第3夜 100分の1の存在なのヨ
今まで実演者としてひたむきに、ただただ己の芸を磨く事だけに集中していた私にとって、声の業界のマネージャーの視点とはあまりに無慈悲で機械的な現実をたたきつけていた。
所属審査は「場合によっては5分で決まる」こと。
そしてそのポイントが大人数の中でいかに印象に残すか、であること。
養成所と事務所の関係のこと。
大規模事務所のマネージャーとは想像以上に縦割りの細分化された世界であること。
預りになったはいいけれど「先生……」
私はやっとの想いで極細木に声をかけた。
「