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10分でわかる知財最新事情

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弁理士で翻訳家である奥田百子氏による知財最新事情のコラム。2024年は「英語で語る日本の特許出願実務」から内容を変更し、特許、商標、著作権など知財にまつわるトピックスをお届けいた…
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2024年6月の記事一覧

iPS細胞から網膜細胞を製造する特許、使用認められる

iPS細胞から網膜細胞を製造する特許、使用認められる

「網膜色素上皮細胞の製造方法」という特許(6518878号)を使用する権利を求めて、理化学研究所の元研究員らが国に裁定請求をしました。
 
簡単にいうと、iPS細胞から網膜細胞をつくる技術であり、加齢黄斑変性という眼の病気の治療に役立てることができます。この特許は理化学研究所、㈱ヘリオス、大阪大学の共有です。治療に有効であるため、使用させてほしいとの裁定請求を、理化学研究所の元研究員でビジョンケア

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ラーメンチェーン店「AFURI」が吉川醸造を商標権侵害で提訴

ラーメンチェーン店「AFURI」が吉川醸造を商標権侵害で提訴

ラーメンチェーン店のAFURI(株)は、吉川醸造(株)に商標権侵害訴訟を提起しました。吉川醸造が日本酒に「AFURI」という表示をしているからです。

AFURI(株)のプレスリリースの赤枠で囲った部分のように、吉川醸造は「AFURI」を日本酒に使用しています。

AFURI(株)は、吉川醸造が「AFURI」の著名性にフリーライドしているため、吉川醸造の商品をすべて廃棄するように主張しているそうで

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ラーメンチェーン店「AFURI」の登録商標

ラーメンチェーン店「AFURI」の登録商標

ラーメンチェーン店AFURI(株)は、自社の登録商標「AFURI」に、吉川醸造(株)の「雨降」が類似するとして、特許庁に無効審判を請求しましたが、無効であるとの判断は得られなかったため、さらに裁判所で争われました(令和5(行ケ)10122号、知財高裁)。

そして「AFURI」側が敗訴しました。つまり、吉川醸造の「雨降」の登録商標は無効ではない、との判断です。理由は、両商標が非類似だからです。

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生成AIにより声の権利が浮上

生成AIにより声の権利が浮上

AIが声優の声を合成し、声質、喋りの癖、歌い方、話し方を再現できるようになっています。
これに伴い、声優の声を無断で使用されるという事件が多発しています。

ChatGPTの最新版には、女優のスカーレット・ヨハンソンさんの声に酷似した合成音声が搭載されていると思われ、ヨハンソンさんは怒りを覚え、ChatGPTのOpen AI社に抗議し、同社はこの声を一部、取り下げたそうです。

ヨハンソンさんには

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