商人のDQ3【83】諸国連合の歩み
植民地主義を掲げ、アジアや新大陸の民を奴隷化して搾取する列強諸国に対抗するため。ジパング大公ヒデヨシがとったのは、バテレン追放令。
さらに、私たちの地球での香港に相当する港町ウォンロンを植民地化するなどしてアジアで存在感を示す列強諸国に対し、ヒデヨシはダーマ神殿侵攻を画策します。
ダーマは昔、アンゴルマ帝国というモンゴル相当の国に支配されてましたが。ヨーロッパ人までも恐怖させた大帝国は、疫病の流行や支配地域を広げ過ぎて維持できなくなり分裂衰退、やがて滅亡。それ以来、ダーマ周辺には強大な国家は生まれませんでした。
なので、ヒデヨシにとっては好機。現実の歴史でいう朝鮮出兵よりも有利な条件がそろっていたと言えます。ですが、思わぬ誤算も。
ダーマのスパイこと、ダーマ神殿でフィギュアスケーターに転職するため修行を積んでいた旅芸人ミキは。ヒデヨシのダーマ侵攻に際して叔父のクワンダが護衛しているシャルロッテ一行に助けを求めました。
「魔王軍の脅威に対して、人類諸国の王たちが協力し合い対抗する。そこでジパング軍が精強さを見せつければ、列強諸国もジパングを諦めるでちよ」
イシス女王、当代のクレオパトラがふとしたきっかけで口にした諸国連合の構想。シャルロッテはその実行役として、諸国を回りこれまでにさまざまな有力者からの協力を取り付けてきました。
ヒデヨシとの会談の時点で、諸国連合への参加を表明してくれてるのは…
●発起人
・シャルロッテたちのヴェニス侯国(旧ロマリア男爵領)
●参加表明
・イシス女王クレオパトラ27世
・モスマン帝国のアルスラン王(アームライオン)
・城塞都市カルカスの女領主
・ポルトガ王と、ポルトガのバハラタ総督バスコダ
・アリアハン王
・北欧のエルフ女王
・ヴィンランドのまとめ役ソルフィン
●参加を前向きに検討中
・エジンベア王
●国ではないが、有力な協力者
・海賊王マリスと、傘下の海賊勢力
「ジパングの火縄銃が高性能なことは列強諸国にも知れ渡っており、攻めにくい島国で世界一の鉄砲大国ジパングを狙う無謀な国はないでしょう」
さらに、バスコダのメイドとして海外で見聞を広めていたヒデヨシの孫、おキクさんからの一言もあって。商人としての損得勘定を働かせながらも、大公ヒデヨシは諸国連合に加わった場合と、そうでない場合について思案を巡らします。
「ハハハ…よくそこまでの規模に育てたものよ」
現実の歴史だと秀吉は「太閤」ですが、ドラクエ風アレンジで同じ読みの「大公」にしています。諸国連合の規模に、内心で冷や汗かいてるかも。
「シャルロッテちゃんたちと取引相手になれば、火縄銃もさらに改良できまちゅよ!」
子供の体格と比べた場合、火縄銃は槍のように長いですね! 以前にヴィンランド独立戦争でシャルロッテが狙撃に使っていた火縄銃は、おそらくはアッシュ少年が改良を加えてショートバレル化したものでしょう。たぶん、整備用のネジに互換性を持たせて長寿命化もしてあるはず。
「尾栓のネジが使い回せる…だと!?」
一般に火縄銃のネジには、他の銃との互換性が無く。ネジの寿命が銃自体の寿命にもなっていました。ネジに汎用性があれば、時計など他の機械の発展にも大きく貢献。ジパングの技術水準も、古代アリアハンの遺産に一歩近付くでしょう。
ヒデヨシの思考が、諸国連合参加に大きく傾いたところで。野営地にまた新たな客人が訪れました。
「シャルロッテさん! みなさんも、ここにいたんですね」
「その銀髪…ダーマスパイか!?」
ミキとクワンダと、ダーマの大神官が夢渡りでやってきました。
「あれ? なんで正体が??」
「その銀髪じゃ、人目を引くからな」
正体を隠す気が無かったミキに、クワンダも苦笑いを浮かべます。前線で戦ったジパング兵たちには、一瞬でバレてました。
「シャルロッテ殿。詳しい話は、クワンダ殿から聞いた。ダーマ神殿もぜひ諸国連合に参加させてはくれまいか」
「ダーマもか。まいったのう、ここは勝ち馬に乗るとしようか」
最後には、今までの積み重ねがモノを言いました。天下人ヒデヨシを相手に、シャルロッテちゃん圧巻の勝利です!!
その後、同じ諸国連合に参加することとなったダーマ神殿の武僧たちと、戦国の世を戦い抜いたジパング軍の猛者たちの間で、トーナメント形式の交流試合が盛大に行われました。天下一武道会!
「少林寺の体術は、仏教の『空』に通じる芸術…!」
「ジパング軍、弓や鉄砲を使わずともこれほどまでとは…!」
この催しで、ジパングの武威は十分示されたようです。ヒデヨシの協力も得たいま、ようやくパープルオーブ奪還作戦に入ることができますね。
なお、ミキやクワンダも武道会に参加したようですが。その結果はまた、みなさんのご想像におまかせします。
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