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カレンダーという希望

不定期で通ってる文字校正のバイト。大勢のスタッフが無言でひたすら文字校正をするという、苦手な人にはたぶん大変な圧迫感のある空間です(わたしは意外と嫌いじゃない)。

今日の担当案件は、「手帳のカレンダーチェック」でした。秋ごろから店頭に並ぶ手帳の、カレンダーに誤りがないかという校正です。玉と呼ばれるカレンダーの日付部分や曜日、土日の色分け、祝日の名前などを、印刷会社が作ってるチェック用のカレンダーに基づいて、一つ一つチェックしていきます。

もうね、石原さとみもびっくりの、

地味 オブ 地味な仕事。


でも、出版業界では電話番号とカレンダーのミスは重罪とされていて、最悪の場合、全品回収や巨額の損害賠償も起こりえるのです。だからこそ、制作会社はわざわざ外注してまで専門の校正会社の目を通すんですね(何かあったときに責任とらせるためもある)。

しかも今日チェックしたのは、製本も終わってビニールカバーもかけられた、今にも出荷されそうな完成品。当然、これまでに何重のチェックを通り抜けてきているわけで。つまり、我々が見過ごしたらそのまま流通してしまうという、いわば最後の砦的な役割です。

視線は終始手元だし、22、23、24…と並んでる小さな数字を追っていくのはかなり神経を使います。ドライアイと闘いつつ、マスクの下で表情筋が退化していくのを感じながら、ふとこんなことを考えました。

「カレンダーを作る仕事って、もしかしてものすごく未来への希望にあふれた仕事なのでは……?」

手帳のカレンダーには、今から1年後、2年後の日付も含まれています。2020年秋に発売になるものなので、2020年10月から、2022年12月まで丸2年分以上チェックしました。

それって、確実に2021年や2022年がやってくるっていう前提じゃないですか。

1年後どころか、明日のことだってわからないのに。2022年にコロナウイルスがどうなっているか確実な予測はないし、もっと甚大な災害や、最悪の場合、核戦争のような人類存亡の危機が訪れるかもしれない。

だけど、きっと2022年も手帳を使う人がいる、少なくとも日本国内では平和な世の中が続いてる、だから手帳を作るわけだもんね。

エッッッッッッッモ~~~~~~~~~~!

そう思ったら、急にカレンダーというものに慈しみが湧いてきてしまいましたよ。

わたしが0.5秒で処理していく4月8日も、10月26日も、12月10日も、365日すべてが誰かの誕生日。すべてが誰かの大切な日。

なんてJ-POPの歌詞みたいなことを考え始めちゃったりして。

うひゃひゃーーー!みんなおめでとーーー!と意味不明にハイテンションで作業を続けていたら、12月のマンスリーを見て気づきました。


祝日が……ない……!!!!!?????

12月よ、お前いつからそんなのっぺら顔になっちゃったんだ!?

。゚(゚´Д`゚)゚。




2019年からでした……

平成から令和に改元されて、天皇誕生日が12月23日から2月23日になりましたもんね。去年の12月はすでに会社勤めしていなかったから、休日がなくなったことに気づきすらしなかったみたい。

昭和天皇の誕生日(4月29日)は、平成へ改元後も連休のアレなんでみたいな理由で「みどりの日」として残されたそうですが、それなら12月23日も連休の絡みで残してもよいのでは?

12月23日って、年末休みを目前に控えてだんだん仕事を緩めていく感じがするし、なんならクリスマス直前てことでパーリナイトできがちな、なかなか絶妙なタイミングなのではと思うのですが。何より、12月のカレンダーがさみしすぎる……(元日と違って年末は祝日ではないので赤くもない)。



……といいつつ、良くも悪くももはやお盆休みとか連休とかっていう意識がだいぶ薄まっている立場ではありまして。7月のカレンダーチェックしながら「この辺で休も~」と、ゆるーく考えたりもしてました(仕事しろ)。

来年は、「休みをとって遊びに行く」という、当たり前の夏を過ごしたいな。


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