていったいどういうことさ〜?」と思いますよね。でも、なんとなくですが、私にはこの感じ、分かります。「言葉」はある意味「ラベル」なんですね。ふつう、あいまいなものを具体的なものにすることは言語化も含めてよいことである、という風にとられていると思います。もちろん、それが必要な事も多々あります。

しかし、相手のいうことを理解しようとするときに「自分のラベル」を貼ってしまうと、話の全体像が固定されてしまうような気がするのです。だから自分が通訳をするときのことを考えても、「理解」の段階では言語化されていません。よく「通訳って何語で考えてるんですか?」と聞かれるのですが、いつも「何語でもありません。言語に依拠しない何かです」と答えていました。イメージ、といえば近いでしょうか。でもイラストのような明確なイメージではありません。「もやもやとした何か」でしかありません。

その「何か」を反対の通訳を聞かせる方の言語で新たに「話す」、それが私の思う通訳者のやっていることです。

本書でもイメージ化の重要性は書かれています。意味をつかむ、というステップで必要なのは語学力ではなく、理解力です。最初に話し手の言葉を聞く段階では英語力を使いますが、そのあと必要なのは理解するための力です。それは分析力、推論力、構成力、などいろいろと言い方はあると思いますが、自分の頭の中にある言葉も含めて総合力となります。

この点は日常のコミュニケーションでも通訳者でなくても必要となる部分ではないかと思っています。

本書ではもうひとつ、私も同意する点があります。それは第二言語として日本人が英語を話せるようになるには、つまり、英語的なSVO(主語動詞目的語)の構文を使いこなせるようになるには、「意識的な努力が必要」というところです。「頭にある文法の知識を、練習によって身体でというか、口で使えるようにする」ことが大切です。

このように自動化するための練習が、昨日紹介した『英語のハノン』で可能になるのです。私が『ハノン』を激推しする点はここにあります。

昨日の『英語のハノン』の記事は、コチラ↓↓↓

通訳がやっていることの汎用性、もう少し突き詰めて考えていきたいと想っています。これ、読書でも同じことをやっていると思うんですよね。

9月実用書チャレンジをまとめたマガジンは、コチラ↓↓↓

夏休み新書チャレンジをまとめたマガジンは、コチラ↓↓↓


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