小生は、
えぇ。小生は、今回初めてアイドルさんのネットサイン会ってなものに参加したんですね。ネットサイン会とはですね、アイドルさんがですね、サイン会をする様子を生配信するんですよ。その時にこちらの名前を呼んでくれたり、こちらからのメッセージを読んでくれたりするわけです。小生、普段アイドルさんと一緒にチェキを撮ったりする特典会ってやつには、小っ恥ずかしくて参加出来ないタチなんでね。だからですね、今回直接会わなくてもいい、ネットサイン会、リミスタって言うんですけどね、リミスタに参加したわけなんですね。
あらかじめ目当てのアイドルさんに、自分の名前とメッセージを送っておくわけですよ。ここでは、例えば、誰にしときましょう。アイドルさん、沢山いるんで、選ぶのを迷いますな。例えば、そうそう、ここは、PIGGSのKINCHANにしときましょうか。しときましょうかってお前、お前はそれしかいねえだろって、あーはははは、敵わないですな。そうですよ、始めからKINCHANに決めてましたよ。小生、恥ずかしながら、「KINCHAN大好き!」と心よりメッセージを送りました。お金、お金ですか。もちろんいりますよ。お金がないとアイドルさんクスリとも笑ってくれませんよ。
そしてそして、当日が来るわけですな。アイドルさん、大変ですよ。何時間もずっとサイン会をやるわけですよ。その間、ムスッとするわけにもいかないですからね。アイドルさん、ずっと笑顔でいるんですよ。出来るなら変わってあげたいですよ。変わってあげたいってお前、誰もお前さんの笑顔なんて見たかねえよって、あーはははは、勘弁して下さいよ。冗談ですよ冗談。でもねアイドルさんの笑顔を見ながら自分の番を待つのもなかなか乙なもんですよ。小生も自分の名前が呼ばれるのを、今か今かと待つわけです。長いこと待ちましたよ、小生と同じような人がたくさんいるわけですからね。すると「小生!」と小生の名前が呼ばれるわけですね。小生のメッセージを読んでくれて、それに対してKINCHANは「ありがとね、大好き!」と言ってくれたんですな。
小生、まだまだですな。人として、まだまだ未熟ですな。一回り以上違う娘さんに「大好き!」と言われただけで、かなり動揺してしまったんですよ。でもね嬉しくてね、涙が一つ溢れました。他には誰もいなかったですから、そこから涙が止まらなくなりましたよ。それは「大好き!」と言われたからではありませんよ。小生はね、半年前、精神科の病棟に入院してたんですよ。2歳の息子の前でマンションから飛び降りようとしたんですね。そこから、治療が始まり、薬を飲むんですけどね、小生の出来の悪い頭では分からないんですよ。何が病気で、どこが病気なのか。分からないまま、病人だ、障害者だと周りから言われるわけですよ。みんなからそう言われるので小生も、そういうものとして笑って生きてますけど、本当はねやっぱり悲しいですよ、本当はね。その小生の一番暗いところを、KINCHANが触れてくれた気がしたんですね。嬉しかったです。もちろんKINCHANはそんなことは何一つ知りませんよ。小生もそこまでバカじゃありませんよ。妄想ですよ妄想。えぇ、そんな大層な話じゃないんです。四十の男が自殺未遂した果てに何があったかって話です。息子の前で飛び降りようとした日の延長線上にアイドルのネットサイン会があったって話しです。あの日、8月7日にベランダに伸ばした小生の手を、今日、2月8日にKINCHANが握ってくれた。気がしたって話です。それだけのことです。それでいいじゃないですかもう。それでいいじゃないですか。
だからあなたも生きて下さいなんて野暮なことは言いませんよ。えぇ。そのようなものを感じたなら謝りますよ、そんなつもりはなかったです。すみませんね。自分が良かったからって、生きてたらいいことあるよなんて、そんなことは間違っても言えないですよね。頑張って生きてたって何もないですからね。みなさんもみなさんですよ、何に期待してるんですか。でもね、生きてたら、アイドルのネットサイン会はありますよ。小生はないと思ってました、自分の人生にアイドルのネットサイン会なんて。存在も知らなかったです。でも、ありました。そして、そこに、世界一のアイドルがいました。これは小生が保証します。証拠に、ほら、この前のKINCHANのサイン入りチェキが届きましたよ。これはね、誰に何を言われようが、このチェキは小生の宝物なんです。宝物ってお前、こんなチェキが宝物だなんて、頭おかしくなったんじゃないかって、あーはははは、冗談がきついですな。そうですよ、小生は頭がおかしいんですよ、みんな言ってますよ。だから入院したんですよ。だからアイドルを追っかけてるんですよ。一生治らないみたいですよ、一生頭がおかしいままですって。だからこのチェキは一生の宝物なんですよ。えぇ。