家で「喫茶ランドリー」ー家事こそ探求学習に最適 (1)食事の調理
新型コロナによる一斉休校
一斉休校が再延長になり、いつまで続くのかわからずに気が遠くなり、身体だけではなく、心も疲れがたまる。加えて、仕事を休むことによる収入減の不安。 なんとかならないか。
特に、家事が増えたことも負担だ。特に、子どもの服とはいえ、洗たくが大量になり、干すのが大変。毎日、晴れとは限らない。食事は、買い出しも献立も調理も、食器洗いも、乾かすのも、毎日、同じことの繰り返しで、頭がおかしくなりそうになる。
子どもの世話が大変な理由
でも、子どものための家事が大変だと思うのは、「親は子どもの世話をする存在」というメンタルモデルに従っているからではないか。年齢にもよるが、子どもだって、いつも世話されたり、教えられたり、という弱い立場だけではなく、親を助けたり、親に教えるという立場になって、喜ばれる自分を体験したいという気持ちもあるのだ。
一方、親のためでなくても、そもそも家事は、変化がすぐに見られるので楽しいという側面がある。子どもに料理のつくりかたなどを説明していたら、話が終わらないうちから、「やらせて。ねえ、やらせて」と言われた経験は少なくないだろう。
もちろん、年齢にもよるし、少し興味をもったと思ったら、すぐに飽きて、期待したのにやってくれなくなることを、私もよく経験してきた。ただ、それは、「子どもにやらせよう」、「やっと解放さた」と味わっている時に多い。
でも、どの家庭でも、子どもが興味をもって、積極的に取り組み、継続的にやってくることに成功したこともあるだろう。その違いは、何か。
「仮説実験」と「原理の理解」がコツ
こう書くと難しく思えるが、実は日頃、無意識にやっていることでもあるはずだ。「子どもにやらせよう」という魂胆だと、すぐ子どもを「わあ、すごい」、「偉いねー」と褒める。大人だと、こんな声がけすると、気を良くして、続けてくれるだろう。でも、子どもは意外と長続きしない。なぜか、きっと子どもはそれで「満足」してしまうからだろう。
「仮説実験」 というのは、1963年に板倉聖宣が科学史研究の成果をふまえて提唱した「仮説実験授業」という科学教育の方法の実践を理論化したところから取ったものである。その後、国語やものづくりなどにも応用できるとする授業も紹介されている。
私は、教育学を学んだ際に知ったことだが、詳しくは、下記を見て頂くとして、ここでは立ち入らない。
「原理の説明」は、「こうしなかったらこうなるから」ということだが、これはダイナミクスというかメカニズムというか、動く(アニメート)と関係している。なので、ワクワクしてくるのだ。
具体的な我が家での実践
これを食事や洗たくでの応用を紹介しよう。
食事の場合
・まず、スマホで食事の献立の参考になるアプリを開かせて、好きな料理を見つけさせる。
・次に、冷蔵庫を見せて家に在庫がないものをメモさせ、買い物に行く。
・スーパーでは、もちろん、自分たちで材料を選ばせる。
家についたら、もう作る気満々である。でも、ここからが「仮説実験」である(といっても、本来の仮説実験授業の超簡略版)。
例えば、焼きそばを例に。
これまでは、先にキャベルやネギ、人参などを痛めて、頃合いをみてそばを入れ、粉末を入れて味付けをした。でも、そばは別のフライパンで作るとどうなるか。考えさせる。
「まあ、一緒じゃない?」
と子どもたちはいう。
「なぜ、同じ?」
と聞いても、あまり考えが進まない。
そこで、これまでとは違い、そばはお酒をふって柔らかくし、程よいときに粉末をかけてソースの色をまんべんなくつくまで炒めた。それとは別に、炒めた野菜には塩と胡椒をふって味付けておいて、いい感じになったら、そばと一緒にしてから、皿に盛る。
調理はもちろん子どもたちがする。お腹が空いて早く食べたいから、どんどん行う。
そして、食べてみる。すると
「あ、旨い!」
といいながら、パクパク食べる。
さすがに、これまでとこの方法の2通りのは出来ないので、これまでの調理法との比較だ。
で、ある程度、食べてから(これもポイント)、
「じゃあ、なぜ違うと思う?」
と聞く。言ってみれば、クイズ問題の2択みたいなものだ。さあ、どうなるか。
「これまでのと、どっちが旨い?」
と。すると、楽しくなるが、答えは、一様に、「分けた方」だった。
そこから、「原理の理解」だ。みなさんは、どうお考えになりますか?
「正解」の原理というのをネットではまだ見たことがないのだが、我が家で考えたのは、
・一緒だと、味(粉末)が全体にまわり、薄くなるから。
・一緒だと、味が全体的に同じになり、変化が少なくなるから。
・別々だと、それぞれに合った炒め具合になるから。
といった意見が出た。
このようなアイデアの出処とか、仮説の立て方、また洗濯には、どうして興味を持たせる?などの話は、この次の記事でまとめたい。
まずは、ここまでを、次の食事を作られる際の参考にしていただければ、幸いである。