先輩から学ぶ就活(3) 内定承諾後に辞退、5月からIT再就活 【就活インタビュー】
はじめに
先行きのわからない就職活動を進めていると、誰しもが悩みや不安を抱えがち。
そんな就活生の皆さんに向けて、先輩就活生のリアルな体験談をお届けします。
今回は、紆余曲折を経て、IT系の企業でエンジニアとして新社会人生活をスタートさせる先輩就活生、Tさんにお話を伺いました。
数学に対する感動を思い出し、エンジニアを目指す
ー早速ですが、Tさんの就活について、どんな業界を目指していたかなどについて伺ってもよろしいですか?
はい。自分はずっとIT業界を目指していました。
IT系の企業に就職する予定で、4月からエンジニアとして働き始める予定です。
IT業界に強いこだわりがあったから、というよりもエンジニアに興味があって。
どの業界でも大体エンジニア職はありますが、IT業界なら一番最新の技術や動向に触れやすいと考えて、IT系の企業を目指していました。
ーなぜ、エンジニア職を目指そうと思われたのですか?
実は、「数学に似てるな」って感じたことがきっかけです。
自分はあまり勉強していなかったタイプで、成績も下から数えた方が早いみたいな高校時代を送っていました。
ただ、受験勉強をするときに、数学をやり始めるようになって、「数学ってすごい」と感動したんですよね。
その後、大学の講義の一環でプログラミングに触れた時に、「プログラミングって数学に似てるな」って気がついて、プログラミングを好きになりました。
そこから、せっかくなら好きなことを仕事にしたいと思って、プログラミングのスクールにも通い始めるようになって、エンジニア職を目指し始めました。
ベンチャー志向で内定獲得
ー具体的にどのような企業を目指したのですか?
当初はベンチャー企業を志望していました。
私はベンチャー企業の長期インターンに参加していたのですが、やはりベンチャー企業だと早くから一つのプロジェクトに最初から最後まで携われることがすごくいいなと実感していました。
それに対して大手企業は、大企業だからこそ業務がすごく細分化されている印象を受けていました。
忙しくてもしんどくても、早くからプロジェクトに一貫して携われるのは、技術力を身につける上でもいいなと思って、ベンチャー企業を志望しましたね。
ーベンチャー企業の中でも、何か企業選びの軸があったのですか?
当初内定承諾した企業の決め手となったのは、その企業の理念でした。
IT業界の課題の1つが多重下請け構造なのですが、その課題の解決にすごく意欲的な企業だったのが決め手でしたね。
その企業で働く中で自分が成長するとともに、その企業の規模もどんどん大きくなって、最終的にIT業界の構造の変革に携われたらいいなと思って、内定を承諾しました。
企業のビジョンに惹かれて、自分もそのビジョン達成に向かっていけたらいいなと思っていました。
内定を承諾するも、辞退
ーそれでは、来年はそのベンチャー企業に就職をされる予定ですか?
実は、紆余曲折がありまして。
現在は、別のIT系の企業に就職する予定です。
自分としてはすごくベンチャー企業に就職したかったのですが、大学の学費を負担してくれている保護者の方があまり納得をしていなかったのが原因の1つですね。
やっぱり金銭的に援助してくれている保護者の意向に従うことになりました。
それに、「ベンチャー企業から大手企業にいくのは難しいけれど、大手企業からはいつでもベンチャー企業にいける」ということを突きつけられて、自分もそれに納得してしまったのも理由の1つです。
そこで、一度いただいた内定を辞退して、5月くらいから再度就活することになったんです。
ーIT系の企業って新卒採用の締切がかなり早いイメージがありますが...。
そうなんです。
だから、5月の時点でIT系の有名な企業はほとんど募集していなくて。
企業を検索しては申し込みを受け付けているのかを確認する日々でしたね。
ーいちから就活をもう一回するのは、かなり勇気のある選択ですね。
正直、すごく悩みましたし、不安もありました。
留年しようかとか、休学しようかとか、一年留学に行こうかとか。
今年はもう就職しない選択をしてもいいのかなって思ったこともあります。
ただ金銭的なこともありましたし、まだなんとかなると思って今年度で就職することにしたんです。
それでも自分の選択に自信が全然持てなくなってしまって。
そもそもエンジニア職にこだわる必要があるのか、営業職でもいいのではないかなとも考えました。
ー確かに、Tさんはすごく人当たりがよくて、話し上手なので営業に向いていそうな雰囲気がありますね。
ありがとうございます(笑)
長期インターンに参加している時にも「営業に向いてるよ」ってよく言われていました。
だから、再就活する時は、エンジニア職にこだわるのはやめて、営業職とか他の職種に方向転換してもいいのかなって少し思ったりもしました。
色々と揺らいでしまっていたんですよね。
「自分って何をやりたいんだろう」という状態になってしまったので、一度職種の分析に立ち戻りました。
そこで、サービスや商品を売って他社と競い合っていく営業職に対して、今までになかった価値を生み出したり、サービスそのものを作れるエンジニア職にやっぱり自分は憧れるなと改めて実感したんです。
そして、5月からもう一度、就活をスタートさせました。
5月から再スタートし、内定獲得
ー難しい就活になったのではないかと思いますが、どのように内定を獲得されたのですか?
内定を辞退していましたし、今年で大学を卒業しないといけないので、かなり切羽詰まっていました。
とにかく企業を探しては、ホームページに行って新卒採用の締切を確認して、申し込みました。
最終的には20社くらいにESを提出して、ESが通過した10社ほどの面接を受けました。
ITの中の大手企業、老舗企業を中心に受けましたね。
ーベンチャー企業を受けていた時とは何か違いがありましたか?
勝手はかなり違いましたね。
ベンチャー志望だったので自然とESや面接などもベンチャー受けするような感じになっていて、それをそのまま大手企業に流用しても、なかなか選考通過とはなりませんでした。
ベンチャー企業に出すESでは「自分でプロジェクトを引っ張っていきたい」とか「新しいビジネスを自分で生み出していきたい」というようなことを書いても特に問題はないですし、そこを面接官も深掘りしていくような感じでした。
ただ、大手企業だと「そういうのはあまり求めていない」という感じで、就活を再スタートさせた時はESで落ちてしまうことが多かったですね。
就活サイトなどで内定者のESや面接の受け答えを見て、もう一度大手企業向けに自分のESや面接対策を練り直しました。
ーそして、新たに内定を獲得できたんですね。
そうですね。
正直、納得内定かと言われると、そうではないです。
5月からIT系企業をもう一度受け始めて、とにかくまだ募集しているところを中心に受けていましたので、そもそもの選択肢の幅が狭かったのもあります。
ただ、結局はご縁ですし、将来この企業で良かったと言えるのかどうか、納得内定にできるかどうかは、これからの自分次第かなと思います。
ー就活を終えた今、社会人としての目標はありますか。
内定を獲得できてほっとして、やっと落ち着いて色々と考えられる余裕ができたという感じです。
なので、社会人としての具体的な目標はまだ立てられません。
ただ、「熱を絶やしたら終わり」だと思っているので、モチベーションを持って働き、スキルや経験を積んでいきたいです。
特に、エンジニア職なので、将来的にはベンチャー企業への転職はもちろん、起業したり、フリーランスで働いたりと、色々な可能性があると思っています。
就活生へアドバイス
ー長い就活期間の中で残念な結果になることもあったかとは思いますが、どのように乗り越えたのですか?
まずはなぜ不合格になったのかについて、その原因を突き止めて、反省することから始めます。
そして、苦い思いを持って再度別の企業の面接を受けます。そうすると、反省点を踏まえて、失敗を乗り越えられます。
面接で受けた傷は、面接でしか癒せないという感じですね。
自分の場合、就活で一番最初に受けた面接では緊張し過ぎて、「経歴は?」と聞かれて小学一年生のことから話し始めてしまって(笑)
でも、面接が終わったら「もういいや」じゃなくて、恥ずかしさとか反省点に向き合って場数を踏むことが重要です。
ー面接の練習はかなりされていたのですか?
はい。
個人的には、面接の対策には「独り言をとにかく言うこと」がおすすめです。
単に暗記している文章を繰り返すのではなく、その場でいちから作るんです。
そうすると、本番でも内容が飛ばないですし、変化球のような質問が来ても落ち着いて自分が伝えたいことを伝えられるようになります。
それに、何度も練習していると、もっといいフレーズが思い浮かんできて、ブラッシュアップできるので、おすすめですね。
ー就活生の皆さんに何かメッセージはありますか?
自分が納得できる内定を得るためには失敗を重ねることはつきものなのではないかなと思います。
面接などで落ちてしまっても「自分はダメだったんだ」と考えるのではなくて、「すべてはご縁だから、なるようになる」と考えると、メンタルが安定するし、次の一歩を踏み出しやすいのではないかなと思います。
実際、私も就活の期間は「ご縁だから」という言葉にかなり救われました。
「全てはご縁だから、なるようになる」というある程度の余裕を持って就活を頑張ってほしいなと思います。
おわりに
とんとん拍子に就活をスムーズに終える人はかなり少数。
むしろ、様々な挫折や方向転換を経て、自分の進路を決定することがほとんどです。
Tさんの場合、かなり大きな方向転換をしましたが、それでも困難な状況の中、めげることなく最善をつくし、内定を獲得しました。
思うように就活を進めることができなくても、諦めずに踏ん張る姿勢は、就活生の皆さんにもヒントになったのではないでしょうか。
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